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第16話 ユウマの両親

たくさんのお気に入り小説登録ありがとうございます!!

このまま50を超えるとうれしいな~って……ずうずうしい願望ですいません。

それと今ごろ書くのもおかしいかも知れないような事実の発覚です……。

 ◆ユウマSIDE◆


「とりあえずこのまま3人で行動しよう。バラバラになると相手の思うつぼだ」

「了解です!」

「任せとけって!」


俺達は中央広場から東に伸びている道に入った。

東通り(東にある道のこと)にはルナが言っていたようにお店がそこそこの数でていた。

そしてそのまま東通りを進んでいき、途中にある脇道に入った。

確かに今までの被害者たちが言っていたように、その脇道は、薄暗くて人がまったくといっていいほどいなく、服の文字なんか何が書いてあるのかさっぱり分からなかった。


「どうする? このままここで待ち伏せしているか?」

「いや、それだとやっこさんも出てこないだろ。ここは無難に囮作戦でいこうぜっ!」

「無難ってことはないと思いますけど……」

「それで誰が囮になるんだ?」


「「ジィィーーーーーー(二人がユウマを見ている描写)」」


「ササッ!!(ユウマが目をそらす描写)」


なんだ!? なぜあいつらは、俺を見てるんだ!? 

やれってかっ!? 俺にやれってかっ!?


「レインくん。わたし暗いのこわぁーーい(棒読み)」

「なに!? 暗いのが怖い女の子を囮に使うわけにはいかないっ!! 俺はルーをすぐさま安全な所に避難させるからここはユウがんばれ!」

言いたい事を全部言い残すとレインとルナは、今来た道を引き返していった。


「……って待ちやがれぇぇーーーー!! 絶対ルナ怖がってないだろ!?」

あんな棒読みで騙せると思ったのか!?

むしろ本当に怖いならここに入ってすぐに言うはずだ。 

「くそっ! こうなったらやるしかねぇ!」

ルナに貸してもらったバックを使い、細い道を往復しまくった。

(やっぱり顔がわれているから襲ってこないの? もしくはこの道ではなくて、他の道に行ったかのどっちかだろう。ならこんなとこでウロウロしてないで早く出るか。べっ、別に怖くなんか――バッ!)

俺はツンデレのお決まりのセリフを心の中で言おうとしている時に、後ろから変な気配を感じたから振り向いた。


「ちっ!」

身長が俺より少し低いくらい――つまり170cmくらいのサングラスをかけた男がポケットからサバイバルナイフを取り出し、こっちに向かってきた。言い換えると今回の犯人だ。


「くらぇっ!!」

「あぶねっ! 仕返しだっ!」

「くっ!」

俺は犯人が上から下にまるで釣竿を振るように振ってきたナイフをサイドステップで右にずれ、そのまま腰を落とし、相手のすねを思い切り蹴ったらこけてくれた。

普通ナイフって刺すものだよね? こいつ素人?

実のところ俺は、こういった体術を使った接近戦がそこそこできたりする。


 ◆ ◆ ◆


俺がまだ中学1年生のころ、両親を交通事故で亡くした。

俺は、その時友達と遊びに行っていたから運よく死なずにすんだ。

だけど当時は「俺もそのとき死んどけば良かった」とバカバカしいことを考えていた。

そんなバカな考えを綺麗サッパリなくしてくれた人がいる。


父さんの仕事仲間だ。


俺の家は母さんが食品店で働いており、父さんは警察の仕事をしていた。

まぁ、ようは共働きってやつだ。

両親二人が死んでからというもの、俺はずっと泣いてばかりいた。

時には「自殺してやる!」と暴れてみんなに迷惑をかけたこともあった。


そんな俺を止めてくれたのが父さんの仕事仲間だ。


名前は名乗ってくれなかったし、父さんと具体的に何をしていたのかも言わなかった。

だけど、泣いてばかりの俺に嫌気がさしたんだろう。その人はこういった。



「まだお前の命があるだろうがっ! 男がいつまでもメソメソしてんじゃねぇっ!! 確かに両親を亡くしたりしたら俺でも泣くだろう。だけどそんないつまでもメソメソしてるわけでもない。俺だったら……自分の命が尽きるまで人の為に精一杯働く。だって――」


「てめぇが知ったような口きくんじゃねぇ!!」

「「!?」」

泣いてばかりいた俺が、大声をあげたからみんなすごく驚いた表情をしていたのを覚えてる。


「父さんの仲間だったとかそんなのもうどうでもいいんだよ……! てめぇに俺の気持ちの何が分かるんだよっ!! 父さんは……母さんは……もう帰ってこないんだよ!!」


「……確かに分からないかも知れねぇ。だけどいつまでもそんなことを言っていていいわけないんだよっ!! お前みたいな奴がまだ世の中には、いっぱいいる。だからそいつらも助けなきゃいけないだろ!?」


まだ精神的にガキだった俺にもその人が言っていることは充分に理解できた。

もうこんな悲しい気持ちは嫌だった。勿論他の人も嫌だろう。


「だったらどうすればいいんだよっ!! 俺に何ができるんだよ!」


「強くなれ!!」 


「っ!?」


「精神的にも肉体的にもとにかく強くなれっ! そして自分ができることを精一杯しろ!」

「自分ができること…………?」

俺は、とっくに泣き止んでその人の言うことに真剣に耳を傾けていた。

「ああそうだ。ただし正しいことだぞ。悪いことはするな、いいな?」

「うん!!」

「よし早速腕立て200回だ!」

「はい!」


 ◆ ◆ ◆


といった風にこの人にある程度のことを教えてもらったことで今の俺がいる。

あの人がいなかったら俺はとっくの昔に死んでいたかもしれない。


「くそ、逃げ――『吹き飛べ!』ぐはっ!?」

サングラスの男は、木にぶつかり気絶した。


「ナイス!」

「まっ、こんなもんだって」

「お疲れ様でした。ユウ君」

「囮に使って悪かったな」

「まっ、もう過ぎたことだから気にすんな」

「とりあえず連絡とりましょう」

「そうだな。レインとルナはここに残って、警護隊がくるまでまっといてくれ」

「ユウは!?」

「俺は、あいつらのとこに行ってくる」

「はやめに帰ってこいよーーー!」


俺は、今あの人の言うとおり正しいことがやれているのだろうか?






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