第5話 学校が休みになると一気にテンションUP‼
明日休みにならないかな……
「ユウマおはよう‼ 昨日はよく寝むれた?」
朝の7時に俺はアクアに起こされた。
寝れたには寝れたが、体中が痛い。
なぜなら前の話を見てくれたら分かる通り、俺は昨日アクアに暴行を加えられ気を失い、床で寝てしまったからだ。
「寝れたには寝れたが、体中がいてぇんだよ……いっ‼」
「そう……それは災難だったわね」
お前のせいでこうなったんだよ‼
「とりあえず朝食でも食べましょ‼ もう作ってあるから」
「おっ‼ 早速食べようぜ‼」
俺は痛みも忘れてイスに飛び乗った。
我ながら単純だと思う。
でも女の子の手料理だぜ?
テンション上がるに決まってんだろ⁉
ましてやあのアクアだ。
昨日のクッキーも相当レベルが高かったから、朝食もかなり期待できる。
色々考えている内にどうやら朝食ができたらしい。
アクアがおぼんに朝食をのせてやってきた。
エプロン姿で。
う~ん……やっぱり女の子のエプロン姿は、見てるとなんとなく心にグッとくるものがあるんだよね~。
「なっ、なにジロジロ見てるのよ‼ また殴られたいわけ?」
「いや、俺はMじゃない‼」
「私はどちらかというとSなの‼」
「そんなこと知るかっ‼」
なんかこのままだと理不尽に殴られそうだから、話題をそらすべきだね‼
「とっ、とにかくご飯食べようぜ‼ アクアの料理おいしそうだし」
「それもそうね。はい、どうぞ‼ 好きなだけ食べてねっ」
「おおぉーーーー‼ いっただっきまーす‼」
朝食は、俺が予想した通りのものだった。
洋食っぽい感じでクロワッサンにコーンスープ、ベーコンとスクランブルエッグそれにヨーグルトと理想の朝食だった。
しかもアクアが言うには、ほとんどが手作りらしい。
純粋にすごいと思う。
「うめぇぇーーーー‼ 昨日のクッキーといいほんと料理うまいよなぁ~~‼」
「あ、ありがと。なんかそんなに褒められると恥ずかしいよ……///」
アクアは、顔を赤くしたまま俯いてしまった。
別に照れることはないと思うんだけどな~~……。
休む暇もなく食べているうちに、気がつくとすべて食べてしまっていた。
「悪い、全部食べちまった……」
「気にしなくてもいいよ。私は先に食べていたし、それに……おいしい、おいしいって言って食べてくれた方が、作ったほうとしても嬉しいからね‼」
確かに作る側としては、そうだろう。
俺は料理ができないわけじゃないが、別に得意じゃない。
だからたまに作るくらいで、自分からすすんで誰かに作ったりしたことはない。
それでも自分の作った料理を『おいしい』って言いながら食べてくれたら、嬉しい。
「そういえば、学校って何時に行けばいいんだ?」
「えっと入学説明書には、7時半に体育館にきなさい、って書いてあるけど……」
現在の時刻・7時15分
……これは、遅刻フラグが立ったか?
「ちなみに聞くけど学校まで歩いて何分?」
「ここは、街の中心だからスクールバスを使って行くわ、バスを使えば5分でいけるわ」
「バス停までは?」
「歩いて8分」
「「………………」」
ふぅ~……。これは、80%の確立で――
「「遅刻だぁぁーーーーーー‼」」
俺とアクアは、全力でバス停まで走っていった。
◆ ◆ ◆
「え~、以上で私の話を終わります。これからはヒストン学園の生徒としての自覚を忘れず、がんばっていってください」
「一同礼‼」
「それでは各教室に移動してください」
俺とアクアは、なんとか3分前に体育館に到着した。
そしてトイレに行く暇もないまま入学式みたいなものが始まり、校長の話を「長げーよ‼」と思いながらも我慢して聞き続けた。
そして今さっきの礼が終わった瞬間、俺はトイレへとダッシュして今に至るわけである。
やっぱ校長の話が長いってお決まりだよな?
「いや~トイレは落ち着くねぇ……」
「そうだねぇ~~」
「「お前、誰だぁぁーーーーー‼」」
失礼な、普通初対面の人に指さすか? そもそも人に指をさすのは、常識的におかしいと思う。
でも聞かれたからには、名乗っておくのが礼儀ってものだろう。
「俺の名前は、白石悠馬。今日ここヒストン学園に入った1年生だ。気軽にユウマって呼んでくれ」
「僕の名前は、セシル=ラグナロク。君と同じでさっき入学式終えたばかりの1年生だよ。セシルと気軽に呼んでよ」
そして互いに「よろしく」といって握手をした。
うん、今回は初対面の人と気まずい空気にならなくてすんだみたいだ。
セシル=ラグナロクと名乗った少年の特徴を説明するか。
身長は、俺とほとんど一緒くらいだ。
髪型は前髪が目より少し上にあり、後ろ髪は肩より5cmほど上と男の子にしては、なかなかの長髪だ。
髪色は、黒色で癖がすこしだけある。
「ところで僕達、何クラスになるんだろうね」
「そうだなーー、ここにいても分からないからとりあえず外に出ようぜ」
外に出てみたら、教師みたいな人が俺達に話しかけてきた。
「新入生の方ですよね? えっとユウマさんとセシルさんですよね」
「確かにそうだけど――なんか用ですか?」
俺なんか変なことでもやらかしたか?
「えっと……もうみなさん自分の教室に行きましたよ? 行ってないのは、あなた達だけかと……」
「「それを先に言ってください‼」」
「とりあえずお二人とも同じクラスですけど、一応紙を渡しておきますね」
教師から渡された紙には『Cクラス』と書かれていた。
「急ぐぞ‼ セシル‼」
「勿論だよ。ユウマ‼」
俺は、本日二度目の全力ダッシュをした。