プロローグ
はじめまして。
グラタスと申します。
自分の妄想の中での魔術師と魔術をお伝えできたらなと思います。
ご意見ご感想大歓迎です(^^)/
……。
これは、夢?
否。
これは、私の、記憶。
重々しい空気の流れるここは裁判所。
今、一人の青年に判決が言い渡される。
「被告人の行為は、“魔術保護及び先進に関する基本条例”が定める、本協会に対する反逆・反乱に相当すると判断せざるをえない。
従って、被告人に対し、協会からの永久追放、“証”・“第一次式標準形以外の術式”の剥奪を執行致します」
お分かりだろう。
ここは一般の裁判所などではない。
魔術規制管理協会の司法を担う裁判所だ。
魔術師が犯した罪を裁くのがここの役目。
この日も、青年が裁きを受けた。
先にお断りしておこう。
“魔術”の世界にも、“冤罪”は確かに存在する……。
そして、舞台はもう一カ所。
原っぱ。
そんな言葉が似合うこの場所は、冬が近付く今も、どこか暖かな雰囲気だ。
「おじいちゃん、こう?」
「そうそう、上手だねぇ」
“おじいちゃん”そう呼ばれる優しそうな老人。
彼は小さな女の子に何かを教えている最中だ。
「最後にこう書いたら完成だよ」
老人は地面に“ρεδ”と書いて見せた。
女の子は見よう見真似でそれを宙に書き記す。
光った。
いや、少し違う。
光るべきものはそこにない。
光が、生じている。
そう表現したほうがしっくりくる。
小さく、淡く、それでいてしっかりとした白色光。
小さな女の子“実果”が、初めて術式“無印第一次式標準形”を発動した瞬間だった。
たった今、これからの人生を決められた青年。
たった今、これからの人生が始まった女の子。
青年が、もう一度魔術の道に戻るのも、女の子が本格的に魔術の道に入るのも、まだもう少し先の事だった。