第26話 夏休み前はウキウキするよね~
「にしても直ってよかったよな~~」
「確かにみんな無事でよかったですっ!」
「二人とも心配しすぎ」
俺達は無事にヒストン学園へと帰宅した。
オリエットだけの初依頼としてはなかなか上出来だったと思う。
これでハイネ先輩のチームにすこしは近づけたかな?
「お前ら…………無事でよかったなっ!! (ガシッ!!)」
「ディオ先生!? く、苦しい……」
「青春だぁーーーー!!」
抱きつかれたレイン。そして茶化すセシル。
なんかどっかでこんなシチュエーションを見たことがあるような……。
「ところでお前達。これから毎日放課後に特別に補習をやる!!」
「「ええぇぇぇーーーーーーーーー!!」」
唐突すぎだろ!?
なんで補習!? もう地獄だよね!? 学校じゃなくてここ地獄だよね!?
「アリアンスの仕事で授業がつぶれてるからな」
「潰したのディオ先生ですよね!?」
久しぶりにセシルの突っ込みを聞いたなぁーー……。
最近突っ込みの出番がなかったから俺の中での存在価値がないに等しかったからな。
「それで終業式の日にテストを行おうと思う!」
勝手に話を進めるディオ先生。
「「……………………」」
「なんでそこ無反応!? ちゃんと突っ込めよっ!!」
「だってテスト簡単そうだし」
「そうね。別に勉強すればいいわけだし」
「………………」
「がんばれば出来そうですしねっ!」
「………………」
「おい。レインとユウマの二人が何も言ってないぞ」
「「…………嫌だぁぁーーーーーー!!」
「反応おそっ!? どんだけ遅いんだよ!?」
「あまりにも嫌だったから現実逃避でもしてたんじゃない?」
なんで放課後授業+テスト!? なんか俺悪いことしたか!?
「あのぉーー……二人ともテスト嫌いなんですか?」
「「テスト? 何それ? 美味しいの?」」
「まぁ、レインとユウマ以外成績がいい奴らだからな。勉強は普段からしてたんだろう」
ようは勉強に耐性がないと?
甘く見てもらっては困るぜっ!!
なぜなら俺は日本にいた時、最高一日2時間勉強した!!
……多いほうだよね?
そしてそのまま話が終わり、一週間が過ぎテスト前日になった。
「いいかっ? テストで赤点以下の奴は夏休みも補習だ! しっかりと勉強するように!!」
『はぁ~~い(嫌だぁぁーーーー)!』
「なんか‘はい’じゃない声も聞こえた気がするが……とにかくしっかりやるように」
そのままツカツカと教室を出て行った。
教室の至るところで『今日勉強教えてくれ! 頼む!!』『お金あげるから教えてくれ~』
『……夏休みの間に対リア充の組織を作ろうと思う』『こんな問題簡単よね~~♪』
など色々な声が上がってる。すこし関係ないこと話している奴らもいるけど……。
◆ ◆ ◆
「で、ユウマとレインも教えてほしいわけ?」
「「お願いします!!」」
「まったく……。ならいっそのことみんな私の家に呼ぶわ」
「確かにそうしたほうが効率がいいね」
「セシルいつの間に!?」
俺の後ろにいつの間にか我が親友セシルがいた。
こいつも頭いいんだよな……。
「それじゃルナちゃんも誘っていきましょ」
で、なんだかんだでアクアの家で勉強することになった。
そして午後7時まで勉強を一生懸命やった。
「てか勉強シーン飛ばしていいのか?」
黒猫「別にぃ~。だって勉強シーン書いても楽しくないじゃん?」
「お前最低だな……」
黒猫「だってぶっちゃけ書いても飛ばされるのがオチじゃん!?」
「それいったらおしまいだろ!?」
「それじゃそろそろご飯にしましょ」
「ふひぃ~~疲れたぁぁーーー!」
「これで明日のテストは完璧だな」
「ところでご飯どうするの?」
「そうね~……私が作ってもいいんだけど、それだとつまんないからくじ引きで作る人決めない?」
ふいにアクアが提案した。
「んじゃここに赤の印がついた割り箸が2本あるから、その引いた二人が料理するってのはどうだ?」
レインはバックから割り箸を取り出した。
「いいんじゃない?」
(てか何でそんなもん持ってんだよ……)
(どうせ他のことで使おうとしてたんだよ)
俺達はスムーズにクジを引いた。
そして赤のクジを引いたのは、俺とルナだった。
「俺意外と運がないんだな……」
「うぅ……うまく作れるでしょうか」
「食材とか調理器具とかキッチンの使い方はユウマが知ってるから教えてもらってね」
「おいしいもの作ってねぇ~」
「とっとと作れよっ! それじゃ待ってる時間暇だからトランプでもしようぜっ!」
レインはバッグからトランプを取り出して、配り始めた。
勉強しにきたのにそんなもん持ってきたのかよっ!?
てかすこしは手伝って欲しいんだが……。
去り際に『てか、勉強しに来たのになんでトランプなんかもってきたんだ!?』
とセシルの突っ込みが聞こえた。
やっぱ同じこと思ってたのか……。
「で、どうする?」
「とりあえず簡単な物を作りましょう!!」
「…………ミートスパゲッティとかどうだ?」
「いいと思いますっ!! だけど……ソースどうするんですか?」
「確か昨日ミートソースを使った料理だったから冷蔵庫にソースが余ってるはず!! だからそれ使えば後はなんとかなる!!」
我ながらいい提案をしたものだ。
「では私はサラダを作りますね」
「「レッツクッキング!!」」
~~30分後~~
「どうだ!?」
「ユウマ結構うまいじゃん♪」
「見た目もいいし味もうめぇ!!」
「まっ、まあな!」
「ねぇユ――『ちょーっといいかな』」
俺はアクアをテーブルから離して部屋を出て、肩を組んで話を始めた。
こうしないと逃げられる可能性があるからな。
(悪い!! 俺料理全然したことないからソース作れないんだ。だから勝手に借りちまった)
(べっ、別にいいけど……///)
(ん? 顔赤いぞ? 熱でもあんのか?)
俺は、熱がないかアクアの顔におでこを引っ付けた。
(……!? かっ、顔近い!!)
(わっ、悪い! でも別に熱はないな。あんまり長いこといても怪しまれるから戻ろうぜっ)
(そっ、そうね!!)
「ただい――レイン!? セシル!?」
「ユウ君にアクアちゃん!! 二人ともこれ食べたら倒れました!!」
ルナが差し出したのはサラダだった。
一見普通のサラダだが、ゆで卵のところの色がおかしい気がする。
いや、気がするじゃなくておかしいだろっ!?
なんで白と黄色じゃなくて黒一色なんだよ!?
どうやったらそんな色になるんだよ!?
「ぅっ……暗黒物質には気をつ、け、ろ……(ガクッ)」
「レインンンーーーーーーー!!」
「セシルはもう気絶? してるわ!」
「ルナ……何をしたんだ?」
「普通に作っただけですよぉ~~(泣)!!」
うっ! 上目遣い+涙目とは……!! もう反則級に可愛いんじゃないかっ!?
いかんいかん!! それよりも仲間の命が大事だ!
「ルナちゃん……とりあえず今度一緒に料理しよっか?」
「はい…………」
その日は結局みんなアクアの家で泊まることになった。
暗黒物質は袋に入れ、開けれないように締めてゴミ箱行きへとなった。