美彩の父を殺害
「美彩ちゃん、凶器はどうしよう」
重大な問題に気付いた。
店で買うなどすれば、防犯カメラ映像で簡単にアシがついてしまうだろう。
「それなら部屋から持ってきたから安心して♡ 私が13の時に初めて父に暴行されてからずっと部屋の奥にしまい込んでいた大切な包丁なの。これでクソ親父をグサグサ刺しちゃって」
ウキウキとした笑顔で美彩は言った。
「どこまで父親が憎いんだ?」
「んー? 殺したいくらい」
少女の心の闇は深い。
「君の親父を殺したら俺のこと好きになってくれる?」
「うん!!」
まあ1人殺すくらいなら有期刑か無期懲役くらいだろうか。
彼女を救ってやりたい。
これも父に付けられた傷なのと背中のアザを川が流れる橋で見せる美彩に俺は彼女の毒親への殺意を固めた。
美彩の家にたどり着いた。
時刻は19:25を回っていた。
もうすぐ美彩の父親が帰ってくるという。
彼女から手渡されたタオルに包まれた包丁を手に持ち、
俺は深呼吸をする。
『バカ兄貴たちよ、お前らが俺を見放してケアしないからアイドンケアーなノリで俺は殺人を犯す。ざまあみろ』
そう心の中で言い聞かせ、俺は殺人を兄たちへの当てつけにすることで自己正当化した。
1階奥の美彩の部屋に入り、2人で彼女の父親を待ち伏せる。
「おい、美彩! 帰ってきたぞ。一発ぶん殴らせろ」
「怖い、恐いよ」
「俺が守ってやるから大丈夫」
震える彼女の手を優しく握りしめる。
美彩の部屋のドアを乱暴に開け、俺の姿を見ると美彩の父は言った。
「ほぉーん。男を連れ込んで何をしようとしてたのかな? イケナイ娘だ。その男を放り出してたっぷり折檻してやろう。来い! 美彩、お父さんがお仕置してやる」
「美彩ちゃんをこれ以上苦しめはさせない」
俺はタオルから包丁を取り出すと、走って一気に深く包丁を刺した。
手のひらに熱い血の感触を感じて、ついにやってしまったと思った。
一度刺した包丁を引き抜き、何度も刺した。
「ほ、本当に死んだの?」
青ざめた顔の美彩が心配そうな声で言う。
動かなくなった彼女の父親を震える指で指さしながら、
俺は言った。
「ああ、美彩を悲しませる男は殺したよ」
「ずっと辛かった。いつも殴る蹴るばかりでストレス解消の道具にしか父に扱われなかった。でもやっと死んだんだ。範之くんありがとう」
「もう戻れないね」
「2人で一緒に地獄に落ちよう? 私の都合に付き合わせてごめん。忌々しい存在が消えてホッとしてる」
スマホで死体 処理と検索して、解体するやり方を覚えた。
そして美彩の父親の死体の後処理を済ませ、マクドナルドへ2人向かった。