人を殺すということ
自分の2LDKで美彩と碧桃を一室に寝かせ、1人思考に耽る。
神様、なぜ人を殺してはいけないのでしょうか。
俺の第1の殺しだけは間違ってなかったと思う。
父に虐待されている娘を守った。
あのままだったら美彩はもっと心を壊していただろう。
永山則夫は獄中で愛に出会った。
もしも自分が同じ立場だったら果たして良い女の子に出会えたんだろうか。
冴えないブサイクなメガネ男についてくる女なんているんだろうか?
世の中の女性が自分を相手にしていれば、たぶんこんな犯罪は起こさなかっただろう。
5人で膨らんでいる殺害人数は最終的には35人まで膨れ上がる。
「世の中に復讐がしたかった。自分を愛そうとしなかった女性にも復讐がしたかった。もっと女性に振り向いてほしかったのにそれすら叶わなかった」
俺はいつか捕まった時のためにノートをつけ始めた。
好きなバンドが出した新曲の感想から殺人した感想までをつけた重要資料だ。
まともな女性に相手にされない苦しみが俺を事件に招いた。
漫画家志望で仙台コミティアで色んな売り子に出会っても恋人になってくれるどころか女の子を紹介してくれる訳でもない。
メイドカフェを開こうと山梨で求人をかけても、自分の精神的パートナーになってくれる子は出てこなかった。
この世は地獄か。
たった一人でいいから女性に振り向かれたかった。
そのためには何を犠牲にしてもいいくらい。
その夢は叶おうとはしている。
ただしシリアルキラーな男性に憧れる危ない女によってだが。
そして彼女と情交したいがために俺は何件かの殺人を犯した。
数々の無差別殺人事件を起こしてしまった。
もう戻れないあの日々。
俺は人殺しになった。
今まで殺人や死刑囚に無関心でいたのにいつの間にか自分がそのサイドに立たされている。
美彩はなぜシリアルキラー、つまり人殺しに惹かれる危ない女になったんだろう。
彼女の生育歴が災いしてるのだろうか。
彼女に好かれたい一心で殺人鬼を目指してしまった。
平和に猫を撫でていたあの頃に戻りたい。
家出しても女の子には恵まれなかった。
自分を愛してくれる女性には恵まれなかった。
そんな時に美彩が俺の心の闇を照らしてくれたんだった。
その頃の俺は拳銃自殺を考えていて遺書のような文章もいくつかは書き留めていた。
しかし、結論から言えば自殺はしなかった。
目の前にいる美彩とヤるまでは死ねないと決めたのだった。




