Jewelry Angle〜後編〜
自室。
「ギターが3本もある。全部でいくらかけたんですか?」
「まあ15万くらい。チケットとグッズの収入で買ったよ」
「スゴイ。私もギター弾けるようになりたいな」
「わかったわかった。そのうち教えてやるよ。で、碧桃の得意なことはなんだ?」
「そうですね、料理得意です」
「ほんとかぁ? 漫画やラノベみたいにヘタクソな料理作ったら承知しねえぞ」
オレがそうイジワルな発言をすると碧桃は頬を膨らませる仕草をした。
「もうっ。範之さんのわからずや。ひたすら曲作っててください、碧桃がその間に参らせる料理作っちゃうんで」
胸を張って言う彼女。
コイツを信用していいものか。
「とりま豚足煮込んでエセとんこつスープ作ってくれるかな? 2時間の間に3曲作ってみせる」
「ふふ、各パート揃ってるんですか。そんな作業時間で」
「うん? まあオレならシンセやオルガンの音色とシンセベース、リズムギターなどで上手く作ってみせるがな。ループ素材だとドラムが単調になるのが悩ましいけど」
「まあそれなりに楽器のパート揃えてるんですね。じゃ範之さん頑張ってください」
そろそろ新曲作って持っていこうと思ってたし、ガチめにやるか。
パソコンを点けるのが難儀だが、やるしかない。
New Songと入力してテキトーにF#のキーで曲作る。
Aメロは4つのコード、Bメロは2コード、サビも6つのコードで作るくらいの省エネ。
やっぱり2曲くらいに留めとくか。
別の曲はキーをD♭にした。
コレだとギターで演奏する際、カポタストを1フレットに付けるだけで済む。
結局2曲を作るのに2時間13分かかった。
その時間で碧桃は本当に豚足からのとんこつスープを作ってみせた。
どんなもんかなと思いながら彼女の料理を口にした。
スープに浮かぶ輪切りのネギを食べながら及第点だなと思ったオレ。
「うん、とても美味いよ!」
大袈裟に喜んでみせると碧桃は心の底からうれしそうな笑顔を浮かべた。
「これだけじゃないんです。他に2品あって」
彼女はキッチンまで行くとフライパンからナスの煮びたしトマト風と肉野菜炒めを盛った。
「肉野菜炒めはとんこつスープができてから急いで作りました」
ドヤ顔する碧桃を横目にそれぞれの皿に口をつける。
どちらも美味しく、肉野菜炒めも普通のそれと思ったがカレー粉で食欲の出る味付けになっていた。
料理を食べ終え、パソコンの曲データをミックスダウンしMP3にしたオレは美麗ともう1人のメンバーのLINEに送っておいた。
そして横になり碧桃の太ももを時折撫でつつ、スマホをいじるうちに寝てしまった。




