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呪術士エリー

 僕の契約者であるエリーは、呪術士をやっている。


 呪術士というのは術士の一種だが、ヒトの感情、その多くは、恨みとか嫉妬とかのマイナスの感情、を扱うことが多いせいか、世間の評価は低い。呪術士を名乗る者の多くは、占いとか軽い願掛けとか、お守りの販売とかのほとんど害のない雰囲気商法を行っていて、本物はわずかなのだが。


 エリーはその数少ない一人だと言える。


 本物、と僕が言うのは、呪術を本当に理解しているかどうか?ということなのだが、世間的にいう本物、とは呪術で人を呪い殺せるか?という意味だ。どちらの意味でも、エリーは本物だが、エリーの場合、その生業としているのは「呪術の研究」である。


 呪術は曖昧だ。気まぐれで、勝手で、ときにはその理さえも変質させる。ヒトの感情なんてものが媒介となっているのだから当然だ、と思うかもしれないが、僕にしてみれば感情なんかに力が宿ること自体が意味不明である。


 エリーは呪術のその「わけのわからなさ」が好きで、あちこちの呪いの品を解析したり、自分で呪いを組み立てたりしている。あちこちに出かけるから、流しの呪い屋などと言われたりする。世にも珍しい、フットワークの軽い呪術士だ。



 ・・・それは、どれくらい前のことだろう。

 最近だったような気もするし、もうずいぶん昔のような気もする。


 それは、僕が初めて目にした世界。

 艶やかな藍色の髪と、凍るような翡翠の眼差し。

 静謐な狂気ともいえる彼女のカタチ


 それが失われるのが惜しくて。僕は望んだ。

 エリーの願い、その対価として。



「世界を、この世界を見てみたい。君と、一緒に。」


 運命なんて言葉は嫌いだから使わないけれど、僕はきっと、エリー以外の者を選ぶことはない。


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