表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超越者レイン  作者: おおば ゆいと
第一章 クリーディア解放編
17/33

クリーディア城の門番

 首都クリーディアの中心に位置する、クリーディア城ーー


 五メートルほどの高さがありそうな真っ白な外壁が、城を囲うようにそびえている。

 その外壁で囲まれている城の正面には、分厚く豪奢ごうしゃな青色の扉が設けられており、その扉は固く閉ざされていた。


 高さのある外壁と閉ざされた扉で、これでは人々が城の全容を拝むのは難しいだろう。

 閉鎖的な城……というのが、見た目からの印象だ。


「こ、これがクリーディア城なのですか!? 以前と比べて、随分と雰囲気が変わってしまったのですね……」


 そう驚きを口にしたのはメナスだ。


「うん、この壁は少し前に造られたの。クリード様が不在の時に大臣アイツが勝手にこうしたのよ。こんなの、クリード様が許可するはずないものっ!!」


 アミナが苛立った様子で、そう言った。

 クリード様、クリード様と皆言うが、クリードはよほど民からの信頼が厚かったようだな。


 俺はメナスの表情を伺ったが、複雑そうな表情はしていなかった。

 この様子からして、もう取り乱すこともないだろう。


「ふむ。あれを見る限り、そう簡単に城に入れるとは思えんな」


 重厚な鎧を身にまとい、扉の両端に立っている若そうな兵士たちを見て俺は言った。

 その兵士たちの手には剣が握られている。さしずめ、この城の門番といったところか。


 それを見たメナスは、槍を持っている手にグッとチカラを入れ、俺とアミナの前へ出た。


「レイン様、ここは私にお任せください。私なら通してもらえるかと」


 大臣の娘だとわかれば通してもらえるという安易な考えだろうが、そう上手く事が運ぶとは思えんな。

 俺は腕を組み、一歩引いて様子を見ることにした。


 兵士たちは牽制けんせいするように互いの剣を交差させ、メナスの前に立ちはだかった。


「貴様、ここに何の用だ?」


「国王様の許可が無い限り、誰一人としてここを通すことはできない。立ち去れ」


 国王の許可だと?

 それはクリードか? それとも大臣を指しているのか?


 メナスが兵士たちに槍をチラつかせながら言った。


「あなた方には、この槍が目に入らないのでしょうか?」


 兵士たちは互いの顔を見合わせ、首を傾げている。


「貴様、その槍がなんだというのだ?」


「武器をチラつかせたところで、ここを通すことはできない。立ち去れ」


「こっ、この槍は、クリード様に仕えている者の証ですっ!! あなた方は、それがわからないというのですかっ!?」


 メナスの言葉に、また二人が顔を見合わせて首を傾げている。

 この様子からして、槍のことはほんとうに知らないように思える。


「そんな槍があったなんて、知ってたか?」


「いや、初耳だ。所詮は見せかけだろう」


 兵士たちはクスクスと小さく笑っている。

 まぁ、メナスがこの地を離れて約二十年だからな。この若そうな兵士たちが知らなくても不思議なことではないが。


「そんなものを見せびらかしたところで、貴様が〈前国王〉に仕えていたという証拠にはならんな」


「たとえその槍が真物ホンモノだろうと、俺たちのチカラでは通すことはできない。立ち去れ」


 あっはっはと、二人はメナスを小馬鹿にしたように笑っている。

 それと今の言葉……少し引っかかる部分があるな。


「ちょっとっ、あんたたちっ! さっき国王様の許可があれば通れるようなこと言ってたわよね!? それなのに通すことはできないって矛盾してるじゃないっ!!」


 ほう、アミナも気付いたのか?

 ……いや、彼女の性格からして、そこまで深く考えてはいないだろうな。


 騒がしい女は止まらない。


「それに、クリード様が〈前国王〉ってどういうことよっ!? あのクソ大臣はただの代理でしょっ!? バカにするのもいい加減にしてちょうだいっっ!!」


 アミナはそう言いながら、苛立った表情で口が悪いほうの兵士に詰め寄る。

 それを制止するように、メナスはアミナと兵士の間に割って入る。


 そのメナスの表情は険しかった。

 アミナの言葉で口が悪いほうの兵士は、小馬鹿にした笑いから高笑いに変わった。


「あっはっは! 貴様、今もクリードが国王だと思ってるのか? 何度も国を空けるような奴が、いつまでも国王だと?」


「バルデス様のほうがよっぽど国王様の器だ。何度も言わせるな、この場から立ち去れ」


「……そうですか、あなた方のおっしゃることはわかりました」


 険しい表情をしたメナスが、静かに口を開いた。


「名乗るのが遅れて申し訳ありません。私の名は、メナス・エルフォート。国王代理である大臣、バルデス・エルフォートの娘でございます。父に話がありますので、ここを通していただけませんでしょうか?」


 メナスの言葉を聞き、兵士たちはまた互いに顔を見合わせた。

 そして、予想外の言葉が返ってきた。


「バルデス様の娘だと? 貴様、嘘をつくならもっとマシな嘘をついたらどうなんだ?」


「あの方にはご子息も、ご息女もいない。早々に立ち去れ」


「なっ……!?」


 言葉を失うメナス。

 信じられないという思いからか怒りからなのか、その体はわなわなと震えている。


「ねぇ……いったいどうなってるのよ……?」


 アミナもこの状況に困惑し、俺のほうを見る。

 しかし俺は、この状況でもまだ腕を組んだまま黙っている。


 そして、立ち去れと何度も繰り返す兵士が、俺のほうを見て言った。


「そこの黒髪の男。この女どもを連れ帰ってはくれないか? これ以上ここで話したところで、時間の無駄だというのがわからないみたいでな」


 しかし、俺はまだ黙っている。

 口を開く前に眼の〈化粧隠蔽ルミラ〉を解除し、兵士に碧眼を見せた。


「ちょっとっ、レインっ! その眼っっ!?」


 兵士よりも先に、アミナが俺の眼を見て驚いていた。


「おい、貴様!! なんで黙ってるんだ? 今コイツが連れ帰ってくれと言ったのが聞こえなかったのか?」


 兵士たちが俺の眼に反応する様子は無い。

 ふむ。やはりそうか。


 俺は前へと歩き出し、口が悪いほうの兵士に言葉を返す。


「あぁ、すまない。聞こえてはいたが、少し困ったことがあってな」


「困ったことだと? 女どもを連れ帰るだけなのに、それのなにが困るって言うんだ?」


 兵士は剣を握り直し、少しばかりその手にチカラが入った。

 この状況を瞬時に察知したメナスは槍を構え、アミナも魔法をいつでも放てる臨戦態勢に入った。


「いや、彼女の帰る場所がこの城なものでな。入れないとなると、困るのは当然だとは思わないか?」


 俺はメナスのほうに視線をやりながら、兵士にそう言った。


「帰る場所がこの城? 貴様、ふざけてるのか?」


「なに、はじめからお前たちに理解してもらおうなんて思ってはいない」


 もう一人の兵士が、俺の近くに寄ってくる。

 そして、俺の首元に剣を突き付けてきた。


「ふっ。なにも知らない下っ端のお前たちに話をしても、それこそ時間の無駄というものだ」


 そう言いながら俺は、突き付けてきた剣を左手の人差し指と中指で挟む。

 軽くチカラを入れてやると、パキイィィィーンっと音を立て、その剣は真っ二つに折れた。


 その光景を見たアミナは固まり、お決まりの得意な顔をしていた。


「レイン様。なにも知らないとは、一体どういうことでしょうか……?」


 メナスが疑問の眼差しを俺に向け、聞いてきた。


「今言った通りだメナス。こいつらはこのクリーディアのことなどなにも知らん。城門の前に立っているだけの門番、ただの飾りだ」


 俺のこの返しに対し、メナスはきょとんとしている。

 アミナとメナス。固まっている二人など気にもせずに、さらに俺は続けた。


「そうだろう? バルデス・エルフォート。一部始終、こそこそと聞いていたのだろう? どうだ、表に出て少し話をしないか?」

大臣には娘はいない……!?


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!!


「続きが気になる!」「面白い!」「応援したい!!」など思った方は

お気に入り登録と、下の評価をしていただけたら嬉しいです!!

五つ星評価をポチッとされたらさらに喜びますっ!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ