10月、金木犀香る
「ねえ、今月の13日私の誕生日なんだ。祝ってくれる?」
「もちろん」
オレは実麗の肩を抱きながら言った。
金木犀の香る野外、平凡な住宅街にいた。
「生誕祭と称したライブやってるの、毎年。もちろん範之くんは無料にしとくよ」
「絶対見に行く。若者のすべてとはっきりもっと勇敢になって歌ってくれないか?」
「いいよ〜。範之くん、志村くんの御用達の居酒屋よく寄るくらい好きなんだもんね。フジファブリックのこと」
「ああ」
石ヶ谷大輝を殺害したのが9月28日だから、かれこれ5日は人を殺していない。
美彩は添い寝はしてくれるが、やはりまだ目標の20人殺戮に至っていないからかセックスまではさせてくれない。
ふと自分は何をしているのかと心が塞ぐとき、実麗さんに会いたくなる。だから会う。
「大手レコード会社が嫌いなんだ、私。オーディションで品定めして一般受けしそうなミュージシャン志望しか採用しないでしょ。過激な人とかは対象外で」
「中島らものいいんだぜが有名タレントにカバーされて歌詞が全く毒のない、障害者や病気を抱える人への唯一無二なラブソングな原曲を無視したものに変貌していてガッカリした」
「そうそう。あれはひどい。らもさんが生きていれば恐らく怒ったのではないか。原曲レイプもいいところよ」
それから話は中島らもと町田町蔵のチンポはどっちがデカイのかとかナンセンスな方向へ向かい、歩きながら話し住宅街から商店街を目指した。
商店街ではみうらじゅんが買いそうなよくわからない土偶とはにわを合体させたようなキーホルダー、十手、猿が自慰をしているぬいぐるみなどを怪しげな雑貨屋で買い求めた。
それから実麗の部屋に行き、部屋に着くなり彼女を押し倒し行為に及んだ。
「ふふ、がっついてそんなに私とまたヤリたかった?」
「ああ、実麗ちゃんと繋がってたい」
「いいよ、胸揉んで? 私の奥に出してもいいんだよ?」
「デキちゃわないかな?」
「そん時は産むし。子作りしようよ」
「実麗ちゃんの中、あったかくて気持ちいい」
「乳首つねって。痛いくらいがちょうどいい」
オレは実麗に膣⚫射精した。
事後に鮭茶漬け(鮭の瓶詰めから半生の鮭を取り出し、緑茶で漬けたもの)を二人で食べ合った。
「もうだんだん何人殺したかわからなくなってきた」
「罪悪感はある?」
「だんだん不眠気味になってきた。いや2、3時間は眠れてるのかな。日中眠くて仕方ない」
「ちゃんと寝ないと体壊すよ? 布団敷こうか?」
「実麗さんが添い寝してくれたら寝れるかも」
「うん」
そして彼女が用意した布団で1時間だけ寝た。
起きてから実麗の寝顔を観察しつつ、また会おうねと書き置きを残して自宅への帰路を急いだ。




