後の理解者、現る(前編)
ツイキャスで歌を弾き語りするミレイという女性ミュージシャンと仲良くなるのは時間がかからなかった。
なぜならば積極的にアイテムを投げ、ツイッター上でも
適度に彼女を応援するリプを送ったりなどしていたから。
青森の八戸出身の女性で、彼氏はいない。
暇あらば酒を飲むのが趣味で酔った時の失敗談も数しれず。
血液型はB型。星座はてんびん座。
好きなミュージシャンは岡村靖幸と川本真琴。
茶髪に赤色のメッシュを入れたオシャレっ子。
東京を拠点に活動する彼女に会いたくなった。
ツイッターのDMでその旨を送ると、中野の居酒屋で飲もうという話になった。
次の獲物は彼女に決めた。
「岡村靖幸の曲で好きな曲は?」
「岡村ちゃんの曲で好きなのはだいすきとモンシロとマシュマロハネムーンかな」
「自分、ニートの20代を岡村靖幸さんの音楽で過ごしてとにかく思い入れあります。ライブ行ってみたいと思った時には既に彼はムショの中でした」
「そうかそうか。私も範之くんとは同世代か少し下なのかな。学生時代に岡村ちゃんにどハマりしてでもその頃にははっきりもっと勇敢になってを出してたかな」
LINE通話で話し合ってみるとミレイさんはとても気さくな方で音楽の趣味も合うし殺すにはもったいない逸材だと思った。
その一方で彼女の愚痴も聞かされた。
いわく、一生懸命他人の曲をパクリもしないでまじめに曲を作って歌っているのに評価はある程度でしかない。
世間から評価されるのはどこかの二番煎じみたいな人ばかり。
問題提起がしたくて、中絶した女性の悲しみを歌った「水子と私の悲しみ」を同級生で堕胎経験のある女の子に取材して作ったりしたけど色物で見られる。
いじめられっ子がいじめっ子を釘バットで殺す「釘バットの歌」もファンにはウケるけど初めて聴く人には嫌悪感か戸惑いしか感じさせないみたいだ。
などなど。
ミレイこと繭野実麗を崇拝しそうになる。
なぜならば俺のかつての飼い猫の誕生日に合わせて若者のすべてとすばらしい日々とゴーイングアンダーグラウンドの胸いっぱいとVISTA、メレンゲの僕らについてをワンコーラスずつ歌ってくれたのだ。
彼女の歌声は凛としていて、聴くものを夢中にさせる。
美彩と会ったら実麗まで殺せと言うのだろうか。
それが気がかりで。




