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魔女狩りの少女  作者: 染賀侑李


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朧気2

 その後警察に通報してまだ未成年だったヒカルは児童相談所に送られ、その後児童養護施設へ送られた。

 18歳になり児童養護施設を出たヒカルを待っていたのは幼馴染の彼だった。

「退所おめでとう…ずっと待ってた。」

 その言葉を聞いたヒカルからは自然と涙があふれていた。幼馴染の彼からは泣かされてばかりだ。

 幼馴染の彼は一人暮らしを始めたらしい、行く当てに困っていたヒカルを同棲するように誘ってくれた。ヒカルは迷うことなく首を縦に振った。その日から幼馴染の彼との…祐希との共同生活が始まった。

 ヒカルにとって共同生活は殆ど苦悩しかなかった人生にとって、まるで荒野に一輪の美しい花が咲いたような、地獄にほんの少しの楽園を見つけたような、そんな気分だった。食事も、掃除も、洗濯も、全ての生活を大好きな人と共有する、ヒカルの生活に笑顔が増えた。父に処理させられていたことも自分から誘うようになった、ヒカルの心に余裕ができた瞬間だった。

 しかしそんな幸せが2年ほど続いたある日、祐希は今までできていたことが出来なくなった。最初は料理の段取りをミスるとかそんな小さなことだった。しかし日に日にエスカレートしていき予算管理ができなくなり、所属している草野球チームでも思うようなプレーができなくなり、とうとう家への道順を忘れてしまった。

 ヒカルは祐希を脳神経外科へ連れていった。そこで受けた診断は到底受け入れ難く、目を背けたくなるような結果だった。若年性アルツハイマー、つまり認知症である。認知症は本来お年寄り等が多く発病し、若年性アルツハイマーでも50代が多いらしい。祐希はまだ20歳、祐希はこれからの思い出をとりこぼし、今までの思い出も、恩義も消えてしまう体になってしまった。

 それから1年、祐希はプライドを折られ、怒りっぽくなり、躁うつ病も発病したがヒカルは介抱を続けながら沢山思い出を作ろうとできることは何でもした。普段の買い物も、旅行も、たわいのない会話も、沢山の思い出を作り、一つでも忘れないものがあればいいと願った。

 しかしとうとう祐希はヒカルを忘れてしまった。

「誰だよお前!出てけよ俺の家から!!」

そんな罵声を浴びさせられても、

「飯?誰が知らねぇ奴が作った飯なんか食うか!」

ご飯を投げつけられても、

「俺に触れるな!警察呼ぶぞ!!」

手を上げられても耐え忍び、ヒカルは祐希を思い続けた。

 しかしそんな日々が続くとヒカルの目から光が消え、笑顔もぎこちなくなり、とうとう消えた。ヒカルも思い詰め、体中には祐希から受けた暴行の跡と自傷の跡、やつれ、やせ細り、白髪も少しだけ増えてきた。22歳には到底見えなかった。

 ある日、ヒカルが買い物から帰ってくると祐希が宙ぶらりんになり冷たくなっていた。その晩、ヒカルも自分の首に包丁を突き立てようとした。しかし手が震え、呼吸が荒くなり、涙が頬を伝い覚悟ができずに気を失った。

 目を覚ますとそこは病院だった。顔の左半分がうまく動かない、体中にも包帯が巻かれている。そして患者衣とベッドは汗と涙でビショビショになっていた。

「夢?」

ヒカルは嫌な昔の夢を見たと思い、タバコを持って屋上に出た。

 屋上に出るとそこには私がいた。

「ヒカルさん、こんな時間に何してるんですか?」

「ちょっと昔のこと思い出しちゃってね、楓ちゃんは?眠れないの?」

いつもと変わらない飄々とした口調、柔らかい表情、しかしそこに何かを感じ取る、しかし私はそれを聞かずに話を続けた。

「はい…ちょっと眠れなくって、三日前の戦いはほぼ天界人のワンサイドゲームでした。強くならないとなって…」

「そう、楓ちゃんは熱心なのね…」

そう言ってヒカルはタバコをくわえる。

「そういえばヒカルさんって何歳なんですか?」

「唐突だね〜、確か…23?」

私は私から聞いておきながら「ふーん」と軽く流し自分の病室に戻った。

読んでいただきありがとうございます!ヒカルの壮絶な過去…これでこんなに飄々とした性格になれるのは才能ですか?

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