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超越者レイン  作者: おおば ゆいと
第一章 クリーディア解放編
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規格外な男

 クリーディア城、城門前での攻防ーー


 アミナが砲台を破壊し、その砲台の指揮官である兵士たちはメナスが倒した。

 優勢な現状ではあるものの、ここでヴィンスが思いもよらない言葉をつどってくれたクリーディアの民たちに告げる。


「みんなっ! 今日、ここに集まってくれたことには、ほんとうに感謝してる! だが……この先は、俺たちではどうにもならないと思うんだ!!」


「おいっ、ヴィンスさん! せっかく来たってのに、なに言ってんだよっ!?」


 このヴィンスの言葉に、民たちがどよめく。

 

「アミナちゃんが砲台を破壊してくれたから助かったけど、さっきの砲撃を俺たちが束になって対処できたと思うか?」


「たっ、たしかに、ヴィンスさんの言ってることもわかるけどよっ……。そ、それでもよっ……!! 俺たちに出来ることはなにか無いのかっ!?」


 この一人の男の発言でヴィンスは「う〜ん……」と、考えるように顎を撫でる。

 そして、また別の男が口を開く。


「そうだよな。せっかくこうして集まったのに、ただ立ってるだけってのもなぁ……」


 ふむ。出来ること、か。

 そうだな、せっかく来てくれたのだ。この気持ちは決して無駄にはしてはならぬ。


 俺は眼の〈化粧隠蔽ルミラ〉を解除し、碧眼をあらわにして民たちの前に立ち、言った。


「皆、我が父、クリードのことを想い、そして、このクリーディアのことを想い集ってくれた。クリードもこのような民たちに想われて喜んでいることだろう」


 俺のこの言葉に、メナスやアミナを含め、ここにいる者たち皆が揃ってクリードに対する哀悼の意を表し、目を閉じ胸に手を当てている。


「皆の想いは決して無駄にはせぬ。今日、この日こそが、クリーディアの黎明れいめいの時だ。俺はこの国を解放し、皆と一緒に新しい一歩を踏み出したい」


 民たちからは、「国を解放?」「なにかが変わるのか?」などといった言葉が漏れているが、俺は続ける。


「今はこの言葉の意味がわからないかもしれない。だが、どうか俺を信じてほしい。必ず俺が……いや、皆のチカラで、新しい時代を築いていかないか?」


 俺のいきなりの言葉に民たちは反応に困っている様子だ。

 その様子を見たヴィンスが声を上げる。


「どうだ、みんなっ!? クリード様の息子であるレインが大臣をブッ飛ばして、自らが王になって上に立つってわけじゃなく、みんなでチカラを合わせてその先を歩いて行こうって言ってるんだ!! 面白そうじゃないか! 俺はこの話に乗るぜっ!!」


 俺が大臣をブッ飛ばすとは一言も発してないが。


 ヴィンスのこの言葉に対し、民たちの出す答えにまったく時間は掛からなかった。

 もちろん、答えは肯定だ。

 民たちの士気が一瞬にして上がり、一致団結する。


 そして、一人の男が疑問を口にする。


「それで? 話はわかったけどよ、俺たちはなにをすれば良いんだ?」


 この問いに対し、俺は無言で魔力を増幅させ、その魔力を左手に集中させる。

 その莫大な魔力に、ゴゴゴゴゴ……と、大地が震動をはじめる。


「皆、悪いが少しこの場から離れていてくれ」


 俺のこの言葉で、ヴィンスが先導する形で民たちを離れた場所へと誘導する。


「ちょっとっ! レインっ!! あんた、なにするつも……っ!!?」


 俺が発する魔力量の大きさに焦ったアミナが声を掛けてきたが、彼女が言い切る前に俺は行動を起こしていた。


 魔力を集中させた左手をグッと握り、右足で踏み込み、やや前傾姿勢になりながら、その拳で分厚い豪奢ごうしゃな青色の扉に殴りかかる。

 拳が扉に触れようとしたその刹那、パリイィィィーーーンと割れるような音を立て、強固な結界はあっさりと砕け散った。


 そして、俺の拳が扉に触れた瞬間、民たちの普段の生活では耳にしないであろう轟音、ドゴオォォォーーーン、ズガアァァァーーーン、ガラガラガラガラなど、表現するのが難しいような音が辺り一帯に鳴り響く。


 その轟音とともに大地は激しく揺れ、城門前には砂塵さじんが舞い上がった。

 視界が皆無になることを見越していたのか、アミナだけは〈空飛行フルグ〉で上空に姿を移していた。


「ちょっとっ! レインっ!! 人の話はちゃんと最後までっ……っ!?」


 またアミナが俺になにかを言おうとしている。

 しかし、俺はアミナの話を聞かずに次の行動に出ていた。


 俺たちがここに着いた途端、砲撃にて先制攻撃を受けた際に土埃が舞った。

 その土埃を払うべく、アミナは〈陣風アロス〉を使っていたが、俺は違う。


 そう。そんなことなどせずとも、煙を払うのは容易たやすいのだ。

 俺は軽く息を吸う。そして、その吸った息を小さな埃を吹き飛ばすかのような加減で、ふうーっと砂塵のほうに息を吹きかけた。


 すると、アミナが使った〈陣風アロス〉よりも威力の強い風が発生し、一瞬にして砂塵は消え去った。


 うむ。どうやら加減を間違えてしまったようだな。

 その辺にあった樹木も何本か飛んでいったようにも見えたが、気のせいだろう。

 これでは皆にやってもらおうと思っていたことまで、うっかり俺が片付けてしまうところだったな。


「こ、これはっ!?」


 砂塵が晴れて現れた目の前の光景に、一人の男が驚いた様子で声を発する。

 俺は民たちに声を掛ける。


「皆で『これ』を片付けてはくれないだろうか?」


「は、ははっ……! 片付けるったって、一体どうなってんだよ『これ』は……」


 ヴィンスもこの光景に驚いている様子だ。


 上空にいたアミナも得意の顔をしながら降りてくる。

 そう。目が点で、口をあんぐりさせたあの顔だ。


「皆、なにをそんなに驚いている? 国を解放するには、こんな物など邪魔でしかない。だから破壊した。ただ、それだけのことだろう?」


「いや、レイン……。あんたっ、一発殴って『これ』は……いちいち規格外なのよっ……」


「アミナ。俺が規格外なのはもう知っているではないか。まさか、まだ慣れていないのか?」


「こんなこと慣れるわけないでしょっ!! バカなのっ!? これじゃあ、あんた一人のチカラで十分じゃないのよっっ!!」


 アミナのこの発言にヴィンスが首を横に振る。


「アミナちゃん。たしかに、レインだけでどうとでもなるだろうさ。けどよ、それじゃあ意味が無いんだよ。みんなで新しい時代をってレインが言ったその意味、わかるだろ?」


「うん……わかるけど……けどっ、アタシだって頑張って修行してきたのに、こんなの……悔しいじゃない……」


「おう、だったらその悔しさを糧にして、レインのチカラになれるようにもっと頑張らなきゃだなっ!!」


 そう言ってヴィンスは親指をビシッと立て、ニコッと微笑む。


「俺だってよぉ、メナスにどんどん差をつけられて悔しかったからな。だからアミナちゃんの気持ちもわかるってもんよ! はっはっは!!」


 それを聞いていたメナスが、即座に言葉を返す。


「ヴィンス。あなたはなにもしていなかったでしょう? 悔しいなんて言葉、よく言えますね」


 メナスの返しに「ん、んんっ」と、咳払いをするヴィンス。

 そのヴィンスに対し、アミナは細い目で見ている。


「よ、よーし、みんなぁ!! 早いとこ『これ』を片付けちまおうぜっ!!」


 今の会話が無かったかのように、切り替えるヴィンス。

 しかし、民たちもこの会話をしっかりと聞いていたようで、皆で目を細めジーっとヴィンスを見ている。


 次の瞬間、民たちが一斉に笑う。


「がっはっは! さすがヴィンスさんって感じだな! さあっ! 『これ』は、せっかくレインさんが用意してくれた俺たちの仕事だ! やろうぜっ!!」


 民たちは「よっしゃ! やるか!!」「おお!!」と、声を掛け合って動き出す。


 解放するにあたり邪魔で不要な物。

 そう。俺は分厚く豪奢な青色の扉を殴り、扉どころか、高さ五メートルほどある真っ白な外壁もろとも破壊し、それを瓦礫がれきの山へと変えたのだ。


 まさかこんなに簡単に破壊できるとはな。

 アミナが俺を規格外と言うように、やはり俺のチカラがこの世のことわりから外れているのだろう。


 こうした行動で〈秩序イデアル〉が俺の存在に気付き、動き出すのもそう遠くないかもしれないな。


 そんなことを考えていると、メナスとアミナが俺の近くに来る。


「レイン様、確認したところ外は制圧したようです」


「あれだけ派手に外壁を破壊したら、そりゃあそうでしょうね……」


 引きったようにように笑っているアミナだが、次の瞬間、なにかを思い出したかのように血相を変えた。


「ちょっとっ! レインっっ!!」


「どうした? アミナ」


「どうしたじゃないわよっっ!! あんたっ! 人の話はちゃんと最後まで聞きなさいよねっ!!」


「そうですね、少しレイン様らしくないとでも言いましょうか……」


 メナスもアミナの言葉に同調する。


「そうよっ! しかも二度もっ!! 良くないと思うわっ!!」


「すまない。お前がなにかを言っていたのはわかっていたが、どうにも〈破滅衝動〉が抑えられず先に動いてしまった」


「ちょっ……〈破滅衝動〉っ!? レイン、あんた……なに言ってんの!?」


「言葉のままだ。この衝動が時折やってくるようでな。どうやら、俺の血がそうさせるらしい」


「はあぁ〜っ!? あんた、アールスヘイムの……勇者の血族でしょおぉ〜っ!? なのに、なんでそんな〈魔王〉みたいな恐ろしいこと言ってんのよっ!?」


 アミナのこの言葉に、メナスがなにかに気付いたかのように少し表情を強張らせながら言った。


「レイン様。もしかして……ダリア様は……??」


 なるほどな。

 このメナスの感じからして、ダリアは自身がワイロピアだということを隠し、クリードの妻としてこの国に居たようだな。


「ああ。ダリアの名は、ダリア・ワイロピア。魔王の血族だ」


「え……じゃあ、つまり……レインって……」


「そうだ。つまり俺は『勇者と魔王の血を引く者』、ということだ」


 言うまでもないが、二人は完全に固まってしまった。

諸事情により次回から不定期投稿になります。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!!


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