ポジティブダンス(前編)
午後3時45分。
碧桃から初めてLINEが来た。
洗脳が解けたような文面だった。
『範之くん、あの人たちにはついていけない。美彩ちゃんは自殺志願者な子ばかりを新しい人に殺させてます。
真夜中の川崎で待ってるから迎えに来て?』
オレはアレンジしていた手を止め、真夜中が何時頃を指すのか気になっていた。
たぶん2時過ぎくらい?
川崎のアニソンバーでレイヤー的な女をナンパしてたぶらかしてトイレで犯して殺せばいいか。
そしてその死体の画像を碧桃に送り、これでもついてくるか? と送ろう。
時間はたくさんある。
毒にも薬にもならないラノベを読んで時間をつぶそう。
といつつ、ヒマなのでJリーグの試合を見に行った。
J2首位を走る町田と秋田の試合を。
試合は2-0で町田が勝利した。
東京で近いのは町田なのでなんとなく応援してきたけれど、ようやく昇格するのか?
なかなかバスが来ないのにヤキモキしてタクシーで町田駅まで向かった。
そこから何本かの路線を乗り継ぎ、JR川崎駅に降りた。
時間は23時。
アニソンバーに寄ろう。
『ゆらり星の家』というアニソンバーで美紅に似ている女を見つけて口説く。
彼女は何人かの男に酒を飲まされたのか、真っ赤な顔をして踊っていたから会話を弾ませる必要はなかった。
真壁奈未と名乗る長身のスレンダー女と猫アニメの話題で盛り上がる。
ついでに飼っているチンチラペルシャの画像を見せると「わー、かわいい」と無邪気に微笑んだ。
その顔が数十分後には絶望の白目に変わることも彼女は知らない。
トイレ行きたくなったなと俺がつぶやくと
じゃあ一緒についてくね? と言った。
そして女子トイレに入ろうとする奈未の後を追いかけ、彼女の手を引っ張る。
「ん? どうしたの? したくなっちゃった? い、いいよ。私もあなたとならヤッてもいい。ゴムは持ってる?」
俺はピストルをチラつかせながら言った。
「じゃあ股間のピストルをイカせてもらうことにするかな。イカせられなかったらムリヤリ生でハメて銃殺刑だ」
すると奈未は冗談と思ったのか、妖しい笑みを浮かべつつ俺のズボンのチャックを下ろし、マグナムを咥えだした。




