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居座った猫、やはり無能につき。

 偉そうなアポロは結局、私の家に居座った。


 毎日、餌を強請るわ、その餌の内容にもこだわってくるわで生意気だ。生前、飼い主である兄からは1番安い餌しかもらっていなかっただろうに。

 生前から変わらず、相変わらず、食い意地が張っている。誰に似たのやらと思うが、我が家は兄以外は食へ投資を拒まない。というか、食べるのが好きだ。我が家の()なんだよなぁ。


 部屋の一角に、アポロの写真を飾り、その前にお供えをおけとの指示のため、一粒だけ置いた。どうせ食べれないし、死後に食事はいらないはずだし、一粒で十分なはず。

 猫草も所望したが邪魔になって困るため、そこは豆苗を置いてみた。アポロに嫌な顔をされたが、そこは知らんぷりして押し通した。家主は私なのだから、従ってもらう。


 アポロは一粒の餌と豆苗をいつも、幸せそうに食し、毛繕いをして寝て。気が向いたらパトロールをするかの如く、家を練り歩く。それを繰り返して過ごしていた。

 私が家から出るときにはついてきて、好き勝手過ごしているが、まぁ他の人には見えていないし、いいだろう。


 数日も一緒に生活を続けたら、アポロは何故だか太り、生前の1番元気だった頃の姿を取り戻した。よかったとも思わなくはないが、なぜ、そうなるかは分からない。

 一粒と豆苗でいいんかぃ。あれだけ文句を言ってきたくせに。


 一度、兄の方へ行ったらどうかと提案した。あちらがアポロの飼い主なのだから、それが普通だと。


 それに対して、アポロからは

『|なぁーな゛ぁーぅんなぁーなぁー《翔に言って願いが叶ったことはない。》』と言われた。


 お高い餌を買っていたのは私で、兄は1番安いアポロが好かない餌しか買わない。水やトイレ掃除はやっていたのは母。

 意外とアポロは見ていたのだなぁと思った。しかし、だからといって奴隷か召使い感覚でうちに来るなと言いたいわけだが。


 ただ。


 主人を名乗っている偉そうな猫であるとはいえ、霊体。つまりは、妖怪的な存在なわけで。

 ならば、何かがあれば役立つかも。そんな期待が私の中にはあった。


 私は幼少期より霊的なものが見える。しかし、祓えるわけではない。見えるが故に、聞こえるが故に寄ってくる奴らはいる。それにどれだけ苦しめられたことか。


 もしかしたら、アポロが救ってくれるかも。


 再び、私はアポロに期待をし、ある程度のわがままには目を瞑った。

 生きていない分、アポロの世話はあまり苦ではなく、また、一緒に暮らしていた時期もあるから慣れた日々ではあった。

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