作れるもので、作りたいもの。
錬金術、と言っても色々なものがある。
釜に材料を入れて少しずつ加工していくもの、物質の中にある魔力ーーマナって言ってたっけ? それを分解して繋ぎ合わせるもの、それはもう鍛冶じゃない?ってやつもあれば、物と物の価値をすり合わせて交換するやつだってある。
けれど錬金術と言う名前は変わらなくて結局何かを作り出す技術だ。
やり方はそれぞれ、ただ流派が違うようなものだ。
錬"金"術なんて言ってるけど作るのは金だけじゃ無いって事だね。……源流はそれが目標だったのかもだけど。
さて、そんな私も、一錬金術師の一人だったりする。
やり方は最初に出した錬金釜に材料を入れて混ぜ混ぜするタイプ。
もちろん、やる事はそれだけじゃないけど色々言っても仕方ないからそれだけ覚えてくれたら良いよ。
そして私は店を営んでいて、主に錬金術で作ったものを売って過ごしている。
場所は王都。
これだけなら確かに凄かったかもだけど……商店街から少し離れた裏路地の奥の暗い所に店はある。
まさに、知る人ぞ知る! って感じだ。
この隠れ家的お店の雰囲気が気に入ってる。
……ここしか買える場所が無かっただけなんだけどね。
ま、まぁ、それは置いておいて。
この、王都はそこそこ大きく、国立学園なるものがあったり、当然王都なので騎士団なんかもあったりするし住宅街だと別で自警団もいる。
なんでそんな話をするのかと言うと……時折、そんなお客様がふらりと私の店を見つけてやってくるのだ。
嘘じゃないよ。これでも王都に店を出そうとするぐらいの実力はちゃんとあるつもりだ。
ほら、まさに今、店内ではうむむ……と棚に並べた商品をしかめっ面で唸っている学生が一人。
私の店では主に、薬関連の物と、可愛い小物、そして半分趣味で作っている適当な効果を付けたアクセサリーの三つを売っている。
特に、アクセサリーは売れ行きが良くて、若い人達や商人さんなどが買ってくれている。
あの学生が見てくれてるのもアクセサリーだね。
その学生ーー12歳ほどの少年は店に入ってからと言うものずっとアクセサリーの場所で止まっている。
少し気になり、私は会計のカウンターから出て声をかける。
「そこの君、何かお探しかい? 随分、悩んでくれてるようだけど」
「あ、店員さん。すいません、これと……これ。どっちにするか迷ってて」
私は店員じゃなく店長なんだけど……そんなに店を持つように見えないかな。
はぁ……まぁ良いか、いつもの事だし。
「効果はおまけだけど、左の方は何となく疲労が回復する物で、右の方は少しだけ体が軽くなった気がする物だね。ちなみに自分用?それともプレゼント?」
「えっと……プレゼントです。友達に」
そう、少し顔を赤くさせながら言った少年はとても友達に送るようには見えなかった。
これはこれは……とても青春の匂いがするよ!
私は少し待っててと言い、カウンター裏から在庫の入った籠を持ってくる。
これは作る時に気合が入ってしまって並べてる商品よりも効果等が強くなってしまい店頭に並べれなくなったアクセサリー達だ。
いつも売っているアクセサリーは、効果おまけとして付けてるだけなのでこう言ったちゃんとしたやつは理由でも無いと売り出せないのだ。
「はぁい、持ってきたよ。こっちも同じ値段だから見ていってね!」
そうしてテーブルに置いた籠の中身を見た少年は驚きの表情を浮かべ、バッとこちらに向いた。
「これ、本当に同じ値段なんですか!?」
「お? 分かっちゃう? 流石、あそこの学生さんだ。そうさ、同じ値段だよ。どうせお店で雑に売るにはアレだし、私は私の作ったもので笑顔になってくれる人がいるならそれだけで嬉しいしね」
この少年が私のアクセサリーをプレゼントして、それで意中の相手や少年が笑顔になるなら私は喜んで差し上げよう。
まぁ、流石にただってわけにもいかないけどね。
それから必死の形相でアクセサリーを選んだ少年は店を出るときには笑顔でありがとうございますと言ってきた。
うんうん、これが見たくてやってるんだよね。
そして、私は毎度ーと手を振り送り出した。
それからしばらく経ったある日。
例の少年が1人の女の子を連れてやって来た。
そして女の子の首には少年が買ったアクセサリーが一つ……
成功したのかな……?
二人は店内を彷徨きアクセサリーの前で止まると、ここで買ったんだよと言わんばかりに少年は置いてあるアクセサリーを少女に見せた。
その光景はなんとも微笑ましくて、温かかった。
私が錬金術を始めた理由はこれだ。誰かを笑顔にしたい、私の作ったもので誰かの笑顔を作りたい。それだけのためにここまで頑張って来たんだ。
うん、まだまだ頑張れそうな気がするよ。
私はカウンターから二人の様子を眺めながらそう思ったのだった。




