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短編集

全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ

作者: 十三岡繁

 バッファローと聞けばまずイメージするのはアメリカバイソンだろう。アメリカバイソンは北アメリカ大陸に生息するウシ科の動物だ。普段は数十頭の群れで生活をしているが、これはオスとメスが別々に群れている。繁殖期にだけ両方の群れが合流して大規模なものになる。疾走するのは他の群れと合流するためでもある。


 つまりバッファローは自分の伴侶を求めて突き進んでいるともいえる。その障害となるものを破壊していく事もあるだろう。その暴力的な活動も理由を考えれば、いささかロマンチックな話とも感じてしまう。


 現在日本では少子化が進んでいる。2023年の出生数は速報値が出ているが75万8600人だ。これは日本で暮らす外国人も含んでいるので、日本人だけとなると73万人ぐらいではないかと予想されている。第一次ベビーブームの頃は一年に生まれる子供の数は270万人程度だったので半減どころか1/4近くまで落ち込んでいる。一人の女性が生涯のうちに子供を産む数、出生率は1.26にまで下がってしまった。


 お隣韓国では、この出生率が暫定値ではあるが0.72という事で話題になっている。しかしその韓国も2015年ぐらいは、今の日本と同じくらいの数字だった。日本は団塊ジュニアと呼ばれる、前出の第一次ベビーブームの子供たちが出産適齢期を迎えたことで、2000年からしばらくの間は出生率の落ち込みが無かった。それで油断していた部分もあると思う。しかしもうそれは無くなったのだ。ここからは韓国と同様の落ち込み方になる可能性すらある。


 30歳未満の若者に対するアンケートで、『子供が欲しくない』と答えた割合が初めて過半数になったらしい。特に女よりも男の方がこう答える割合が高いという事だ。全てを破壊しなくていいので、男女限らずバッファローの様に伴侶を求めて突き進んで欲しいと思う。


 今の日本は人間が多すぎるから、減ってもいいという人がいる。公的な人口予測では2120年ぐらいには日本人の数は現在の4割、5000万人以下になるだろうとしているが、今の勢いだと4割どころか1/3を切るような気がする。


 想像して欲しい。現在の人口が1/3になれば街行く人も車の数も1/3になる。しかしビルや道路などの社会インフラはそのまま残る。これを今の1/3の人数で維持管理していかなければならない。現在の2/3を壊してしまうという手もあるだろう。しかしそんな事が本当に可能だろうか?


 未だに高速道路も新幹線も作り続けて、都内ではタワーマンションの売れ行きが絶好調だという。今から100年後の我々の子孫は、100年前の我々の行動をどう評価するのだろうか?


 物理的な意味ではなく社会的な行為として『全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ』だと言われそうな気がする。こちらは何らロマンチックではない。


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