女性漫画家志望、逆恨みで殺される
隣の席に座っている俺に気付きもせず、ハルカはのんきに美彩の話を聞いていた。
まあ、サングラスに長髪のウイッグの変装で気付かれるわけもないか。
「福山先生の漫画は英語が一部分に使われていて、他の少女漫画とは違った工夫が見えますね」
「ありがとうございます。そこは私のこだわった部分でもありました」
「先生、私タバコ吸う趣味があるので路地裏についてきてくれませんか?」
「わかりました」
美彩はというと、そんな器用なウソをついておびき寄せるようだ。
彼女は紫のカーディガンに白のスカートを履いている。
ハルカは花柄のロングワンピースを着ていた。
彼女たちが喫茶店横の路地裏に出ていくのを見届け、俺も後を追う。
隣のテーブルには美彩がわざと置いていったであろうハルカのカッター。
それをポケットにしまい、獲物ゲット。
店を出ると小雨が降っていた。
タバコをくわえて火をつけないでいる美彩の姿が目に飛び込んできた。
隣には憎き女。
「よぉー、そこの姉ちゃん。この顔に見覚えはあるよな」
「あなたはツイッターでしつこくつきまとってた先山。えっ、何であなたがここに?」
「今日はね、君を殺しに来たんだ」
素早く走り寄り、ハルカの首元にカッターを当てる。
「そんな。1年前のことまだ恨みに思ってたの?」
「そうだよ。俺にとっては1年前も昨日も変わらねえ。君とデートした日は楽しかったのに、今となっては苦い思い出だ。ここで殺してやる。その前に命乞いを聞かせてもらおう」
腕の中でブルブル震えるハルカ。
「まだ私はマンガを描きたいです。あの日あなたを振ったのは謝るので殺さないでください。怖い、助けて誰か。お願い、お願い殺さないで」
「あぁん? お前の原稿なんかこうしてやる」
ハルカの腕から原稿を奪い取り、カッターで切り裂く。
途端に声にならない悲鳴をあげる彼女。
「よ、よくもやってくれたわね。命より大事な原稿を。あなた漫画家志望だったならこんなことされたら悲しくないの?」
「言いたいことはそれだけか? 今からお前の首を切る」
ハルカの首をカッターで刺していく。
ヒュウウウウと息が漏れる音。
ハルカが絶命するまでカッターで首を切りつけた。
「最期まで漫画のことしか話さなかったね。つまんない女」
「男より漫画の方が大切な女だからしゃーない。まさかこんな悲劇が待ってるとは思わなかったんだろう」
幸いにも路地裏の民家の庭で殺したからか、誰も通りかからない。
性犯罪者の犯行に見せかけるため、俺と美彩はハルカを全裸にして放置した。
「これで気が済んだ?」
「うん、美彩のおかげで復讐が果たせた」