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Missドラゴンの備忘録  作者: 青背表紙
88/93

86 インゴくんの魔法 中編

本日3話投稿しています。これは2話目です。

「僕の姓、ザルデルンは母の家名なんです。僕の本当の姓はマイラーっていいます。」


 それを聞いたニーナちゃんとイレーネちゃんは、さっとミカエラちゃんの方を見た。ミカエラちゃんは感情のない声で、確かめるように彼に問いかけた。


「ではあなたはマイラー子爵の血縁の者ということですか?」


「はい、僕は・・・マイラー子爵の実子です。マイラー家唯一の生き残りなんです。」


 それを聞いたミカエラちゃんは僅かに眉を寄せた。イレーネちゃんは表情こそ変えなかったものの、彼女にしては珍しくとても動揺しているように見えた。


 しんと部屋が静まり返る。その沈黙を破るようにエマはインゴくんに問いかけた。






「あの、マイラー家の生き残りって一体どういうこと?」


 インゴくんは質問に答えようとエマの方に向き直ったけれど、隣にいたミカエラちゃんの目を見てすぐに口籠ってしまった。彼女の目は恐ろしく静かで、そこからは何の感情も感じられなかった。


「エマさん。その質問には私がお答えしますわ。当事者の方にはお話ししにくい内容でしょうから。」


 そう言って話し始めたのはニーナちゃんだった。彼女は「出来るだけ王国貴族が一般的に知っている事実だけをお話しします」と前置きをしてから、私たちに説明をしてくれた。






「マイラー子爵家は反王党派に属する中級の貴族家でした。優れた騎士を多く輩出する武門の名家で、当主は軍の要職を歴任していたのです。」


「していたってことは、今は違うってこと?」


「はい。マイラー子爵は処刑されました。8年前にグラスプ伯爵が起こした反逆事件に関わったとして捕らえられたのです。」


 それを聞いたエマはミカエラちゃんとインゴくんに目を向けた。ミカエラちゃんは僅かに頷いただけだったけれど、インゴくんは咄嗟に目を逸らしてしまった。






 グラスプ伯爵はミカエラちゃんの生家であるバルシュ家ととても深いつながりがあり、かつては盟友と呼ばれるほどの間柄だったと聞いている。ミカエラちゃんのお姉さん、ガブリエラさんの元婚約者も確かグラスプ家の人だったはずだ。


 でもバルシュ家が断絶となったことでその関係は終わった。バルシュ家が断絶に追いやられたきっかけは西ゴルド帝国の策略だったと言われているけれど、それに王国内の反王党派貴族が深くかかわっていたらしいというのは私も知っている。


 私がそう言うとニーナちゃんはそっと頷き、周りの皆を気遣うように見た後、また説明を始めた。






 グラスプ家もバルシュ家と同じように反王党派の主流派貴族だったけれど、8年前に反乱事件を計画したとして捕らえられた。グラスプ家の血縁者はすべて処刑され、事件に関わったとされる反王党派貴族たちは粛清された。


 その中の一人がマイラー子爵だった。マイラー子爵はグラスプ伯爵とのつながりが深く、『伯爵の懐刀』と呼ばれるほどの人だったらしい。


 マイラー家は断絶となり領地は没収。血縁者は男女問わず全員が処刑された。他家からマイラー家に嫁いできていた女性たちは生家に戻されて貴族籍を剝奪された上、謹慎を命じられたそうだ。これは粛清された貴族家の中でもかなり重い処分だったとニーナちゃんは言った。


 すると話を聞いていたエマがニーナちゃんに問いかけた。






「でもインゴくんはマイラー子爵の実の子どもなんでしょう?」


 ニーナちゃんはインゴくんをちらりと見た後、こくりと頷いた。


「ですから私たちもとても驚いているんです。まさかマイラー家の生き残りがいて、しかも王立学校に入学してきているだなんて・・・。」


 皆の視線がインゴくんに集まる。彼は落ち着かなそうに身じろぎをした後、一度歯を食いしばってからミカエラちゃんに向き直った。


「あの事件があった時、あなたがどんなに恐ろしい思いをしたか僕は知ってます。あなたを誘拐した実行犯たちを手引きしたのは、僕の父だったのですから。」


 インゴくんの言葉を聞いてその場の皆は息を呑み、凍り付いたように動かなくなった。






 8年前、ミカエラちゃんはバルシュ家の起こした事件の罰として王都を追放され、ガブリエラさんと一緒に王都の北の荒野にある聖女教の修道院に収容されていた。


 ただ捕らえられた時、ミカエラちゃん自身はまだ生まれたばかり。彼女は自分が元侯爵家の人間だったことも知らず、修道院にいた他の孤児たちと一緒に穏やかに暮らしていた。


 でもその生活も彼女が5歳のときにグラスプ伯爵の手によって壊されてしまう。伯爵は王様の秘密を探り、王家に対抗するためガブリエラさんに言うことを聞かせようとした。その手段としてミカエラちゃんを誘拐し、人質としたからだ。


 修道院は襲撃され、一緒に暮らしていた修道女や孤児たちはミカエラちゃんの目の前で殺された。彼女は誘拐犯たちに彼らのアジトがあるウェスタ村まで運ばれたのだけれどその間ずっと体をきつく縛られ、とても恐ろしい思いをしたのだそうだ。


 ウェスタ村に着いた後、彼女はリアさんとテレサさんによって救い出され、ガブリエラさんもカールさんの活躍で解放された。そのことは私もテレサさんやガブリエラさんから聞いているので知っている。エマもミカエラちゃんから聞かされているから知っているはずだ。


 でも確かこれって、他の人には内緒なんじゃなかったっけ?






 私がそう思っていたら、ちょうどミカエラちゃんがインゴくんを静かな声で問いただした。


「・・・どうしてあなたがそれを? あの事件があった時、あなたはまだ4歳だったはずですよね。」


「母から聞かされました。あとザルデルン家の人たちからも繰り返し言われましたから。」


 インゴくんはそう言うと急に椅子から立ち上がった。そしてミカエラちゃんの足元の床に体を投げ出して平伏ひれふし、額を床に擦りつけた。


「あなたに対してなんとお詫びしていいか僕には分かりません。こうして謝罪することしか今の僕には出来ない。」


 そう言った後、彼はエマの方に向き直った。


「僕がマイラー家の生き残りであるというのは今まで誰にも話したことのない秘密です。それをお話ししたのは、ミカエラさんに謝罪したかったから。そしてあなた方に僕の事情を知ってほしかったからです。」


 彼の目からはその必死さがひしひしと伝わってきた。誰かに話せば殺されるかもしれない秘密を暴露するほど彼は追い詰められているということなのだろう。


「お願いです、エマさん。僕にお金を出してください。ミカエラさんの友人であるあなたに、僕がこんなお願いをするのがどんなに恥知らずなことか十分分かっています。でも僕にはもう、頼る人がいないのです。どうかお願いします!!」






 彼は床に座ったまま、その場でまた深く頭を下げた。エマは困った顔をしてミカエラちゃんの方を見た。するとミカエラちゃんが静かに椅子から立ち上がり、平伏している彼の肩にそっと手を置いた。


「あなたに罪はありません。顔をお上げなさい。」


「ミカエラさん・・・僕は・・・!」


 今にも泣きだしそうに顔を歪めた彼に対して、ミカエラちゃんは静かに首を横に振った。


「幼かったあなたに何の罪があるというのですか。罪を償うべき人間はすでに報いを受けているのです。あなたが私に引け目を感じる必要はありません。すべてはもう終わったことなのです。」


「ミカエラさん・・・!」


 ミカエラちゃんはインゴくんの両手をそっと取って伏し目がちに笑いながら「それに」と切り出した。






「自分の親が罪を犯したという点では、私もあなたと同じ立場なのですよ。私たちに出来ることはその事実と向き合い、自分に出来ることは何かを考え続けること。そうではありませんか?」


 ミカエラちゃんが自分に言い聞かせるようにそう言うと、インゴくんは「はい」と何度も頷きながらポロポロときれいな涙を流した。ミカエラちゃんは痛みに耐えているような顔をしていたけれど、エマが彼女に寄り添ってそっと背中に手を当てると、少し恥ずかしそうに微笑んだ。


 それから彼が泣き止むのを待って、私たちは改めて彼の話を聞くことになった。彼は「取り乱してすみませんでした」と皆に謝ってから、自分の身の上とお金が必要な事情を説明し始めた。











 テーブルに付いた皆に、私は改めてお茶を配りなおした。前に淹れたお茶はすっかり冷めてしまっていたからだ。


 お茶を受け取ったインゴくんは私にお礼を言った。そして緊張をほぐすようにお茶を一口飲み、手を膝の上で握ったり閉じたりしながら話し始めた。


「僕はマイラー子爵の実子です。僕の母は前妻を亡くした子爵の後添えとして、マイラー家に嫁いだそうです。」


 インゴくんのお母さん、グレートヒェンさんは今から12年前、15歳の時に子爵と結婚したそうだ。その時、子爵はすでに50歳をとうに超えていたそうで、彼女は自分の父親よりもはるかに年上の男性の妻になったのだという。


 それを聞いたニーナちゃんが遠慮がちに彼に問いかけた。






「あの、失礼ですけど、ザルデルン家は子爵の他、親族内に幾人もの爵位を持つ人間がいるほどの中級貴族家ですわよね。そんな貴族家の娘がなぜそれほど不利な条件で婚姻をしたのですか? 騎士の名家なのですから、他に結婚相手はいくらでも居そうなものなのに・・・。」


「母は前ザルデルン子爵、つまり僕の祖父が平民の侍女との間にもうけた子だったのです。父の元を離れ、一時ザルデルン家に母と共に隠遁していた時に、母の義兄姉やその子供たちから散々そう聞かされました。」


 グレートヒェンさんは前当主が生きていた頃までは、ザルデルン家の一員として認められてはいたそうだ。けれど彼女が幼い頃に前当主がなくなり、彼女の義兄が新しい子爵となって以降は厄介者扱いを受けていたらしい。


「平民の血を引いた母はとても魔力が低いのです。それで王立学校にすら満足に通わせてもらえず、子爵家の屋敷で侍女と同様の暮らしをしていたと聞いています。」


 グレートヒェンさんは平民の下働きも住まないような離れに一人押し込まれ、辛い仕事をすべて引き受けさせられていたそうだ。それを聞いてイレーネちゃんは形のよい眉をぐっと引き寄せた。






 そんな時、たまたまザルデルン家を訪れたマイラー子爵が彼女のことを見初め、自分の後添えとしてもらいうけたいと言ったのだという。


「その頃、ザルデルン家は経済的にとても困窮していたそうです。ザルデルン子爵は母を輿入れさせる見返りとして多額の支度金をマイラー子爵から受け取ったそうですよ。」


「その噂は私も父から聞いたことがあります。新当主の放蕩が原因で一時は先祖伝来の武具を手放さなくてはならないほど困窮していたとか・・・。」


 ゼルマちゃんがそう言うと、インゴくんは小さく頷いた。。


「それは祖父の後を継いだ長兄、つまり私の一番上の伯父のことですね。長兄はグラスプ伯爵反逆事件で交代させられてしまったので、現当主は次兄になっています。母のおかげでザルデルン家は随分持ち直したそうですよ。」






「なんということを!! それではまるで身売りではありませんか!!」


 苦い顔をしてインゴくんの話を聞いていたイレーネちゃんが、たまりかねたように声を上げた。彼はふっと自嘲するように寂しげな笑みを浮かべながら彼女に答えた。


「ザルデルン家にいるときに母と僕は面と向かってそう言われましたよ。ようやく厄介者の娘を売り払ってやったのにまた戻ってくるだなんて一体どういうつもりだ、と。」


 イレーネちゃんは彼の言葉に絶句してしまった。彼は様々な思いで自分を見つめる皆の目をちらりと見てから、また静かに話し始めた。


「最低限の嫁入り道具を持たされて身売り同然に生家を追い出された母ですが、父は母をとても大切にしてくれたそうです。」


 彼のお母さんはのちに「あなたのお父様と一緒に過ごしたほんの数年間が、私の人生で一番幸せな時間だったわ」とよく語っていたそうだ。





 マイラー子爵は息子たちが暮らしている母屋から少し離れた場所に小さな屋敷を建て、そこにお母さんと彼を住まわせていたそうだ。


「父と前妻との間に生まれた息子たちはすでに成人し、それぞれの家族と共に暮らしていました。父はその中に母を加えたくなかったようです。母としてもマイラー家の後継争いに加わるつもりは微塵もありませんでしたから、母屋で暮らそうとは思わなかったようです。」


 誰にも邪魔されることない静かな場所で、彼は両親に愛されながら幼い日々を過ごしたそうだ。でもそれも長くは続かなかった。






「今でもはっきりと覚えています。あれは僕が4歳になった年の春の始めのことでした。」


 彼のお父さんであるマイラー子爵が戦装束のまま、突然二人の元にやってきたのだという。


「父は母に『お前とは今日のこの時を持って正式に離縁する。今すぐにこの屋敷を出ろ』と言いました。僕は訳が分かりませんでしたが、母は覚悟をしていたのでしょう。すぐに僕を連れてその場を離れたのです。」


 別れ際、彼のお父さんは二人をしっかりと抱きしめて「達者で暮らせ」と言ってくれたそうだ。それが彼の見たお父さんの最期の姿だった。






「僕と母が父の用意してくれた馬車に乗って屋敷を離れた直後、屋敷が恐ろしい勢いで燃え上がりました。おそらく父が火を放ったのでしょう。僕らがそこにいたという痕跡を残したくなかったのだと思います。」


 馬車の中には母子二人が生活するには十分すぎるほどのお金や貴重な魔導書、それに彼のための学習用具などが準備されていたという。マイラー領を離れた二人は、お母さんの生家であるザルデルン家に一時避難することになった。彼のお父さんは、二人のことを頼むと書いたザルデルン子爵宛ての手紙を彼のお母さんに託していたのだ。


「ですがザルデルン家にとって、僕と母の存在は邪魔でしかなかったのです。ザルデルン子爵は僕たちを匿う代わりだと言って、父が母と僕のために残してくれたものをすべて奪い取りました。」


 二人は屋敷の薄暗い片隅で軟禁生活を送ることになった。それは彼が9歳になる年まで続いたという。






「仕方のないことだったのだろうと思いますが、母も僕もその間まともな扱いをされたことは一度もありません。常にお前たちは反逆者だと罵られ、生かしてやるだけでの有難いと思えと言われ続けました。」


 彼のお母さんは屋敷の内向きで侍女として働かされた。その扱いは奴隷同然だったという。


 しかしここを追い出されたら、いつ官憲の手が息子インゴくんに及ぶか分からない。幼い彼を何とか生かすため、彼のお母さんは辛い生活に必死に耐えた。彼自身もお母さんと同じように使用人の下働きをさせられていたそうだ。


「僕も母も使用人や家族以外の人前に姿を見せること、言葉を話すことを固く禁じられていました。ですから使用人の中には僕が言葉をしゃべれないのだと思っていた者もいたようです。」


 自嘲気味にそういう彼は、とても暗い目をしていた。






「転機が訪れたのは今から3年前。ガブリエラ様が帝国に御輿入れなさったときのことです。」


 帝国との講和と同盟締結を祝して、王国では大規模な恩赦が行われたのだそうだ。反逆事件に関わった貴族たちも、その多くが謹慎を解かれ身分を回復したという。


 そのことについては彼だけでなくミカエラちゃんが補足をしてくれた。この恩赦の裏には王国内の貴族が少なくなりすぎていたという事情があるのだそうだ。またエマが王立学校に入学したことをきっかけに、貴族籍を離れて平民となった貴族を王立学校へ呼び戻そうという目論見が王様にはあったのだろうと、彼女は話してくれた。






「賭け事が大好きなザルデルン子爵は当時、相当お金に困っていたようです。ですからこれを機に母と僕を厄介払いしようとしました。子爵は『よい買い取り先』を見つけてきたと言って、僕と母を屋敷から追い出しました。」


「なんと破廉恥な・・・!! 王国貴族の風上にも置けません!!」


 それを聞いたイレーネちゃんが顔を真っ赤にして怒り出した。ミカエラちゃんとエマは彼女を宥めて、彼に続きを話すように促した。






「僕と母を買い取ったのはベルザー商会のバルテロという男でした。」


「ベルザー商会ですって!?」


「ピエトロくん、知ってるの?」


 驚きの声を上げたピエトロくんにエマが尋ねると、彼はインゴくんを気遣うように見ながら言った。


「王都に古くからある大商会なのですが、汚い商売をすることで有名な連中です。犯罪奴隷売買から違法すれすれの薬物まで、それこそ金になるものなら何でも扱うと言われています。高利貸しとしても有名で、借金のかたに多くの人間を奴隷として売っているとの噂もあります。正直、ベルザー商会とは取引したくはありませんね。」


 ピエトロくんの言葉にインゴくんも大きく頷いた。






「バルテロは本当に金に汚い男です。金の匂いを嗅ぎつけたらどこからともなくやってきて、相手から搾れるだけ搾り取ろうとする。そんな奴ですよ。」


 それを聞いた皆が嫌そうに顔を顰める中、ニーナちゃんが彼に尋ねた。


「そんなにお金に汚い男が、どうして貴族家の厄介者だったあなた方母子を買い取ったのですか?」


 確かにそう言われたら確かにその通りだ。聞いていた皆も私と同じ思いを抱いたみたい。私たちはインゴくんに答えを聞くため、彼の方をじっと見た。彼は少し言い淀みながらも、ようやくその質問に答えた。






「バルテロは、その・・・非常に好色な男なのです。僕の母はなんというか・・・とても男性に好かれるんですよ。」


 彼の答えを聞いた女の子たちは皆真っ赤になって顔を伏せてしまった。ジョセフィーヌちゃんだけは「ふん」って大きく鼻を鳴らしていたけどね。


 彼のお母さんはその『汚い商人さん』の愛妾の一人になった。王都の商人街にあるバルテロさんの屋敷で暮らすようになり、インゴくん母子はようやく人並みの生活をすることができるようになったという。


 私はお母さんとインゴくんが生活に困らなくなってよかったと思った。でも他の皆は何とも言えない顔でインゴくんを見つめている。そこで私はインゴくんに尋ねてみた。






「じゃあとりあえず暮らし向きに問題はなくなったんですね。それならどうしてお金が必要なんですか?」


 するとインゴくんは苦いものを口にしたような顔をしながら言った。


「それはバルテロが母を買うために使った金を回収すると言い出したからです。」


 バルテロさんはとても欲深い男。彼は王様が王立学校に元貴族の平民を入学させていると聞いて、すぐにインゴくんを入学させるための準備を始めたそうだ。彼の目的は王様が平民の新入生の家族に渡している『奨学金』だったんだって。






「王立学校の入学には普通の平民ではとても賄えないほどのお金がかかります。ですから新入生には全員、陛下より奨学金が下賜していただけるんです。」


 それを聞いた平民の生徒たちはうんうんと頷いた。そのことは私も知っている。だってエマももらっているからね。


 ただエマの場合、入学に必要な費用のほとんどをガブリエラさんが出してくれたので、王様から貰ったお金は2年生以降の教科書や学用品を買ったり、丈の合わなくなった制服を直すのに使ったり、お茶会に出席するためのお菓子代にしたりしていた。


 それでも足りない分は私がエマに貸していたんだけど、エマは魔獣討伐や冒険依頼で得た報酬、自作の魔法薬を売った代金などで全部返してくれた。だから今のエマの学費はすべて自分で稼いで賄っているのです。


 流石は私のエマ。エマは本当に賢くて、可愛くて、しっかりしてるよね!


 ただインゴくんの場合はかなり事情が違うようだった。






「バルテロは陛下から下賜された奨学金をすべて着服してしまいました。」


 バルテロさんはザルデルン家と交渉して、インゴくんに母親の家名を名乗ることを了承させた。その後、お金を貸している下級貴族から『利子代わり』に王立学校の制服やら学用品やらをかき集めてきて彼を入学させたそうだ。しかもその分の費用は彼のお母さんに『借財』として押し付けてしまった。


「バルテロは僕に『お前が借金を返し終えたら母親も解放してやる。母親の命が惜しけりゃ王立学校を卒業するまで頑張るんだな』と言いました。」


 今、王立学校で彼の世話をしている侍女はバルテロさんの差し向けた『監視役』らしい。彼の行動を見張り、バルテロさんからの指示を伝えるのがその役目なのだそうだ。






「ですがバルテロの要求は年を追うごとに酷くなっています。奴は僕のことを盾にとって、母に次々と学費分の借財を押し付けているのです。このままでは利子の支払いすらままならなくなってしまいます。どのみち奴はいずれ僕の母を売り飛ばすつもりなのでしょう。」


 インゴくんは監視役の侍女の様子を探り、バルテロさんが最近になって『よい買い取り手』を見つけたらしいという情報を掴んだ。このままではお母さんはまた別の男に売られてしまう。そうなる前に彼はバルテロさんにまとまったお金を渡し、お母さんを解放して自立したいのだそうだ。


「母を救うためにはお金が必要なんです。お願いです、エマさん。僕にお金を貸してください。奴の手を逃れることが出来たら、借りたお金はどんなことをしてでも絶対に支払いますから。」


 彼はそういってエマに深々と頭を下げた。でもエマは戸惑った表情をして彼に言った。






「で、でもそんなこと、本当にできるの? たとえお金を渡したとしてもバルテロがお母さんを解放するかどうかは分からないんでしょう?」


「それはそうです。ですがこのまま王立学校にいても借金が増えるばかりでどうにもなりません。」


 インゴくんは今にも泣きだしそうな顔でそう言った。彼は相当追い詰められているみたいだ。するとそのやり取りを聞いていたピエトロくんが突然声を上げた。


「いや、どう考えてもそれはおかしい。第一、そんな状態で背負わされた借財など、王国法では無効のはずです。官憲に訴え出れば、逆にバルテロを捕縛することができるのではありませんか?」


 ピエトロくんの提案に、ミカエラちゃんは静かに首を振った。






「インゴさんの立場で官憲に訴え出ることは難しいでしょうね。恩赦がなされたとは言っても、彼は重犯罪者の実子なのですから。正体が露見すれば逆に捕らえられかねません。」


「そんな・・・!」


 絶句するピエトロくんに対してインゴくんは小さく頷いた。


「バルトロが僕の出自についてどのくらい知っているかは分かりません。ですが僕に後ろ暗い秘密があることは承知しているようです。僕も母も奴を訴えることは出来ない。それが分かっているからこそ、奴は僕と母に無体な要求を続けているのだと思います。」


 違法とはいえ、彼のお母さんの借財は契約魔法によって結ばれているため、一方的に破棄するのは難しい。お母さんを解放するためには、それを解除できるだけの金額を準備する必要があるのだそうだ。






 部屋の中に重い沈黙が下りた。私はすっかり冷めてしまったお茶をもう一度淹れなおし、新しいお茶を皆に配った。でもお礼を言うものの、誰もそれに手を付けようとしなかった。


 私がこっそり《加熱》と《保温》の魔法を使って皆のお茶を温めていたら、ピエトロくんが沈黙を破って口を開いた。


「インゴくんの事情は分かりました。そういうことなら僕も父に掛け合って君に出資してもらうように頼んでみてもいいです。その時には父に仲介人として入ってもらいましょう。」


 それを聞いたインゴくんは彼にお礼を言いかけた。でもすぐにピエトロくんが手をさっと上げてそれを遮った。


「僕の父も商人です。利のない取引をしようとはしないでしょう。インゴくん、君は自立した後、一体どうやって金を稼ぐつもりだったのですか?」


 淡々と言ったピエトロくんに対し、インゴくんは居住まいを正して答えた。






「平民である僕は騎士クラスを卒業したとしても騎士になることは出来ません。せいぜい衛士隊員や王国軍兵士に採用されるのが関の山でしょう。一獲千金を目指すなら、冒険者か傭兵になるしかないと思っています。」


 それを聞いたピエトロくんは難しい顔をして黙り込んだ。ジョセフィーヌちゃんは目の前に置いてあったお茶を一口飲んでから(熱々だったので少し驚いていたけれど)、インゴくんに言葉を投げた。


「あんた、冒険者を舐めてるんじゃないのかい? 素人に毛が生えたような子供が、そんなに簡単に大金を稼げると思ったら大間違いさ!!」


 インゴくんはその言葉を正面から受け止めた。






「それは十分承知しています。ですが他に方法がありません。幸い僕はある程度、魔力格闘ができます。その点で他の冒険者と比べて多少は有利になると思っています。」


「マイラー子爵の実子であれば当然だろうな。」


 ゼルマちゃんはそう言って彼の言葉に同意した。マイラー子爵は火属性魔法と魔力格闘を組み合わせて戦う騎士として有名だったそうだ。お父さんの血を引いているインゴくんも、王立学校に入学できるくらいなのでそこそこの魔力を持っているらしい。


 するとそれを聞いたエマが彼に向かって言った。


「確かに一緒に格闘訓練をした時、インゴくん結構強かったよね。でもインゴくんが魔法を使っているのって見たことないんだけど。やっぱりお父さんと同じ火属性の魔法を使えるの?」


 でもその問いかけに答えたのはインゴくんではなく、エマの隣に座っていたイレーネちゃんだった。






「いいえ、彼は私と同じ光属性魔法研究室に属していますわ。」


「えっ、すごいじゃない! 魔獣と戦う騎士さんとしてはピッタリね!」


 エマが言ったように、光属性の魔法には攻守どちらでも戦いの役に立つ強力なものが多い。魔獣の攻撃を寄せ付けない《輝きの光盾》や光の刃で相手を焼き貫く《陽光の破撃》なんかが代表的な戦闘用光魔法だ。


 私もねぐらで魔導書を読み始めた頃に一応練習したことがある。ただあんまり面白くなかったのでそれきり使っていないけどね。


 でもエマの誉め言葉に対して、インゴくんは微妙な表情をしてみせた。


「いえ、僕はあまり戦いの役に立つ魔法は使えません。僕の魔法特性は光を操作する魔法なんです。」






 魔法特性というのはその人がどんな魔法が得意なのかを大まかに表すものだ。


 例えば同じ属性であっても癒しの魔法が出来れば治療師や回復術師、戦いの魔法が得意なら魔導士、魔力を扱うのが上手なら魔術師、魔力を物体に移すことに優れていれば付与術師や錬金術師という風にそれぞれ違いが出てくる。


 ちなみにエマは魔導士・魔術師タイプで癒しの魔法はほとんど使うことができない。これは私も同じだ。


 私たちとは逆でミカエラちゃんは癒しの魔法や魔力付与がとても上手だけれど、戦いの役に立つ魔法はあまり得意ではない。つまりこの魔力特性によって、将来の仕事が大きく分かれることがあるのだ。


 でも光を操作する魔法って一体何なんだろう?






 私が尋ねると、彼は「光の色や形を変えることができるんです」と言って実際にやってみせてくれた。


 彼は空中に光で出来た文字を浮かび上がらせ、それを7色に変えてみせた。他にも図形や簡単な魔法陣も浮かび上がらせてくれた。でも、ただそれだけだ。


「これ、動かすことは出来ないの?」


 エマがそう言うと、インゴくんは困ったように頭を振った。もしも描いた形を自由に動かすことが出来たら《幻影》の魔法のように使えるかもしれないけれど・・・。


「残念だけれど、戦いの役には立ちそうにありませんわね。」


 ニーナちゃんの言葉にジョセフィーヌちゃんも頷く。彼によると時間をかければ自分とそっくりの像を作り出すこともできるみたい。


 だけど、分身を作り出す水属性の上級幻惑魔法《惑乱の水鏡》とは違い、インゴくんの作る分身は薄く光り輝いているので誰が見ても一目で分身と分かってしまうのだ。






「うむむ、もう少し光が強ければ航海の役に立ちそうです。どうなんですか?」


 散々頭を捻っていたピエトロくんがそう提案してくれた。確かに彼の言う通り、強い光で文字が描けるなら、暗い夜の海で船同士が連絡を取り合うのに使えそうな気がする。でもインゴくんはまた申し訳なさそうに視線を下げた。


「僕はあまり遠くまで光を飛ばすことは出来ないんです。ごめんなさい。」


 光を遠くに飛ばそうとすると形が崩れてしまうのだそうだ。それなら明かりを作り出す無属性魔法《小さき灯》や《絶えざる光》の方がずっと役に立つし魔力消費も小さい。それにそもそも魔法を使わなくても、明かりで位置を知らせるだけなら松明で事足りてしまう。


 瞬間的に強い光が出せるわけではないので《閃光》のように目を眩ませるような使い方も難しいみたい。


 これはどう考えても戦いの役に立ちそうにない。唯一優れている点は細かく正確な形が描けることだけど、それなら《自動書記》の魔法で十分だものね。


 皆もそれが分かったからだろう。インゴくんが空中に描いた図形を消した後、誰も声を出そうとしなかった。すごく気まずい空気が流れる。






「わ、私はとっても素敵だと思いましたよ! なんていうか、その、すごくきれいでしたし!!」


 沈黙に耐えられなくなったのか、マルグレーテちゃんが取り繕うようにインゴくんに話しかけた。他の皆も少し引き攣った笑顔でうんうんと頷いた。けれどそれを見たインゴくんはがっくりと項垂れてしまった。


「やっぱり僕の魔法は役立たずみたいですね。属性魔法は諦めて、魔力格闘の方を磨くことにします。」


「私もそれがいいと思う。」


 ゼルマちゃんの言葉に皆も頷く。でもその時、それに反対するようにテーブルに手をついてさっと立ち上がった人がいた。






「同じ光属性の魔術師として、あなたに問いたいことがあります。」


 イレーネちゃんはそのままつかつかとインゴくんに近づくと、彼に顔をぐっと近づけて詰め寄った。


「あなた、まだ何か隠していますわよね?」


「え、何をおっしゃって・・・。」


「お黙りなさい!!」


 彼女はインゴくんが目を逸らして言い訳しようとしたのをピシャリと遮った。確かに彼は何か隠しているみたいだ。だって今の彼はマリーさんに怒られてる時の私と同じ顔してるからね。






「あなたの魔力格闘の成績や魔力総量から考えて、光魔法をそれだけしか扱えないというのはおかしいです。あなた、別の何かに魔力を大量に使っていますわね?」


 イレーネちゃんに詰め寄られて、インゴくんはたちまち落ち着きを失くした。彼は何とか取り繕うおうとしたけれど、自分を見つめる皆の目を見て諦めたみたいだ。彼を言葉を探すようにとてもゆっくりと話し始めた。


「実は今まで誰にも言っていなかった魔法が一つだけあるんです。」


 彼はそう言うと「生活魔法みたいなものなんですが」と断ってから、手近にあった錬金術の研究書を取り上げた。重そうな革の表紙の著作者欄にマルーシャ先生の署名がしてある。


 分厚い本を何気なく開いた彼は、その本を手に持ったまま小さく起動呪文を唱えた。






「《複写》」


 彼の呟きと共に本のページに書かれた文字や図表が輝きだした。次の瞬間、その輝きは空中にすっと浮き上がり、インゴくんの目の前でピタリと静止した。


「すごい! あっという間におんなじ形になった!!」


 エマと同じように他の皆もすごく驚いている。私も初めて見る魔法にすごく興奮してしまった。イレーネちゃんは空中に浮かんだ光で出来たページをじっと見つめた後、大きくため息をついた。


「恐ろしく正確に写し取ってありますわ。あなたが他の魔法を使えない理由がこれではっきりと分かりました。どうしてこの魔法のことを隠していたんですの? きちんと説明してもらわなくては困ります!!」


 インゴくんは自分を見つめる皆の目を避けるように、少し視線を下に落とした。


「・・・あまり良い目的に使っていなかったからです。だから誰かがいる前でこの魔法を使ったのは、これが初めてです。」





 実は彼、この魔法を本を盗み見るために使っていたのだそうだ。彼のお父さんが彼のために残してくれた子供用の書籍類や魔導書はすべてザルデルン家に奪われてしまった。でも彼はそれをどうしても諦めきれなかったらしい。


「僕は下働きで部屋を出ることを許された僅かな時間を使って、奪われた父の本を読もうとしていたのです。」


 奪われた本は彼の従兄弟たちの部屋に置いてあった。彼は人目を盗んで部屋に侵入しては、本を開いて少しずつ読んでいた。だけど彼の企みはすぐに露見してしまった。


 黙って本を読んでいたところを従兄弟たちに見つかった彼は、彼らからひどい折檻を受けた。彼はそれでも本を読むのを止めようとは思わなかったそうだ。






「その後もたびたび本を読みに行きました。見つかってひどく殴られることも多かったですが、父の本を読む喜びに比べたらそんなものは何でもありません。ただ当時の僕は幼かったので、一度にたくさんの文字を読むことができませんでした。もたもたしていたら見つかってしまう。それでもどうしても続きを読みたいという強く思った時、急にこの魔法が発現したのです。」


 彼はこの魔法を何度も何度も繰り返し使って、本のページを写し取った。そしてようやくお父さんの本をすべて読むことができたという。


 その話を聞いたミカエラちゃんは何度も大きく頷いた。彼女の目はすごく輝いている。まるでエルフの里にいるときのガブリエラさんみたいだ。






「これはいわゆる『固有呪文ユニークスペル』ですね。」


 ミカエラちゃんはそう言うと、誰かが何か言う前からすごく楽しそうに説明を始めた。


 魔術師の呪文は通常、魔術理論に基づいて系統的に研究されて生み出されるものだ。ところがごく稀に系統や理論によらない呪文を突然使えるようになる人が現れることがある。これが固有呪文と呼ばれるのだそうだ。


 固有呪文は天与の才能であるとも、魂に刻まれた願望が具現化したものであるとも言われているけれど、詳しいことは分かっていないみたい。実は神聖魔法の一種なのではないかという説もあり、一部の神学者と魔法学者の間では長いこと大激論が交わされているそうだ。






固有呪文使用者ユニークキャスターの発現率が極端に低いので、研究の資料が不足しているんです。ただはっきりしているのは神聖魔法と違って魔術回路を分析することが可能ということ。固有呪文を元に作られた呪文も、実は少なくないのですよ。」


 彼女曰く固有呪文は『魔術の突然変異』のようなものらしい。それを研究・改良することで日々新たな魔法が生み出されているのだそうだ。


 もしかしたら私の作った《人化の法》や《どこでもお風呂》も固有呪文なのかな? まあ、あれは皆に内緒だから研究してもらうことはないと思うけどね。






 急に早口でしゃべりだしたミカエラちゃんに少し驚きながらも、皆は「おお」という感嘆の声を漏らした。エマは笑いをこらえるような表情をしながら、インゴくんに向き直って尋ねた。


「どのくらいの数の本を写し取ることができるの?」


「小さい頃は1ページも写し取れませんでしたけど、今は本数冊分くらいはできます。」


 写し取ったページはいつでも好きな時に取り出して見ることができる。彼はそう言って以前写し取ったという本の一部を見せてくれた。確かにこれだけの本を魔力で保存していたら、他の魔法を使う余地はなくなってしまうだろう。


「盗み見したものなので、こうやってお見せするのはすごく恥ずかしいのですが・・・。」


 彼はバツの悪そうな顔でそう言うと、空中に出現させたページを消し去った。






「インゴくん、これを別の紙に写し取ることは出来るですか?」


 ピエトロくんがそう尋ねると、彼は途端に困った顔になった。


「やったことがないので分かりません。僕が余計なものを持っていたら、すぐに従兄弟たちに取り上げられてしまいましたから。」


「うーむ、紙に写し取れるんなら役に立つような気がするのですが・・・。」


 ピエトロくんは首を捻って考え込み始めた。イレーネちゃんは少し迷ったような表情をした後、インゴくんに言った。


「紙に写すことが目的であれば《自動書記》の魔法があります。その代わりには使えそうにありませんわね。それに・・・。」


 イレーネちゃんは何か言いにくそうに話すのを止めてしまった。私は続きが気になったので、近くにいたニーナちゃんに目を向けた。すると彼女はイレーネちゃんが濁した言葉を補足するように小さく私に囁いた。


「それに貴族が人前で使うには、ちょっと憚られる魔法ですわ。」

読んでくださった方、ありがとうございました。

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