異端
ヒトは自分と異なるものを恐れる。
例えば、異国の言葉を話す者を。
例えば、異質な肌色、髪色を持つ者を。
違いは悪で、自分と似ている者を是とする。・・・まあ、例外はいるけれど。
「貴方と私は似てるわね。」なんてセリフ、エリーなら宣戦布告と受け取りそうだ。
自分と同じものなんて、彼女は必要としていない。
ヒトは違うモノに、恐れを抱く。
恐れを抱いて、排除しようとする。
それは、本能なのか?
集団で生きるため、必要なことだったのか。
そうは、思えない。ああ、はじまりはそうだったかもしれないが。
考えてみるがいい。
姿も形も自分と同じで。
考え方も、好みも一緒。
皆が同じように行動する、そんな世界を。
とてつもなく気持ちが悪いと、僕は思う。
それはもはや、ヒトではない。
きっとすぐに、滅んでしまうだろう。
幾千、幾万の世界
ヒトを覇者たらしめたのは、変わり者の存在だ。
ずば抜けた能力を持つ者が。
突き抜けた愚か者が。
皆と同じではないヤツが、世界を変え、切り開いてきた。
なのに。
ヒトは、皆と違うことを恐れ、皆に合わせようとする。
そして、違うヤツを見つけては、攻撃する。
なのに、なぜかこう思っているのだ。
「私は、皆とは違う。特別な存在だ。」と。
なんて矛盾だ。
そして、なんて滑稽なんだろう。
お前は違うと、責めてるくせに。
自分は違うと、慰めている。
それがヒトの性質ならば。
それは、なんのためだろう。
ヒトは考える。
「私は正しい、間違っているのはお前だ。」と。
「私は清い、汚れているのはお前だ。」と。
私は善で、お前は悪だ、と。
たぶん、ヒトは知っている。その思考の危うさを。
だから、恐れる。
違うモノを。未知なるモノを。
「私」を否定するかもしれない存在を。