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超越者レイン  作者: おおば ゆいと
第一章 クリーディア解放編
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ムードメーカー

 アミナの得意な顔を何度も見ているうちに、それを気に入ってしまっている俺がいる。

 しかし、表情というのはこんなにも豊かに表現できるものなのだな。


「魔力の総量によって魔法の威力は大きく変わる。魔導の血を引いている者ならば、そのくらいわかっているとは思ったが?」


「そ、そんなことわかってるわよっ! で、でもっ、あ、あんなやさしい風で……アタシの魔法……が……」


 俺とアミナの魔力に差がありすぎて、信じられないといった様子だ。


 そういえば、ここの結界はどれほど頑丈なのだろうか?

 せっかくの機会だ。少しばかり俺のチカラを解放してみるか。


「アミナ、お前にひとつ聞きたいことがある。自分のチカラでここの結界を破壊することができると思うか?」


「はあぁっ!? あんたっ、なにバカなこと言ってんのぉっ!? そっ、そんなこと、そもそも考えもしないわよっ!!」


「破壊できるのかと聞いている」


 そもそも考えもしない、か。


 滅ぼしたくなる衝動や破壊衝動。

 時折やってくるこの衝動はなんだ? 俺だけなのだろうか?


「悔しいけど、今のアタシのチカラじゃ壊せないでしょうね。ていうか、この勝負となんの関係もないわよね?」


「そうだな。この結界がどれくらい頑丈なのか、ふと気になったものでな。遊びついでに試させてもらうぞ」


 そう言って俺は、右手で魔法陣を展開する。


 途端、空が暗くなる。

 ゴロゴロと音を立て、演習場が揺れ動く。

 雷鳴がとどろき、今にも大地を裂きそうな勢いだ。


 これでは、クリーディアの民たちを驚かせてしまっているかもしれないな。


 もちろんだが、アミナがメナスの魔力を開放する時に放ったものと比べ物にならないのは、誰が見ても明らかである。


 俺はグッと右拳を握り、雷を集束する。

 アミナは狙わずに、あえて彼女の体から数ミリ離れたところに狙いを定める。


「すまんな、魔力の加減がわからなくて、うっかりこの演習場を破壊してしまうかもしれない」


「ちょ、ちょっ、ちょっとあんたっ!! 本気なのっ!?」


「ん? なにを言っている? この俺が本気でやるわけがないだろう」


「あんたバカなのっ!? その本気じゃないわよっ!! ほんとうにその魔法を放つのっ!? って意味で言ってるのよっ!!」


 自身の修行の場を壊されてしまっては困るとでも言いたいのか? アミナはかなり焦っているようだ。

 そんなものは、俺がいくらでも用意してやれるのだがな。


「放つつもりで魔法陣を展開しているに決まっているだろう」


 離れた場所で見ているメナスも、これから起こるであろう衝撃に備え、身構えている。


「さぁ、結界よ、俺の魔法に耐えてみよ!! 〈電雷ジリアル〉!!」


 一本に集束された太い雷の矢が、大地を穿うがつ勢いで空から落ちてくる。

 ズガアアアァァァーーーンンン!! っと、激しい音が鳴り響き、演習場は大きく揺れ、辺り一面が光によって視界がさえぎられた。


 光が収まり、辺りを見渡してみると、演習場は俺の放った〈電雷ジリアル〉によって破壊され、演習場を覆っていた結界も見事に消滅していた。


 いや、演習場どころか〈魔法訓練所〉そのものが全壊してしまったようだ。


 ふむ。やはり思った通りだ。

 ここの結界はクリードが張ったものではない。

 勇者の血を引く者の魔法が、こんなにもろいはずがないからな。


 まぁ、単純に俺のチカラがクリードを上回っているだけの話かもしれないが。


 さて、アミナはどうだ?

 まさか、俺の雷に撃たれてるなんてことはないだろうな?


 彼女のほうに目をやると、彼女の体から数ミリ手前で地面が深くえぐれていた。

 そしてアミナは、白目をむいて口をパクパクさせながら腰を抜かし、その場でへたり込んでいた。


「結界がこの程度だったとは残念だ。本気でやっていたらこの国が滅んでいたかもしれぬ」


 ーーこの瞬間、離れた場所から魔力を感じた。

 誰の魔力なのかは、見当がつく。


「ちょ、ちょっとあんた……ほんとうに何者なのよ……?」


「何度も言わせるな。レイン・アールスヘイムだ」


「そ、それはわかってるけど……。あまりにも規格外すぎるというか……言葉が……見つからないわ……」


 ん? 先ほどまでの威勢の良さはどこに行ったのだ?

 彼女らしくないというか、どこか気持ち悪い。


「それに……指一本で魔法陣を展開する人なんて、そんな器用なことするの……アタシ初めて見たわ」


「右手だったからな。少しぎこちなかったかもしれぬ。左手よりも幾分、威力が劣っているように感じたしな」


 俺は右手を見つめ、握ったり開いたりを繰り返す。

 それを見たアミナが「へっ?」と首を傾げる。


「どうやら、まだ左手と同じようにはいかないようだ」


「はあぁっ?? なに言ってんのっ!? ま、まさか……あんたっ……!?」


「あぁ、俺は左利きだ」


 一瞬の沈黙、時間にして五秒。

 彼女は得意の顔になった。そう、それでこそアミナだ。


「えっ、じゃあ、あんたは最初の握手の時から今まで、アタシに対して手加減してたってわけっ!?」


「手加減というわけではない。ただ右手の強化を図っていたに過ぎん」


「な、なんだか……とんでもない奴と出会っちゃったみたいね、アタシ……ははっ……」


 はぁ〜……と、ため息をつきながらゆっくりと立ち上がり、彼女は両手を上げた。


「降参よ。アタシの負け。あんたには勝てそうもないわっ」


 ほう。

 威勢が良く負けず嫌いで、そう簡単には引かぬと思っていたが、こうも潔く負けを認めるとはな。


 当然だが、〈魔法訓練所〉を全壊させたからといって、俺の右手以外は動かしていない。


「今はまだねっ! もっともっと強くなって、あんたをブッ飛ばしてやるんだからっ!!」


「ふっ。いつでも相手になってやるぞ」


 なんとも嬉しそうな顔をしている。

 彼女は今まで、魔法で誰かに負ける経験はしていないのだろうな。


「しかし、アミナ。俺は誰にも負けない自信があったのだが、どうやらそんな俺も、お前には勝てない部分があるようだ」


「へっ? アタシのどこがあんたに勝ってるって言うのよ??」


「その騒がしい顔と声だけは、この先もお前に勝てないだろうな。だから自信を持て」


「はあぁ〜っ!? ……もうっ……なんなのよぉ〜っ!! そんなことで勝ったって、ぜんっっぜんっ、嬉しくなんてないんですけどぉ〜っっ!!」


 彼女は怒っているかのように顔を赤らめ、両腕で顔を隠す仕草をしたが、隙間からは嬉しそうにしている彼女の笑顔が見えた。


「どうだ? メナス。少しは勉強になったか?」


「そうですね。一国の王をお守りするためにも、これからは私も魔法の修練に励んでいきたい所存でございます」


「そうか。では、国を解放したのちに修行する場を設けよう。せっかくの修行の場を、俺がうっかり破壊してしまったからな」

 

「ちょっと待ってっ! 国を解放って?? あんたたちっ、一体なんの話をしてるの??」


 アミナは疑問の眼差しで、俺たちを見ている。


「そうだな、アミナには順を追って話さねばな。ここにいても仕方ない。城に向かいながら話すとしよう」


「えっ!? アタシも付いて行っていいのっ!?」


「こんな面白い女を俺が放っておくと思うか? それに、大臣をブッ飛ばしたいんじゃないのか?」


「ちょっとぉ〜っ、なによその誘い文句ぅ〜……。もう少しマシな誘い方はできないのかしら?」


 ……いちいち面倒な女だ。


「なに、来ないのなら仕方のないことだ。では行こうか、メナス」


「はい、レイン様」


 メナスはアミナに軽く頭を下げ、歩き出した。

 そして俺たちが瓦礫と化した〈魔法訓練所〉の敷地から出ようとした、その時だった。


 ドドドドドっと、後ろのほうから走ってくる音が聞こえる。


 瓦礫を吹っ飛ばしながら、ものすごい勢いで走ってくるではないか。

 もちろん、アミナである。


「行きますっ! 行きますっ!! アミナっ、行きまあぁぁぁ〜すっっ!!」


 ほんとうに騒がしい女だ。


「もう〜っ。冗談に決まってるじゃないっ! 待ってよぉ〜! 置いてかないでよぉ〜っ!!」


 やれやれだな。

 メナスも「ふふっ」と、柔らかい表情で笑っている。


 そうして俺たち三人は、クリーディア城へと向かうのであった。

はじめての仲間……なのか!?


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!!


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