飛んで火に入る夏の虫
見つけては殺し、見つけては殺し、見つけては殺し…そこに自我なんてものはなく、ただただ反射のように殺し歩いていると雨が降り始めその勢いを強めていた。
新横浜公園内から強い魔法少女の気配を感じ私はその気配に吸い寄せられるように気配の方向へ向かった。
それがいたのは新横浜公園内にある横浜国際総合競技場の地下にあり湿った空気に水滴が落ちる音が反響していて巨大な柱が立ち並ぶ駐車場だった。彼女は髪型は青のツインテール、胸当てと肩当てとガントレット、下半身には膝上くらいの丈のスカートに、腿当と膝当に脛当、かなり軽装備な騎士のような恰好をしていた。
「お前、もしかして小笠原楓か?あたしはランキング1位の秋田芽衣、あんたを殺したらランキング独走になるんだよ、だからあたしの糧になってくれよ!!」
秋田は持っていた槍を私に向かって投げてきた。避けたと思ったら秋田の拳が眼前にあった。私はそれをまともに食らった。
「あたしの能力はなぁ、登録した物の場所まで瞬間移動できるって能力なんだ、なんで説明したかって?あんたが想像以上に弱いからハンデをあげただけよ。」
しとどに流れる血液を見てなぜだか私は昂りが抑えきれずにいた。そしてとうとう一つ人格が壊れ、私の中に新たな人格が芽生える。
「ぶっ殺してやる…!!!」
私は手を前に突き出し武器を生成する。すでに爪のある甲手があるがもう一つの武器、金棒を手に入れた。
「これで戦うと思うじゃ~ん?」
私は惜しみなくギフトを使う、斬撃の嵐が晴れるとそこに彼女はいなかった。
「上だよ、上」
見上げると天井に突き刺さっている槍につかまってぶら下がるボロボロの秋田がいた。
「な~んだ、全然強いじゃん。」
秋田が斬撃の嵐の中
で拾った破片を指ではじき私に飛ばしてくる。私が振り払おうとすると目の前に秋田が瞬間移動してきた。対象にできるのは一つではなかった。秋田が躊躇なく槍を突き出してきた。
何とか体をひねり刻印に命中するのは避けたが脇腹に深く突き刺さった。
怯んだ隙を逃さず秋田は肉弾戦を仕掛けてくる、私は刻印に当たらないようにするので精一杯、反撃の余地なんてない、彼女の貫手が私ののどに突き刺さり呼吸ができなくなる。その隙を逃す秋田ではなく的確に刻印を狙ってくる、『あっ、死んだ』しかし私の本能はそう簡単に死なせてくれないらしく私は無意識に、咄嗟に間に金棒を入れた。
しかしすさまじいパワーの拳は金棒を歪ませ、吹っ飛んだ私の体は柱を何本も貫き5本目のあたりでようやく止まった。
そして私は気を失った。
読んでいただきありがとうございました!気を失って今わの際の楓、いったいどうなってしまうのでしょうか…




