光と闇
光は、聖なるモノ。
光は、清らかなるモノ。
光は、善。そして、導くモノ。
闇は、邪なるモノ。
闇は、不浄なるモノ。
闇は、悪。そして破滅へと誘うモノ。
ヒトは言う。光は正義で、闇は害悪だと。
光と闇は裏表。相反する対等のもので。
光だけの世界はありえない。
闇もまた、光が無くては存在できない、と。
馬鹿なのか、と僕は思う。
光がなければ存在できない?
ソレは影だ。闇じゃない。
夜空を見上げてみるがいい。
広大な闇の海原に、微かに震える星々を。
コレこそが光と闇の正しい版図。
対等などと、烏滸がましいにもほどがある。
善と悪とも何の関係もない。
なのになぜ。
ヒトは光を、善と、正義の証と、思い込んでいるのだろうか。
ヒトがどちらに属するのかと言えば、それは光かもしれない。
だって、彼らには命がある。
いつだって、命は、光のそばで生まれるのだから。
あまりに強い光は、ヒトを蒸発させる。
そして闇は、瞬く間にヒトを呑み込んでしまう。
光に近くて、近すぎず。
すぐそこに在る闇の淵の、ほんの少し手前。
ヒトが、命が、存在していられるのは、そんな奇跡のような。
本当に小さな場所、わずかな時間。
光と闇と。
双方が必要なのは、ヒトだ。
闇は別に、光がなくたって存在できる。
光は、命。カタチ。
そして刹那。
闇は、源。すべて。
そして悠久。
光が闇を、打ち消すことなど、できはしない。
けれど、闇は、光を、すべて、消せる。
すべて。