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8話 真実

午前10時ごろ、電話がかかってきた。陽介は部下から、魂狩りと呼ばれる事件で相場一が捕まったことを聞いた。しかし、陽介にとってはどうでもよい出来事だった。なぜなら、10年ほど前、駒が欲しかった時に、街で騒動を起こしていた相場を、暗殺部隊の副隊長に抜擢したことを覚えていた。


「あいつ、もういらないかなぁー」


相場の知名度は10年でかなり上がり、もはや暗殺部隊の一員としての存在感は薄れていた。最近では仕事を欲しがり、陽介にとっては邪魔な存在になっていた。先日、斎藤という者に対する仕事を与えたが、相場は敗れ、捕まってしまった。


「処分しておきますか?」


「いや、俺がやっとくわ」


極星会の情報が漏れると都合が悪いため、陽介は自ら手を下すことを決断した。黒服にそう告げ、陽介は自室を出て行った。


~護送車内~


相場は高ランク危険人物専用監獄『永獄』に収容されようとしていた。


「おまえらはもう終わりだ。うちの隊長が来るぞ、俺を助けにな」


「それはラッキーだな。これでまた一人、凶悪犯を捕まえれる」


そう言う男は自信に満ちていた。確かにその男は強そうだが、相場には敵わないだろう。そして、他の3人もかなりの実力者であることに気づいた。


「まぁ、せいぜいがんばれや」


そういってから三時間ほどが経過した。突然、護送車が止まった。


「どうした?」


男が運転手に尋ねた。


「前に人が出てきました。」


「なわけあるか。この道は極秘だぞ」


男は車外に出て行った。


「お前、何者だ?」


「暗殺隊、隊長と言ったほうがいいかな」


「仲間を助けに来たというのか?」


目の前の男は、暗殺隊というよりは街でナンパする若者にしか見えなかったが、その雰囲気は長年の戦場で戦った戦士のようだった。


「確かに、これはかなりの大物だな。おまえら全員、手錠をかけろ」


そう言うと、男が叫ぶと車内から3人の男が出てきた。


「こいつが隊長というやつですか?」


「そうだ、全員で一斉に行くぞ」


「俺一人で十分です。」


そう言うと、一人が剣を手にして突っ込んでいった。


「おい、待て」


注意を無視して切りかかった。


すると、男の体は炎となって剣をすり抜け、笑顔で肩を軽く叩いてきた。


「いきなり、切りかかってくるなんて野蛮すね~」


「ひぃ、ば、化けもの」


そう言うと、男は手を払い距離を取った。


「化け物なんてひどいこと言うなー」


そう言うと、拍手を一回鳴らすと、先程男が叩かれた肩から炎が噴き出し、男を飲み込んだ。


「何をした貴様!」


樋口陽介

A級能力者

能力「烈火」

1時間以内に自分が触れた場所から業火を出すことができる。

自分自身も火になることができ、物理攻撃が効かない。


「さぁー、何をしたでしょうか?」


そう言いながら、陽介は近づいていく。


「よ、よくもーーーーーー」


そう言って、もう一人の男も剣を手に取りかかっていった。


「おい、待てお前」


そして、さっきと同様に肩を触られ、たちまち火だるまとなった。


「どうします、俺たち二人で何とかなりますか?」


「もともと、四人でも勝てないだろ。せめてあがくぞ」


そして、ふたりは顔を見合わせて合図をとって切りかかった。


しかし、攻撃は届くことなく地面から炎が噴き出してきて、そのまま火だるまと化した。


それを見届けると、樋口は護送車を開けた。


「隊長、助かりました。」


「いいよ、別に。その代わり話があるんだ。」


「なんでしょう?」


「お前、首だ」


「え!?」


「だから、解雇だと言っている」


「でも俺は副隊長だし」


「それは大丈夫、もともと暗殺部隊なんて存在しないんだ。」


「じゃあ、隊長はいったい、、、」


「俺は、極星会最高幹部である樋口陽介だ。」


そう言い、相場の頭を撫で、護送車を後にした。


「や、やめろー、おい」


護送車から叫び声が響く。しかし、樋口は気にも留めず、指でぱちんと一回叩くと、護送車は業火に包まれた。


ー警察署ー


朝から斎藤の親がやってきて、抗議している。


「なぜ、あいつを殺してくれなかったんだ」


「それは、、、」


「こっちは、大事な息子を殺されているんだぞ、なんでだ」


そう言いながら、斎藤は泣き崩れた。


「警察は、人を殺す仕事じゃない。人を守る仕事だからです。」


そう言い続け、何とか親を帰してやった。きっと、彼の心の憎しみは消えることはないだろうが、少しの時間が癒してくれることでしょう。哲也は、過去の自分と向き合いつつも、いつも通りの業務に戻った。

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