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騎士学生の英傑  作者: えす
3/3

入学式編【3】

共刄きょうじんは初めての敗北を受け入れられなかった。

調子にのっていたとは言え、対戦相手の聖都しょうとから目を離してはいなかった。

だが六英刀ろくえいとう無銘刀むめいとうを鞘に納めたところから一瞬すぎた。これが「刹那」なんだろうなと思えたくらい。

ヴェネアでは間違いなくここまでの使い手はいなかった。

認めるしかなかった。こいつは強い。今まで戦った相手の誰より。




「共刄、いい試合だった。驚いたよ。まさか複属性の魔法を使えるだなんて」

「…ははは。まだ俺様の奥の手があったのだがなぁ…それを使う間もなく打ちのめされちまった…。聖都、お前は強いよ、認めてやる」

「!?ありがとう。これでも国に仕える聖騎士の家系のものでな」

「そういえば如月家と言えば…10代目は戦死はしたものの歴代最強と言われた聖騎士団長で9代目は剣聖だったな。そうか…なるほどなるほど!ところで、妹さんと話してきていいか?」

共刄の目線が俺の後ろに向いていたから身体を翻すとヒナの姿があった。

何かを言いたげな様子でもじもじしている。

「ヒナ。どうした、勝手に降りてきたら怒られるぞ」

「兄さん!見惚れるいい試合でした。さすがです」

「ありがとう。さ、次の試合が始まるだろうから上に行こう」

そう言ってヒナの手を取った。昔からよくはぐれたりしたので今ではそうするのが癖になってしまっている。

1歩歩きだしてもヒナがビクとも動かないので後ろを振り返る。

「どうしたヒナ。聞こえなかったか?」

「…」

?下を見たままで返事が返ってこない。

「おいおいおい、俺様を無視してなにイチャイチャしてるんだ?」

「別にそんなことはないだろ。ヒナもなんか言ったらどうd…」

背中程まで伸びた金色のきれいな髪。耳の後ろに髪をかけているからハッキリ赤くなっていたのがわかる。

もしかして俺が手を握っているのが恥ずかしかったか?さすがに全校生徒の目もあるから?

俺が不思議そうにヒナを見ているとゆっくりと顔を上げた。

「ああああの、次の試合が始まるので上に上がりましょう?うふふふ」

「あぁ、そうだな。共刄もさぁ」

「はぁ…なんて茶番だこれ」

共刄はため息多めでそう言い歩き始めた。


2階に上がって次の試合が始まるのを待っていた。

後の2名がどんな戦いをするのだろうかと言う期待と、誰なのか。と言うワクワクが止まらなかった。


「それではこれより第2試合を始めます。その前に、入学生の1人が所用のためこの場にいないので、中等部の前剣舞祭1年の部で優勝した雨宮あまみや 龍斗りゅうとを急遽対戦相手とします」

驚いた。1人これなくなったのなら不戦勝などの対処をすると思ったがまさかの穴埋めとは。しかも龍斗。

1年の時は圧倒的な強さで優勝して、全学年の混合戦でも決勝まで上がってきて俺に敗北している。

だが強さは折り紙付きだ。

さて、あの敗北からどの様に成長したのか、見させてもらおう。


1分も経たないうちに両方の扉が開いた。

龍斗は言うまでもないがもう1人が初めて見る生徒だった。

背丈は俺と同じくらいだが白髪で黒曜石の様な黒いグラディウスを所持していた。

あくまでも俺の予感だが共刄以上、もしかしたら俺以上の実力者かも知れない。もしそうであったら、龍斗には勝ち目はない。


「それでは…試合開始!」

「先手必勝!オレ流奥義、一撃必殺パーンチ!」

残念すぎる龍斗。お前はそうとう痛い子だよ。

龍斗は名前の通り渾身の力を込めたパンチを放った。

「はぁっ!」

白髪の生徒もパンチで迎え撃った。

バチッ という拳どうしが当たる音が武道館に響きわたった。そこからすぐさま龍斗が動き出した。

いつものパターンと言えばいいのだろうか、とにかく蹴る、殴るを繰り返す。

もとろん町で絡んでくるチンピラ相手なら何人でも伸ばすことの出来る体術だが相手はセリギアント学園の生徒。そう簡単にはいかない。


龍斗の攻撃が3分ほど続いていだが全ての攻撃を流されていた。

「くっそーーー、この数カ月修行を重ねてきた体術が全然効かねぇ!こうなったら仕方ない。本来の戦い方で行くしか!」

龍斗はそう言って両手を広げた。

すると一瞬で両手に槍が生成された。

本人曰く「ダブル十文字槍」と言うらしい。

ネーミングのセンスは置いておいて、この能力こそが龍斗の強み。槍だけでは無く今まで見た武器や道具は魔力を消費して作り出すことができる。

魔法については一通りの勉強をして知識はあったつもりの俺でも、専門家達ですらわからない固有魔法。

そして、龍斗の強みはそれだけじゃない。

「いっくぜぇぇぇぇ!おっら!」

片方の槍を相手めがけて投げる。さすがに相手も素人ではないからすかさず武器でガードをする。

武器で弾いた白髪の生徒が龍斗の姿を捉えようとしたときには、さっきまで立っていたところにはもう何もなかった。

左右をキョロキョロと見るが龍斗の姿は補足されない。

何故なら…

「ここ!」

弾かれた武器を掴みながら龍斗の姿が現れた。

それがもう1つの龍斗の強みだ。

自分で生成した武器の位置まで一瞬で移動できる。

本人は「武器移動ウェポンウォーク」と言う、なんとも微妙なネーミングをしている。

出し惜しみすることなく自分の力を発揮する龍斗。周りから見たら押しているようにも見えたが、攻撃は防がれ、どんどん魔力を消費していった。

「はぁ、はぁ…くっそぉ、やるね先輩。ここまでやるのはアニキ合わせて2人目だよ。こうなったら、アニキを倒す為のとっておきを見せてやる!」

とっておき?初めて聞いたな。同じ家で生活しているし剣の稽古も毎日つけている筈だが、一体何をするのだろうか。

「とっておきか。なら、俺も見せてやるよ」

白髪の生徒も応戦するみたいだ。さっきから、防ぐだけで全く攻撃を仕掛けていなかったからどんな攻撃をするのか楽しみだ。


「全魔力開放!かーらーの、武器庫ウェポンアームズ起動!」

武器庫?なんだそれは、初めて聞いたぞ。

龍斗が拳を上に掲げると大きな魔法陣が出現した。

魔法陣が消えると無数の武器が生成された始めた。

今までの武器生成は両手にしか出来なかったはずなのにここまでの数を空中に生成するとは、正直驚いた。

「生成完了。固定化完了。発射準備…完了。ぐっ」

龍斗は苦痛の声とともに鼻血を出し始めた。

恐らく魔力の使いすぎと制御からの負担だろう。

「負けるか…この勝負に勝てば次はアニキとだ…。勝って絶対認めさせてやる」

「これは驚いた。属性もわからない魔法…いや、これは固有魔法か?初めてだ。じゃあ俺も。魔力開放!」

白髪の生徒が魔力開放すると漆黒の魔力がハッキリと見える程に放出され始めた。

「はぁ…はぁ…いっくぞぉ!オレ流奥義!幻想武器ファントムウェポン!」

龍斗の頭上で生成され宙に固定されていた何種類もの武器が白髪の生徒向けて発射された。

「喰われろぉ!」

白髪の生徒がそう叫ぶと武器を振り上げ魔力を練り上げ龍斗目がけて放った。

これはまずい。

俺は直感でそう思った。

確かに龍斗の新技も相当の威力だろう。だが、白髪の生徒が放った魔力は恐らく闇属性。

人界には適正者がいないと言われる伝説級の魔力。

情報があまりなく、わかることは対象が消えるまで追い続け細胞単位で破壊する。

俺は椅子に立て掛けていた無銘刀を取り、居合の準備をして、全身への付加を行った。

加減をする時間もなく体への負荷への考慮もせずに全力で魔力を流す。

急げ、早くしないと間に合わない。

魔力は一瞬で巡った。

そして俺は共刄との試合で使った雷線ではなく、別の技を使った。

「麒麟・雷鳴!」

今の俺が使える最強の技。

一瞬で龍斗の前まで飛び、漆黒へ技を放った。

麒麟・雷鳴とは雷の霊獣麒麟の様に蒼い雷を纏い敵に突撃する捨て身の技だ。

雷鳴と言われるのは技の使用者が雷が音を鳴らしながら落ちているように見えるからだと言う。

如月家では代々受け継がれている3大奥義の1つ。

今の俺ではこれだけしか習得できていないが威力は確かだろう。日々鍛錬し磨き上げてきた技なのだから。


腕に激痛が走る。

踏み込む、と言うよりは飛ぶ、に近い突きで相手を刺す技なのだが、闇属性の魔力が膨大すぎて勢いがどんどん無くなっていく。

誤算だった。

白髪の生徒まで到達する事はなくとも技を相殺できると思っていた。


前に進む勢いもとうとう無くなり押され始めた。

ここまでか。と諦めた時。

「ふん…ぬぉぉぉぉぉぉぉ、なんのこれしき!俺様のエクスカリバーにかかればぁぁぁ!」

「共刄!無茶だ、魔力が膨大すぎるぞ!」

「ふっ、なにを寝ぼけたことを。お前が使った技、恐らくそれがお前の最強の技だろう?ならば俺様にも最強の奥義があるのだよ!!!!煌めく刃は勝利の証!エクスカリバー今こそ魔力開放だァァァァァァァ!」

エクスカリバーの生成する魔力が開放され刀身の輝きが増す。

「ホーリー!」

3つの技がぶつかり合い魔力が爆発音をあげ散った。


俺は数カ所闇属性の魔力を食らってしまった。

龍斗や共刄、周りにも被害がないことを確認すると付加も切れ、体から力が抜けると同時に意識も遠のいた。




龍斗vs白髪の生徒でここまで長くなるとは思わかなった(-_-;)


夢中で書いてたから誤字が怖いですね( ๐_๐)

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