雨過天晴
目を覚ますとそこは横浜国際総合競技場のピッチの上だった。
普段なら熱狂があるはずのピッチにそれはなかった。
なぜこんなところに?あの戦闘はどうなったんだろう、秋田にコケにされて突然昂ぶってからの記憶が全くない。
うーんうーんと考えあぐねていると目の前から私が歩いてきた。
「え?なんで私が目の前に?」
「ええ、私はあなたですから。あなたの別人格、生まれたばかりのね。あなたは過度なストレスで壊れてしまい、先程の怒りや昂りがトリガーとなってとうとう別人格が生まれてしまいました。私がそれです。」
「何を言っているのかよくわからない…私は…私という人格のはず…!」
「えぇ、そうですよ?ですが私も私です。私達が人格として宿るこの体に2つの人格が芽生えてしまった…といえばわかりますかね?」
そして楓の元の人格が2つ目の人格に問いかける、
「そっ、そう言えば!今戦ってるはずなんだけど、どうなってるの?」
「単刀直入に言いますと…万事休すです。私たちの体は気を失ってもうそろそろトドメを刺されるところです。」
その言葉に声も出なくなり呼吸が荒くなる。とうとう死んでしまう、死ぬのは嫌だ、生きたい…生きたい…
「生きたいと思うのであれば覚悟を決めなさい…!」
別人格がそう告げる
「私は本来いてはいけない存在なのですよ?でもあなたが弱いから、覚悟を決めたと言い聞かせていただけで実際は自分の意思なんかではなくただ壊れた本能に任せて戦っていただけだから…私という存在が生まれてしまったのです!いい加減目ぇ覚ませよ!」
物腰柔らかで敬語だった別人格が突然声を荒げ元の人格は驚く。
「覚悟を決め、生きる為だとしても殺したことに後ろめたさを感じるのではなく、殺した事実と向き合い、殺された者の無念も背負いお前が生きろ!それがお前にできる殺した者、そしてこれから殺す者にできる最大の敬意だ!!そして誓え!いつか必ず、全魔法少女の思いと無念を背負い!あのクソ天界人を殺し!これ以上私達のように犠牲になったり傷つく子を無くすと!!!」
その言葉に元の人格はハッとして立ち上がる、
「……………わかったよ、やっと…やっと自分の心に踏ん切りがついた。そして最終目標も、私の未来もつかむ、そして、敬意を持って魔法少女も天界人も皆殺しにする、そしてこれ以上苦しむ子を減らす。それが私にできる鎮魂曲だから。」
そう告げた元の人格にもう迷いも、陰りもなかった。
「いい顔するようになったじゃん、気分は?」
「最高潮!!」
読んでいただきありがとうございました!さぁ!とうとう迷いが晴れこの戦いもクライマックス!そして新たな目標もできた楓は一体ここからどうなるのでしょう?いやぁ天界人との決戦を書くのが楽しみでたまりません!ではでは次回もお楽しみに!




