死神
自宅に戻ってきた楓は弟や母親に変化や違和感を悟られないように新品の制服を着て入学式へ行く準備を整えた。普通なら希望で胸を膨らませるであろうが楓は恐怖や憤怒で母の言葉もほぼ届いていなかった。
「じゃあお母さん後から行くから、友達たくさんできるといいわね!」
「うーん…」
家の扉を開け気が重いながらも入学式へ行こうと一歩踏み出す。頭上に気配を感じ後方に跳ねるようにサッと戻る、鎌が鼻先を掠め振り抜かれた。一瞬でも反応が遅れていたら確実に死んでいた。
彼女が体を上げると丈が足りず腹部の刻印が見えている黒に赤色のセーラー服、下半身は膝丈程度の黒いプリーツスカート、腰のあたりまである髪が風でなびいている。
「ッチ避けられたし…新人なら簡単に殺れると思ったんだけどな〜…まぁ次の一撃で殺すし」
彼女は明確な殺意を持っていた、次の一撃、なんとか間に腕を入れたが彼女は側頭部に蹴りを入れてきた。途轍もない衝撃音がそこら中に響き渡り私は近くにある商店街まで吹き飛ばされた。商店街のビルの2階にに突っ込み体中に激痛が走る、しかし彼女は待ってくれない、すでに眼前にいた。
「へぇ〜今ので耐えてるんだ〜…やるじゃん。でも、だからこそ化け物になる前にあんたを殺しとかないと。」
彼女が鎌を振りかざす、走馬灯のように天界人が言っていたことを思い出す、
“刻印に一度触れると変身して武器が使えるようになるよ”
もうどうとでもなれと私は刻印に触れた。
体中が光りに包まれ光が解けると私の衣装が見える、胸にはサラシ1枚に黒に黄色の差し色の長羽織に肘から指先にかけて鋭利な爪がある甲手、下半身は丈が超短い黄色い和風のプリーツスカート、髪が伸び牡丹の髪飾りをしてポニーテールになっている。
「これが…私の衣装…なんか魔法少女って感じではないな。」
そんな戯言を垂れていると彼女が的確に刻印を狙い鎌を振りかざしてきた、私は鎌を甲手で鷲掴みにしてそのまま刃の部分をへし折った。
「なんかよくわかんないけど…私の未来を他人に決められてたまるか!!!」
すると彼女は絶望も驚きもなくニヤリと笑う、
「へぇ〜好きだな〜あなた、でもね…私も生きなきゃいけないの、だからごめんね、ギフトを使うことにするよ新人ちゃん…」
突然体が動かなくなり硬直する
「私のギフトはね、見えない鎖を生成するの、ほら動けないでしょ?安心して、最後の情で苦しまないように刻印に攻撃して一撃で殺してあげるから!」
私は見えない鎖に拘束されていたのだ、万事休すだ。私は心のなかで唱える
『なんかでなんかでろなんかでろ!』
そして叫んだ
「なんとかなれー!」
彼女が何かを察知しバックステップを踏む、すると斬撃が走り彼女の目元を掠め赤い線を描いた。彼女は取り乱すことなく「ふ〜ん…」と薄ら笑いを浮かべながらこちらを見ている。
「やーめた!あなたきっともっと強くなる、強くなってから殺したほうがポイント貯まるし、そうだ!あなた名前は?」
突然のことで驚いたが私は名前を告げる
「小笠原…小笠原 楓」
「そう…カエデっていうのね、私はの名前は“曽ヶ端 ヒカル”生きてたらまた会いましょ!」
そう言ってさっき突っ込んだことで空いたビルの大穴から飛び降りていった、すると体が動くようになる。
これが後に鉄人と呼ばれる小笠原 楓の初めての戦闘であった。
現在の楓の持ちポイント
0ポイント
同期内ランキング
32位
同期生存数
32/40
読んでいただきありがとうございました!まさかの才能の原石でしたね、ここから先楓が鉄人と呼ばれるのはなぜか…注目ですね!




