クラス転移した『遊び人』の量子力学的大勝負~ゲームに隠された驚愕のトリック! クラスメイトの『賢者』は全てを視ていた~
第四回なろうラジオ大賞参加作品第三弾!
クラス召喚で異世界に来た僕達の、悪魔討伐の旅は順調だ。
戦いの中でみんな強くなり、さらにはジョブが『遊び人』のミチルさんは能力を進化させ確率を操れるようになった。
だがその彼の能力がなぜか通じない相手と、僕達は悪魔達の本拠地へと続く道の途中にある賭場で出会った。
※
旅の資金調達のため、僕はミチルさんを始めとする数人のメンバーと街の賭場に入場した。
ちなみに賭けをするのはミチルさんのみ。
僕を含む他のみんなは儲けた金を運ぶ係だ。
そしてミチルさんは、いつも通り賭け事に興じるけど……変だ。
最初は勝ってたけど、途中から負け始めたのだ。
「ば、馬鹿な……三連敗?」
驚愕するミチルさん。
僕達もおそらく同じ顔してる。
「フッ。かなり強かったですが、貴方のツキもここまでですね」
相手の男――賭場の支配人がニヤリと嗤う。
嫌な顔だ。
でも文句は言えない。
確率を操れるミチルさんの能力が通じない謎を解かない限り。
確率操作を無力化できるのは、同じく確率操作の能力くらいだろう。という事は相手も確率操作能力を……?
一応、僕の『鑑定』で支配人を視る。
でも支配人にその能力は備わってない。
嘘だろ?
次に、ミチルさん達がしている賭けで使う、異世界版トランプを鑑定し……おいおい、冗談だと言ってくれ。
「『絶縁結界』」
支配人がカードを開示し終えた瞬間、僕は彼の周囲に結界を張る。
支配人とミチルさんはビックリしたけど「そのままカードを引いて」と言うと、ミチルさんは素直にカードを引き……絞る。量子力学的に言えば『シュレーディンガーの猫』の如く、カードに数多の数字の可能性が重なり……そしてミチルさんはその可能性を……一つに絞った。
僕達の世界で言うところの、ロイヤルストレートフラッシュになった。
僕達は、勝ったのだ。
歓喜に沸く僕達。
そして結界内の支配人は驚愕しつつ僕達を見てて……そんな彼に僕は言う。
「いやまさか、カード内に貴方の分身が内包されていて……そして貴方の思念波に反応して、カードの数字を自在に変えていた……なんてデタラメなトリックだったとは思わなかったよ」
僕は溜め息を吐いた。
全く。量子もつれのような現象を起こすとは。
「ミチルさんの確率操作が通用しないワケだ。最初からカードの数字が支配されてては、ミチルさんから見ての確率なんて意味ないからね」
だが同時に、確率操作の弱点が分かってよかった。
これからの悪魔討伐の旅では、そこも注意していこう。
支配人の能力は、カード内の分身の方にしかない能力です。