砦の先に砦
目を覚ますとそこはあの日にルール説明を受けた密室だった。
「目、覚めました?」
振り返るとそこにもう一人の私、もう一つの人格がいた。私はあの人の言う言葉がまだ信じられずに彼女に問いかける。
「え…?嘘だよね?だってあなたは…私に勇気を与えて…迷いをなくしてくれて…それで…!」
彼女は沈黙を続けていた。
「黙ってちゃわかんないよ!何か言ってよ!」
彼女が遂に口を開く、
「はぁ〜あ、あとちょっとだったんだけどなぁ…」
ドロドロと溶けるように皮が剥がれ落ち、中から真っ白のヒトガタ、天界人が出てきた。
「本当だよ?そもそも君、天界人を殺したいです、そのために魔法少女を皆殺しにするのが被害を最小限する方法です、っていうとんでもない理論に疑問は浮かばなかったの?………あ!そっか、僕が洗脳してたからわかんなかったんだ!ごめんね〜。そ・れ・と!おまけで教えてあげるけど別に僕を殺しても他の魔法少女にも一般人にも影響はないよ!あれは僕が牽制で言っただけ〜。」
私は血が沸騰するような怒りを覚え拳を握りしめた。強く握りすぎたのか拳から血が流れるが私はそれに気付かない。
「ぶっ殺してやる…今すぐに!」
「そっか!頑張ってね〜!」
私は突っぱねられるように密室から出される光景を最後に目を覚ました。
目を覚ますと私はベッドの上で寝ていた。
「ここは?」
見渡すと普通の汚部屋だ。
「起きた?あなた3日はうなされてたわよ。」
部屋に入ってきたのは安房埼にいたあの魔法少女だった。私はすぐに変身しようとする。
「落ち着いて、別に敵意はないわ。それにあなたが寝ている間私が面倒を見てたのよ?」
その言葉にハッとする、あのタイミングで殺されててもおかしくなかった、それなのに殺さないどころか看病をしてくれた、私はベッドのうえに正座をして深々と頭を下げた。
「申し訳ありませんでした。恩人に殺意を向けて…。」
「気にしてないわ、顔を上げてちょうだい。」
「そういえば、ここはどこなの?」
「ここは私の家よ…そうまじまじと見ないでちょうだい、掃除苦手なのよ。」
読んでいただきありがとうございました!自分で書いてて思いますけど…天界人はゲスですね




