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ママのお腹の中にネジを忘れてきた女の話  作者: ぴよぴよ
高校一年生、春
2/2

4月

わたしの学校は入学して早々、合宿という名の拷問があった。


実施日は入学して1週間足らずである。


まさかまさかの急展開すぎて、その三日間が苦痛でしょうがなかった。

【はじまり】でお話しした通り、自己紹介を通してオタクが集まり友達ができたんだが、それは授業が始まってからのこと。


私たちは1度目の授業のたびに自己紹介させられた。

当たり前だが授業担当の先生にとって私たちのクラスでの1発目の授業は、はじめましてなわけであり、名前と顔を一致させるためにもやはり自己紹介は必須だったわけだ。

しかしその先生にとって初めての自己紹介も私たちはクラスメイトの自己紹介を何十回と聞いているのだ。なんならほとんど言ってることが変わらないのでもはや暗記できるレベル。


そうすれば必然と「ああ、あの子わたしの推しと同じグループのあのメンバーが好きって言ってたな」ってなるが、その合宿があったのはそんな会話がされる前。


そしてあろうことかクラスでの自己紹介もされておらず、席が前後の人の名前がかろうじてわかる程度だった。


そんなの中学卒業してその先の不安をたくさん抱える新入生にはあまりに酷過ぎないか?!と頭を抱えたのはいうまでもない。


しかも学校説明会等でそんな合宿があるとは聞かされておらず、入学が決まった後の入学前オリエンテーションで知ったので、もうどうしようもなかった。


まあ、そんな合宿に行きたくないからここの学校入りたくないなんて言えば母親にはっ倒されるとは思うが。



そして結局重い足を引きずってその合宿に向かうのだが、またこれがめんどくさいことこの上なかった。


まず、クラスの子ですら顔もわかんない人たちがたくさんいるのに、他のクラスの子たちとグループを組まされ、意見を出し合う的な課題が出された。

人見知りで内気、自分の意見は「言えない」っていうよりも「ほとんどない」が正しい性格のわたしには拷問すぎた。


女の子ってとってもめんどくさいので、ドカドカ意見を言ってくる子は大抵心の中で「こいつめんどくさ」と思われるし、ずーっと意見も言わずただボーッと座っていても「こいつ意見いわねぇーじゃんだる」と思われるのだ。


それを理解し、まだ友達ができていないのでこの場で嫌われるわけにもいかず、かと言ってほんとに意見なんて周りと同じようなこと、むしろそれらよりも薄っぺらいものしかなく、「ああ、わたしもそんな感じのこと思ってたよ〜」って小さい声で言うのが限界な私。

合宿で友達ができて、すでにご飯を隣同士仲良く笑い合いながら食べている子もいる中、すでに使えない女というレッテルを貼られかけている私はぼっち飯する他なかった。


後から聞いた話、その時のわたしは考えすぎで、他のグループの子達もやはり一定数わたしのように小声で周りに合わせるだけの子もいたし、わたしとグループが同じだった子も私のことを可愛いと言っていてくれたらしく、結果から言えば【そのときは】まだ使えない女なんて思われていなかったのだ。




そう、そのときは。

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