第64話 秋と言えば食欲の秋だが、食べ過ぎ注意‼
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ユウ「遂に言うことがなくなったか」
黒猫「うるせぇ‼ ほっとけ‼」
「……もう11時か。寝過ぎちまったな……」
翌朝目が覚めると時計の長針は11時を差していた。
結局、昨日は帰ってきて、すぐに寝てしまった。
やっぱり色々な所に行ったから、疲れが溜まっていたんだと思う。
「ライもアクアもいないと静かだな……」
家にいても仕方ないし、どっか出掛けるか。
ここは店の開店時間が早いからな。
◆ ◆ ◆
【中央ブロック とある店】
「このバッグいいな……これ下さい」
「はい、1万2400円になります」
むっ‼ 意外と高いな……。
俺が最近依頼とか頑張ってなかったら、やばかったな。
「ありがとうございました~‼」
俺は店を後にして、久しぶりに『なつや』に行こうとしたら、不意に肩を叩かれた。
「はい?」
「やっぱりユウマさんでしたっ‼」
「ハッ、ハイネ先輩⁉ どうしてここに⁉」
「そんな驚かなくても……。買い物に来ていただけですよ」
「奇遇ですね。俺もちょうどそこの店で買い物をしてたんですよ」
「そうだったんですか。………その…えっと……お昼一緒に食べませんか⁉///」
時計を見ると時刻はすでに12時半になっていた。
確かに腹減ったから、一緒に食べるか。
ところでハイネ先輩の顔が赤いのが気になる。
もしかしてデート気分で誘ったとか⁉
いや、ないな。妄想をするのは良くないな……。
「どこで食べます? この世界に来てから日が経ってないので……」
「東通りに美味しいランチが食べれる店があるから、そこに行きましょう‼」
よし、とガッツポーズをとるハイネ先輩。
ちょっとした仕草が、いつもの先輩らしい感じでは無かったので、少しドキッとしたのは秘密。
「2名様でよろしかったでしょうか?」
「はい」
「ではこちらへどうぞ」
テーブル席へと案内された。
「えっと……デザートなんか食べます?」
「うーん……結構食べたからな」
ラーメンに餃子にチャーハン。
こんだけ食えば、腹八分と言わず腹九分だろう。
俺はメニューにもう一度目を通すと、端っこの方に小さい字で『秘密メニュー』と書かれたのを見つけた。
「ハイネ先輩‼ 秘密メニューですって‼」
「いいですねっ‼ それいきましょう‼」
「すいません~。秘密メニューお願いします」
店員を呼ぶと数秒ほどでテーブルにきた。対応早くねっ⁉
「かしこまりました。やっぱりカップルさんでしたか(ニコッ)」
「「へっ⁉」」
店員さんの言葉に同様するハイネ先輩。
かくいう俺も動揺を隠せないでいる。
ハイネ先輩と言えば、容姿端麗、頭脳明晰で2年の中でも指折りの強さを誇る先輩。
そんなハイネ先輩の彼氏に見えるって、これはもうテストで100点取るより誇れる気がする。
「それでは特別部屋へGO‼」
「店員さんのテンションじゃないよね⁉ あと特別部屋ってなっ‐‐‐‐わぁぁぁーーーー‼‼」
俺は耐え切れず突っ込んだが、言い終わる前に、テーブルごと地下へと落ちていった。
◆ ◆ ◆
「……ハイネ先輩」
「……なんでしょうかユウマさん」
「この店本当に大丈夫なんですか?」
「だっ、大丈夫なはずです‼ リニューアルしてから一回も来てないですけど……」
「マジですか⁉」
てか店員までリニューアルしちゃうの⁉
「お待たせしました‼ 秘密メニューのフルーツパフェです‼」
「おいコラ。ちょっと待『それではごゆっくりと~♪』逃げるなぁぉーーー‼」
なんだ。これは本当に中華料理屋か⁉
「とっ、とりあえず食べます?」
「そっ、そうですねっ‼」
うん。見た目は普通のフルーツパフェだな。
リンゴが2コ、キウイが4コ、ポッキーが2本、さくらんぼ2コ、スプーン1コ、白桃2コとちょうど2人で平等に食べれる数だしな‐‐ってスプーン食えねぇし‼
しかも一本⁉ 予備がないだと⁉
「あのぉ……これってもしかして食べさせてあげるって奴ですか……?///」
どうやらハイネ先輩も気付いたらしい。
『そう‼ 彼女さんの言う通り〝あ~ん〟をさせ合いながら食べるという男の子なら一度は夢見るであろう状況を再現したメニューでぇす☆』
天井にあるスピーカーから、あの店員の声が聞こえてきた。
今すぐこの食器でスピーカーを叩き割りたい……‼
「食器をお下げしてよろしいでしょうか?」
「あっ、はい」
さっきの店員とは、違い真面目そうな男性店員が来た。
ちなみにさっきの店員は女ですよ⁉
男で『でぇす☆』なんて言う人いないからねっ⁉
作者の頭が残念なんかじゃないんだからねっ⁉
ユウ「これでいい?」
黒猫「あい。餅の論理」
ユウ「うざっ…………」
黒猫「ひどっ⁉」
「どっ、どうします?」
頬を紅潮させながら、上目遣いで俺の顔を覗き込むハイネ先輩。
ぐっ、マズイ……‼ 変に意識しちゃだめだ‼ パフェにイチゴシロップがかかっていいのか、俺‼
「こうなったら……(ピンポン♪ ピンポン♪ ピンポン♪ ピンポン♪)」
俺は無我夢中で店員を呼ぶボタンを連打した。
店員を呼んでスプーンを貰う作戦だ。
「何で誰も来ないんだよ‼」
こうなったら、仕方が無い。箸で食べるしか……。
箸がねぇぇぇぇぇーーーー‼‼
そうだ。さっきの店員に回収されたんだ‼ 恐るべし策略‼
孔明よりかはすごくないが。
「あの……私と〝あ~ん〟するの嫌ですか……?」
「そんな滅相もございません‼ ハイネ先輩の〝あ~ん〟を断れる輩がどこにいると⁉ いや、いる訳がない‼」
丁寧語と反語を使った奇妙な返答となった。
だって、普通美少女が悲しそうな顔して、涙ぐんで上目遣いしてたら断れないよね⁉
とっ、とりあえずここは、とっとと食べよう‼ そうしよう‼
「えっと……あ~ん///」
「ん……(モグモグ)」
やばい‼ ハイネ先輩が可愛い過ぎる‼
これってお返しに〝あ~ん〟をやり返さなければダメなんだよな。
うっ、もう目を閉じてらっしゃる‼ しかもほんのり顔が赤くなってるから、こっちまで緊張してしまう。
「ユッ、ユウマさん早くしてください‼」
「ああぁ‼ はい、あ~ん」
「はむっ……(モグモグ)」
体の体温が上がってることが分かる。今の俺達を見たら、きっとトマトのように顔が赤くなってるだろう。
そのあと気まずい雰囲気が流れながらも、完食して互いに無言のまま店を出た。




