第６２話 時間が経つと忘れられるよね
遅れました。
テストやら修学旅行やらで……。
アクア「いいじゃない。楽しかったんでしょ？」
黒猫「テスト以外はな」
ユウ「ちっ‼ つまらん」
黒猫「気のせいか今すごい悪意のある気配がしたんですけど⁉」
「(ガチャ)もしもしアクア＝アラン＝ヒートですけど」
『おぉアクアか‼ 元気にしていたか？』
「元気ですよ。ディオ先生こそ元気にしていました？」
『勿論だって。たこ焼きもいっぱい食ったしな』
「普通たこ焼きで元気になりますか⁉」
『まっ、俺だからな。……余談はここまでにして単刀直入に言う。今すぐオリエット全員で【中央ブロック警護隊所本部】にこい。総隊長がお前たちを呼んでる』
「えっ‼ 本当ですか⁉」
『ああ。じゃよろしく～』
俺たちが余談をしているとアクアがやってきた。どうやら電話が終わったようだ。
「で、なんだった？」
「そっ、それがね‼ 総隊長に会えるんだって‼」
「「ほんと(マジ)ですか⁉」」
なんでこいつらそんなに驚いてるんだ？
あんなおっさんに会うくらいで。
「ユウ君知らないんですか？ 総隊長は、グラニデを作った先祖の血筋を引いているんですよ⁉」
「俺はお前がいつからそんな心を読む能力を手に入れたかの方が、知りたいけどな」
「だから心なんて読めないですよぉ〜♪」
「それじゃ早速いこうか」
『レッツゴーッス‼』
【中央ブロック警護隊所本部】
俺達が警護隊のとこにつくと総隊長ハルサメ＝バクラとその仲間たち(前回脅された奴ら)のお出迎えがあった。
わざわざご苦労なこった。
「それで早速なんじゃが……」
「そっ、その前に質問よろひぃでひょうか⁉」
アクア、噛みすぎだ。
そしてレインの笑いを堪えてる顔が果てしなくムカつく。
「あぁっすまんすまん。質問とは一体なんじゃ？」
「えっと……各属性の魔法を全部知ってるって本当ですか⁉」
「無論全部知っておるが、いくつかは忘れてしまったがの……」
「急にどうしたの？」
「だってユウマは格段に強くなったじゃない？ それに比べて私たちってほとんど見せ場ないじゃん？だからすこしでも強い魔法覚えたいなぁ～って」
「確かに僕らの戦闘描写あまりないよね」
かわいそうなアクアたち……。
「うむぅ……。分かった、お前さん達にすこし難しい魔法を教えよう。ただしその前にこちらの要件を聞いて貰おうか」
「分かりました。要件とはなんでしょうか？」
コホン、と咳払いをして話し始めるハルサメ総隊長。
いかにも責任者的な感じを醸し出している。
「ミレイユ率いるチーム『赤染の血』がロニを追いかけて行ったのは知っておるな？」
「はい。知ってますけど……なにかあったのですか？」
「あの子たちからさっき連絡を貰ってな。追っていたロニにうまく巻かれたらしい。だから、もうすぐ引き返してくるはずじゃ。そこで、あの子らに接触して詳しい事情を聞いてきてくれ」
「私達全員でしょうか？」
「いや、ユウマ以外は魔法を教えてもらう必要があるんじゃろ？ ならユウマが事情を聞いてこればいい」
「なんで俺が‼ (シャキ)いえ何も文句などございません‼」
「そうかなら、早速いってきておくれ」
「はいっ‼」
刀を脅しに使うの反則だろ⁉ その仲間たち‼
俺は口では元気にいったが、渋々とミレイユ先輩たちの所に向かった。
【中央ブロック 中央広場噴水前】
「あっ、ユウちゃんだ‼」
「どうも、ミレイユちゃん」
待ち合わせ場所の噴水で5分ほど待っているとミレイユちゃんたちがやってきた。
……ボロボロの格好で。
「どうしたんですか⁉ その格好」
「いやー、戦ってばっかでこんな風になっちゃった☆(テヘッ)」
「こんな風になっちゃった☆(テヘッ)じゃないですよね⁉ どうやったらそんなにボロボロになるんですか⁉ 折角の赤い服が台無しですよ⁉」
「別にいいじゃーん‼ それと私赤い服なんて来て行ってないよ？」
「えっ⁉ だって……まさか」
「私達のチーム名を思い出してごらん」
『赤染の血』……いやいやないないない‼ いくらアリアンスでもそんな物騒なことしないよねっ‼
「あっ、この血のこと⁉ いいでしょ綺麗で」
ミレイユちゃんは、トロンとした表情で語り始めた。
ダメだこの人、なんとかしなければ……‼
「まぁまぁそれは置いといて、聞きたいことあるんでしょ？ ユウマ君は」
「あっ、はい‼ 結局どうなったんですか⁉」
「ロニのことね。あいつには惜しくも逃げられたわ。私達の力が限界だったのもあったけど……」
「そうですか……どの辺りで見失いましたか？」
「北ブロックの『メノコ大雪原』よ」
「ありがとうございました‼」
「それじゃ私達はホテルに戻ってゆっくりしてくるよ～」
(さて、一旦戻るか……)
