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第25話 警護隊、東ブロック隊長ハーデス現る!

連休がもう終わる……。

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【東ブロック警護隊所本部】


「ありがとうございました」

「いえいえ……」

俺達は昨日のあの後、すぐに東ブロック警護隊の人達に保護された。

俺は、その場ですぐさま傷を治してもらい、

ルナは腰を抜かしただけなので特に傷はなかったが、セシルとアクア、それにレイン。

この3人は結構傷がひどいらしく、2日間の入院が必要らしい。

ひどい傷なのに2日間で済むのは、ここの警護隊員の腕がいいおかげかもしれない。

そして今ちょうど事情聴取が済んだところだ。


「ユウ君……部屋戻ろっ?」

「ああ、そうだな」


今、俺達は東ブロック警護隊所本部にいる。

宿屋の夫婦から報酬(6万円)をもらい、ここにきた。

それぞれのブロックの警護隊所本部には、病室があり腕の立つ治療用の警護隊員がいるらしい。

ルナに聞いたところ

「この世界にユウ君の言う病院ってものはないです。各ブロックの警護隊所に治療してもらうのです。魔法特化種族にも武器特化種族と同じようにもう一つ重要なものがあって、それが治癒魔法です」


「治癒魔法? そんな便利なものが存在してるのか?」

「はい。詳しいことは全然知らないですけど。知るなら治癒魔法専門の人に聞かないと……」

「なんなら病室に行ってみるかい?」

「あ……あっ、あなたは!?」

急に背後から出てきて俺達の横についた。

身長は俺よりも高く、黒の癖のないショートヘアのどこにでもいそうな男の人だった。


「誰だ? この人」

「ユウ君知らないんですかっ!?」

「当たり前だろ? 3ヶ月前くらいにこっちにきたばっかりなんだから」


「そちらのお嬢さんは分かってるみたいだけど、君が知らないみたいだから自己紹介しておくね」

「僕の名前はハーデス=ドラン。東ブロックの警護隊隊長をやらしてもらってる。よろしく」

「よろしくな。ハーデスさん」

一応俺より年上っぽいし、隊長っていうぐらいだから偉いんだろう。なら敬語を使っとこう。

「よっ、よろしくお願いします!!」

「そんなかしこまらなくてもいいよ。気楽に、ね?」

「「はぁ………………」」

想像していた感じと全然違ったのか、ルナはボーっとしていた。


「それじゃ、病室にレッツゴーー!」

「「おぉぉーーー……」」



 ◆ ◆ ◆


「それじゃ僕はこの辺で失礼するよ。なにか困ったことがあったら、いつでも隊長室にくるといい」

「はい。ありがとうございました!」


俺とルナはハーデスさんと別れて病室に入った。


「セシル! アクア! レッ……大丈夫かっ!?」

「セシル君! アクアちゃん! レッ……大丈夫ですかっ!?」

「ちょっと待てーーーぃぃ!? なんで俺だけ心配されてないの!? しかも一回言おうとして止めたよね!? ルーまでそんなことする子だっ――『静かにしなさい!』はい……」

レインの言葉はアクアの言葉によって遮られた。

「まぁ、落ち着けって。冗談に決まってるだろ……多分」

「おい、ユウ!! 今ボソッと多分って言ったろ!?」

「レインうるさいよ。病院なんだから静かにしないと」

「そうよ。あとあんま大声出すと傷口開くわよ」

「そうですよ。レイン君もあんな冗談真に受けちゃダメですよぅ♪ ……多分」

「ユウに言われてもたいして傷つかないけど、ルーに言われるとすごい傷つくんだけどっ!!」

「だからうるさい!」

「他の人にも迷惑がかかるでしょ?」

「はい……」

どうやらここにレインの味方はいないらしい。


「まぁ、みんな元気そうでなによりだよ」

「心配したんですよぅ?」

「ここの警護隊員のおかげだよ。すごい治癒魔法だよ」

「私も今まで何回か治癒魔法をかけてもらったことがあるけど、ここはすごいわ」

「そうそう。俺も『黙りなさい』……姉御のペッタンコ」

「レインちょっとこっちきなさい」

アクアは急に目つきが鋭くなりレインに立ての合図をした。

傷の手当てがしてあるから一応は歩けるらしい。

そのまま二人は部屋の隅っこでなにやら話し始めた。


「なんか邪魔になりそうだから帰るな」

「うん、二人とも見舞いありがと」


俺達は病室を出て部屋に帰ることにした。

病室から出たとき後ろから、

『い・い? 私はぁ…ペッタンコじゃないから、ねっ?』

『すっ、すいませんでしたぁ!! ですから許してください姉御!! ぐへっ!?』

『何回も言うけど、姉御は止めなさい』

『すいませんでしたっ! ぺッタン――がっ!?』

『だからペッタンコじゃないって言ってるでしょ!? たっ、確かにルナちゃんと比べるとペッタンコかも知れないけど、一応これでも人並みよりすこし下はあるのよ!? うぅっ……自分で言ってて恥ずかしくなってきた///』

『まだ、最後まで言ってないのに……(ガク)』


よし! 今聞いた会話は忘れるとしよう! 命に関わることだからっ。

でもアクアは結構スタイルがいいと思うんだけどな……。

俺の周りにいた女子が悪すぎただけかも知れないけど。


「ユウ君~~! すいません。トイレで待たせちゃって……」

「いや、気にしてないから大丈夫だ。人生何事もゆっくりでいいんだよ。それじゃぁ~ゆっくり行こうぜっ」


『ゴメン、トイレ行きたいから行ってくるね』

『行ってらっしゃい』


病室の前→アクアが恥ずかしい話をしたあと出てくる→聞こえる距離→鉢合わせ……


「ルナ! 急ぐぞっ!!」

「えっ! さっき人生ゆっくりっていってましたよね!?」

「悪い。事情が変わった! 逃げるぞっ!!」


俺は最悪の事態を回避すべく、全力でその場を立ち去った。

あとでルナに聞くと、「あの時のユウ君、すごく汗ダクダクでしたよ?」と。

つまりあの時の俺は、相当焦っていたのが分かった。



 ◆ ◆ ◆


【その日の夜】



「てやっ! おりゃぁぁーー!!」

「こんな夜中に精がでるね」

「ハーデスさん!?」

俺は一人で、警護隊の訓練所で訓練をしていた。

「ぼくも一緒にいいかな?」

「どっ、どうぞ!」

「それじゃ失礼」


ユウマは剣の素振りを、ハーデスは空気イスをやりながら話始めた。


「にしても急にどうしたんだい? こんな夜中に」

「俺のせいでみんなを傷つけたから……」

「桐生――だったっけな。実は俺はそいつを知っている」

「えっ!? 本当ですか!?」

「ああ。これは警護隊副隊長クラス以上の人にしか知らされてないがな」

「詳しく教えてください!! 俺あいつに……仲間の仇うちをしたいんです!!」

「まぁ、まちなさい。桐生から手紙貰わなかったか?」

「あっ! そうえばここに」

俺は貰っていたことをすっかり忘れていた。

あれ? なんでこの人俺が手紙貰ったこと知ってんだ?


「やっぱりな。かしてくれ」

「どうぞ」

「(シュボ!)……」

「なっ、何を!?」

突如ハーデスさんは手紙をライターで燃やした。


「いいか、この手紙は桐生のお誘いだ」 

「お誘い?」

「そうだ。俺は先日も似たようなやつを見つけてな。そいつが桐生と思われる人物から貰った手紙にはこう書いてあった。『世界の終焉を望む者たち(エンド・オブ・ワールド・ディサイア)』に入りませんか? ってな」


二人は互いに訓練を止めて、話す体制に入っていた。


「なんですか!? それは」

「詳しくは分からん。詳しく知りたいなら中央ブロックのお偉いさんに聞いたほうが早いだろう」

「東ブロックの隊長より偉い人がいるんですか?」

「中央ブロックの総隊長や政治家などだな」

この世界にも政治家がいたのか……。

「それとこのことは誰にも口外するな。いいな?」

「はい……」


俺達は、互いに自分の部屋に戻ることにした。



【夜中の1時 オリエットの部屋】



「ユウ君?」

「まだ起きてたのかルナ。何してたんだ?」

「ユウ君こそ、こんな遅くまで何してたんですか?」

「訓練だ。俺はまだまだ弱いからな」

「ユウ君は弱くないですよっ! みんなを守ったじゃないですか!」




「守れてなんかいない!!」




「っ!?」

ユウマが大きい声でどなったからルナは体をビクッと震わせた。


「……ヘタしたら、みんな死んでた。あいつはその気になれば俺達全員の命を奪えたはずだ。あいつらがケガしたのは、俺がしっかりしてないからだ。俺がもっと強ければ……!!」




「あんまり自分を責めないでください!!」




「っ!?」

普段あんまり大きい声を出さないルナが大きい声をだしたから驚いた。


「ユウ君、がんばったじゃないですか……。私達を精一杯守ろうとしてくれたじゃないですか! 確かに桐生は私達の命を奪えたはずです。でも結果はどうであれ奪われてないじゃないですか!? だからそんなにあせらなくてもいいと思うんです……」


「そうだな……。ルナの言うとおりだな。悪い、なんか今日疲れてるからもう寝るわ……」

「ユウ君…………」


(俺は……俺はどうしたらいいんですかっ…………師匠!!)







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