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ギルドで起きた大事件②

老人は、近くにいた男に、私の事を説明させ、「ほぅ…」と言い、何か考え始めた。……いったい、誰なんだ?


「えぇと…あなたは?」


「おっと、これは申し遅れた。私はこの冒険者ギルドの総管理者だよ。名を、ガルル・ラティランと言う。よろしく。」


「ここの総管理者!?……そうか……あ、私はアカネだ。陽野朱音(ひのあかね)。よろしく。」


挨拶を終えると、ガルルはまた考え事を始めた。そのまま、沈黙が続いた。


沈黙を破り、ガルルが突如、こう言い放った。


「皆様。それに、アカネ様。『色持ちの勇者』という話はご存知ですかな?」


ーーザワッ……!


ガルルの一言で、空気が揺らいだ。


「ガルル様、まさか、そこの……アカネが勇者に……それも、『赤色の勇者』になり得る存在だと!?」


「うむ。そうじゃ。その髪色、目の色、更に能力値(ステータス)も、その事を裏付ける証拠になるじゃろう?」


「あの……ガルル?その『色持ちの勇者』…に、『赤色の勇者』ってなんだ?」


「おや、アカネ様はご存知ないのですか。……『色持ちの勇者』は、この世界に古くから伝わる伝説の物語ですよ。まだ、この世界を精霊達が統治していた時代、突然、魔王と、その軍が魔界から現れ、侵略を始めたのです。しかし、魔王軍が侵略を始めたのと同時期に、それぞれの街にそれぞれの色持ちの勇者が現れ、やがてこの街に現れた勇者が他の街の色持ちの勇者を率いて、魔王を封印した……という話です。その、この街に現れた勇者が『赤色の勇者』ですよ。」


……おや、もしやこれって……


「ガルル、それは、もしかして……私がその『赤色の勇者』になり得る存在だと、そういうことか?」


「そういう事です。アカネ様、この世界は、今窮地にあります。魔王が復活し、再び、侵略が始まろうとしています。そこで、『赤色の勇者』になり得るアカネ様に、他の街の『色持ちの勇者』を集め、伝説のように魔王を封印し、この世界を救って頂きたいのです!」


おぉ……おぉお!!まさに、まさにまっさっに!!!異世界!!王道!勇者!ゆっうっしゃ!!ネアリス、本当にありがとう!!


「ガルル……もちろんだ!!私が「赤色の勇者」として、魔王を封印し、この世界を救ってみせる!!」




「そうと決まれば……皆の者!アカネ様に武具や防具を用意せよ!」


と、ガルルが言い放つと、


「「ハッ!ガルル様ッ!」」


ギルド全体が慌ただしい空気に包まれ、冒険者達はドアを大きく開け、走り出していく。


「お、おいガルル!なにもそこまでしなくたって…」


「いえ、貴女は伝説の勇者になるお方!これでも足りないくらいですよ!」


しばらくして、様々な装備品が運ばれてきた。弓やら剣やら大盾やら鎧兜やら……どれも……カッコイイ!!


「アカネ様、この中より、好きなな武器と防具をお取りください。どれでも差し上げましょう!これは、この街全体からの好意ですぞ!」


「いやぁ、ありがとう、みんな!……えぇと、私はたしか『戦鎚特化』っていう能力(スキル)を持っているんだよな?」


「はい、そうです…」


と、ティナウが小声で答えた。


じゃあ……このハンマー…、いや、戦鎚がいいかな?


並べられた武器の、左から3つ目に置かれていた、赤色の金属と宝石で装飾された、黒色の柄に黒色の鉄塊のついた戦鎚を持ち上げた。


「な、ななな!あの『フォラウドハンマー』を片手で持ち上げた!?」「いったいどんな腕力なんだ、あの細腕で!?」


えぇ…これってそんなに重いの?な〜んか、ガルルも驚いた顔してるし……ま、いいか。


「えぇと、ガルル。鎧も好きなのを貰っていいのか?」


「……あ、えぇ、いいですよ。」


ガルル、顎が外れかけてるな……そんなに驚きなのか……?そんな重くは感じないんだけど……まぁ気にせず、鎧を選ぼう!


えぇと、あ、これいいかも!軽そうで、それでいて防御力は高そうだ!それに、私のイメージカラー……と思われる赤色だし、いいんじゃないかな?


その鎧は、真紅に染まった金属をベースに、金で装飾されていた。やや露出部が多い気もしたが、その分、動きやすそうな感じだ。今後、戦鎚を使うことを考えると……ゲームの場合、戦鎚使いは機動力(スピード)値の高さが必須になる。この鎧が多分ベストだ!


鎧を手に取り、装着してみる。なんだか、しっくりくる感じだ。


「「エッッッッ」」


「ん?どうかしたのか?」


「「いえなんでも!!!」」


……なんなんだ、いったい……まぁいいや。


「ガルル、この2つでいい!あ………でも本当に、もらっていいのか?」


「えぇ、どうぞ。『フォラウドハンマー』と『イヴェニラズアーマー』で、いいのですな?」


「あぁ、これが一番しっくりくる!ありがとう、ガルル!ありがとう、みんな!!」


よっしゃあ!!まさに異世界ライフ!!まさになろう系の勢い!!あぁ、これだよこれ!こういうの、やってみたかったんだよ!!


「お、そうだ。」


突然、冒険者の一人が声をあげた。


「アカネ様は、確かに伝説の勇者となり得るお方だが、レベル1という事実は変わらない。そこで、どうだろうか、お試し程度に、危険度2くらいのクエストを受けてもらっては。それに、誰かが同行していって、アカネ様の実力を見てくれば色々と良いことがあると思う。どうだ?」


「おぉ、それは名案だな!ティナウよ、早速対大型系のクエストを用意してくれ!」


「はっ、はい!!」


ティナウが走り出し、なにやら紙の貼ってある大きな板の前に向かった。ガルルに聞くと、あれは『クエストボード』というヤツらしい。


「誰か、アカネ様のクエストに同行したい者は、いるか?いたら手を上げなされ。」


ガルルが言うと、冒険者の大半が手を上げた。すると、人の林を掻き分け、一人の男が現れこう言った。


「同行は、俺がする。」


「その声……ダリアス様か。うむ、ダリアス様なら、アカネ様の実力を的確に分析してくださるじゃろう。アカネ様、この者を同行させてもよろしいですかな?」


「あぁ!ダリアス、さっきぶりだな!」


「おう、なんだか俺が酒を呑んでた間に、とんだ事になっちまったらしいな、アカネ。」


「そうらしい。とにかく、宜しく頼む!欠点とかあったら、ビシビシ指導してくれ!」


「あぁ、どんと任せとけ!最も、俺に指導可能な範囲のことなら、だけどな。」



しばらく、そんな話をしていた。


「良さそうなクエストがありましたよぉぉぉ!!!」


ティナウが走って戻ってくる。


ーカツン


「はりゃっ!?」


ーバタッ!!


「いっ……たたた……もう、誰ですかぁ、こんな所に石ころ持ってきたの……」


「あぁ、すまんティナウ!俺だ、俺」


「もう、ラルーラさん!石ころ集めはいいけど、ギルド内に放置していかないでください!」


「あはは……ごめんごめん、以後気をつけるよ。」


「全く…約束ですよ〜?あ、アカネ様、お見苦しいところを……すみません!」


「あぁ、いや。私の事は気にしないでくれ!それより、私はいったいどんなクエストに行くんだ!?」


「はい、こちらになります!」


「へぇ、ティナウ、いいクエストを選んだな!これなら、戦鎚の相手にもピッタリだし、丁度いい金稼ぎにもなる!今のアカネ様にはピッタリだな!」


「へぇ、『フォレストゴーレムの討伐』……場所は、近くの森か。………どこ?」


「あぁ、案内は俺がやるから大丈夫だ。」


「ありがとう、ダリアス!よし、じゃあ……早速、行くか!!」


「よぉし、案内するぜ、ついてこい、アカネ!」


「いってらっしゃ〜い!」



こうして私は、異世界転生して早々に、クエストを受けるという、まぁなんとも素晴らしい状況にいるのだ!一狩りいこうぜっ!!

作中に出てきた『色持ちの勇者』の物語は、今後、番外編として書く予定ですよ!!

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