第45話 颯爽と現れる3年C組の学級委員長ミレイユ
黒猫「お気に入り登録ありがとうございます」
ユウマ「てかタイトルのミレイユって誰?」
黒猫「まっ、これから会うことになるから」
ユウマ「…………」
俺達は、修行用に用意されていたザイルを使って下に降りた。
辺りはキノコやコケ、草や木が生い茂っていた。
こりゃ、きつい一週間になりそうだな……。
「この辺にコケが生えているということは、近くに川があると思います」
「それじゃ川を探して、魚でも取りましょうか?」
「そうですね……。――山菜も取れそうですよ?」
「なら手分けして取りましょう」
「そっ――伏せてください!!」
「はっ、はい!!」
俺はハイネ先輩に言われた通りに伏せた。
すると頭の上を何かが掠めて行った。
なんだ!? 魔物かっ!?
『チッ……』
振り返るとトカゲみたいな生き物がツバを飛ばして、舌打ちをしていた。
態度わるっ!
「あれはリザードヘッド……。まためんどくさいのが……!」
「そんなめんどくさいんですか?」
「はい、なんていうか……悪質です!!」
「はぁ…………」
悪質か……。確かに舌打ちもしたし地面に向かってツバも吐いたもんな。
「あいつらは頭を使った攻撃をしてきて、集団で行動します。だから今は一匹ですが油断しないでください。恐らく仲間が近くにいます……!!」
ハイネ先輩は辺りに気を配りながら説明した。
ここは俺もハイネ先輩に習って辺りを警戒するか……。
『うがっ!』
リザードヘッドは、口から水球を吐き出した。
「ハイネ先輩!」
「任せてください!!」
ハイネ先輩は後ろへ飛び退き、飛び退いた瞬間、縮地でリザードの後ろへ回り込んだ。
「これで終わりです《一崩狼》!!」
ハイネ先輩の得意技が炸裂した。
これでこいつは終わりだけど……そこだ!!
『グギャ!?』
あのリザードが倒れた時、横の草むらが揺れた。
そこに向かって《地龍閃・突》を放った。
そしたらハイネ先輩の言った通り案の定、仲間のリザードが隠れてた。
「ユウマさん! ナイスです!!」
「でもなんかやばいんじゃないですか、これ」
もう隠れても無駄ということが分かったのか、物陰からぞろぞろ出てきた。
「これは……!?」
『うがっ!!』
全てのリザードが水球を吐いた。
これはまずい!!
「ハイネ先輩!!」
「ユウマさん!!」
俺達は、背中合わせになり水球全てを剣で弾こうとした。
無数の水球が降り注ぐ。一個一個が回転しており殺傷能力もありそうだ。
「はぁはぁ……ハイネ先輩」
「なっ、なんですか……?」
「この状況やばくないですか……?」
「はぁはぁ……そうですね。どうしましょう」
弾いた水球が何個かは、リザードに当たったのはよかったが、弾ききれなかった水球によるダメージが結構ある。
命に関わるような場所に飛んできたものを、優先的に対処したから命に別状はないと思うが、なぜか力がでない。なんでなんだ?
「リザードの放つ水球には、相手の行動を不自由にする能力があるんです。不覚でした……!」
「ハイネ先輩! まだあきらめてはだめですよ!!」
『ガーッ!』
リザードはハイネ先輩の肩に噛み付いた。
肩からは血が出てきて、肌は露出している。
かくゆう俺も、足を噛み付かれ血がでている。
誰か……助けにきてくれ!!
「お仕置きタイムよ《小刀の雨》!」
突如上空から無数のナイフが落ちてきた。
だがそれらのナイフは、俺とハイネ先輩に当たることなく、リザードだけに当たった。
「アハハハッ!! 血の海みたい♪」
なんだ、この殺人鬼は。
「大丈夫? 二人とも」
「ええ、ありがとうございます」
「ありがとな」
「3年C組の学級委員長、そしてチーム『赤染めの血』のリーダーミレイユです! よろしくぅ~~」
「「ええええぇぇーーーーーーー!?」」
「そんなに驚くことないじゃん!」
「だって、すごく若いじゃないですか!!」
「ユウマさん。私達も若いと思いますけど……」
だってこの子どう見ても中学校1、2年くらいだよ!?
身長とか顔立ちで言えば小6でも通じそうだし……。
「ねぇねぇ。あっちに川見つけたからさ、あっちで話しよ~~! 立てる?」
「あっ、はい! なんとか」
俺もだいぶ動けるようになっていた。
あんまり水球の効力は持たないようだ。
俺達は、川へと向かった。