2話 遺言
高校の入学式の朝、周りが騒がしく目を覚ました。
時計を見ると、3時を指していた。
すると、扉をノックする音が聞こえた。
「お目覚めですか?」
おそらく、黒服であろう一人が声をかけてきた。
「起きたけど、どうした?」
そう尋ねると、黒服は祖父の部屋に来るように言ってきた。
めんどくさいと思いながらも、重たい腰を上げて廊下を歩いていく。
祖父の部屋の前に着くと、大勢の黒服が下を向いて座っていたり、中には涙を流している者までいる。
頭の中で嫌な予感がした。
「嘘だろ...爺さん」
そこには、顔に布をかけられ静かに眠っている様な祖父がいた。
目から涙が溢れ出てきてしまった。
悲しみに打ちひしがれていると、後ろから一通の封筒を渡された。
中身には、こう書かれていた。
**『お前がこれを読んでいるということは、私はもうこの世には、いないのだろう。
お前には、黙っていたことが二つある。
一つ目は、わしの持病の事。
二つ目は、わしがヤクザの組長である事。
黙っててすまなかったな。
わしは、お前にヤクザの組長になって欲しいと思っている。
わしの組は、極星会という。
この組は、日本で一番大きいから、この組の組長がいないとなると権力を巡って今まで1番酷い最悪の抗争が起きてしまう。
お前の能力は、わしが知る限り最強だから、この組も上手くまとめれるだろう。
最後に学校には、しっかり行け。
通夜なんて学校が終わってからで十分だからな。』**
そう最後に書かれて終わっていた。
そこに書かれていた内容は、祖父らしいどこか他人行儀で優しいものだった。気づけば悲しみよりも使命感が勝っていた。
「なんと書かれていたんですか?」
黒服が尋ねてきた。
「俺に組長を継げだと」
そう言った瞬間、黒服達が一斉にこちらを向いた。
そう言うと、俺は自室に戻り始めた。
「どこに行かれるのですか?」
黒服が呼び止めようとする。
「もう少し寝る、遺言でね学校に行けだとよ」
そう言って俺は、祖父の部屋を後にした。