黒ギャル、狙いうち(中編)
「それで美加さんはどんな家庭で育ったんですか〜?」
無邪気な顔で美彩が美加に質問する。
「ごく普通な家庭だったね〜。中学時代に親リコンしたけど。パパはサラリーマンでママはコンビニバイトのパートしてた。
パパの方が好きだったかな。ママはヒス起こすから。範之くんB’z歌える? お父さんが好きだったんだ」
美加にリクエストされてとりあえずいつかのメリークリスマスとHEATを予約する。
B’zの曲を歌いきると美加は拍手してくれた。
「子供の頃思い出しちゃった〜」
そう言いながら美加は涙を流し始めたので、動揺した。
「何で泣いてんだろ、アタシ。パパと行った遊園地の帰りの車の中でいつメリ聴いた思い出、思い出しちゃったからか」
「美加ちゃんは部活何部だった?」
「え〜。中学時代はバレー部で高校は軽音。前はギター弾けたのにな」
「あとその頃にしてたことは?」
「家のママがうざくてよく深夜徘徊してた。補導はされなかった。ギャルな見た目してるからか大人に見られてたみたい」
「そっか、オレも恋人できない悔しさから1人夜中の街をさすらったな」
「へぇ〜、一緒じゃん」
「うん」
「アタシには夢があるんだ。黒ギャル界のカリスマになってオフ会100人集めるっていう」
「叶うといいね」
それからカラオケは順調に進み、美彩はボカロを碧桃は筋肉少女帯や特撮を歌いまくった。
美加はというと合いの手を入れたり、倖田來未verの氣志團のワンナイトカーニバルを歌ったりした。
さて、そろそろ仕留めに行かなければ。
オレは美加の耳元でささやいた。
「トイレ行きたくなったんだけど、一緒に行かないか」
そう言うと彼女は長いグレーの髪を揺らしながら「範之、女子みたい。ウケる」と言いながら腰を上げた。
「じゃ、オレと美加トイレ行ってくるから」
何かを察した美彩はニッコリ微笑んで「どうぞ、ごゆっくり〜」と言った。
女に生まれてきたことを後悔させてやる。




