王との会話
勢いとノリで書いた。
後悔はしている。
「冒険者カルノよ。面を上げよ。此度はよくぞ我が依頼を受けてくれた。感謝するぞ。」
「はっ!国王の命ならば我が身が朽ちようともお受け致します。」
「うむ苦しゅうない。さて、堅苦しいのはここまでにしようかの。カルノよ。楽にせい。」
「はっ。ありがとうございます。。して、一介の冒険者である私に何をお求めでしょうか。」
「うむ。そちはあの噂を聞いておるかね?」
「噂ですか…。最近になると耳に挟んだのは勇者の召喚でしょうか?」
「おぉ。冒険者にも噂が届いていたか。実はその噂通りでな。二日ほど前に勇者が召喚されたのだ。」
「ふむ。…まさかとは思いますが勇者のお供をせよと?」
「……。」
「…はぁ。王様。私はただの冒険者であるのですよ?その私を王子の魔物狩りのお供にしたり、騎士団の討伐任務に狩り出したり。して今度は勇者ですか!宰相殿もお止めください!」
「カルノよ。此度にお前を薦めたのは宰相たる私であるのだ。王も喜んで採用してくださったのだ。私も王もそして騎士団長もお前の優秀さは認めておる。諦めて勇者を安全に導いてくれないか。」
「…はぁ。王命となれば断ることもできないことをご存じでしょうに。…それで、勇者に何をさせれば良いのですか?」
「うむ。大聖堂によると魔王なるものが現れたようでの。配下をつくり、こちらに攻めてくるかもしれぬということらしいのだ。勇者にはこれを討伐してもらうことになる。」
「なるほど。魔王はどこにいるので?」
「分からん。」
は?
「…いや、北の方というのは分かっておるのだがな?詳しい場所やら敵の数やらはさっぱりなのだ。カルノにはこれらも探りながら魔王の脅威を無くして欲しいのだ。」
…はぁ?
「…はぁ。王様。これは高くつきますよ?」
「わかっておる。依頼を無事に達成した暁には王城に登用して高い報酬と共に一生仕事と金に困らんようにしてやろう。」
「………。」
「冗談じゃ!お主の望むものを何でもやるのを加える!受けてくれ!」
「…はぁ。もうそれでいいです。で、勇者は今何を?」
「…あぁ。勇者補佐官!勇者は今は特訓とやらだっかの?」
「はっ!ただいま勇者殿は聖女様、騎士団長の御息女、魔導学院の学園長の御息女と特訓なるものをしております。」
「…なるほど。その御三方が旅にお供してくるので?」
「えぇ。その通りでございます。」
「…実力の程は?」
「C級冒険者と言ったところございます。」
「…王様、もしや私に死ねと仰ってるので?」
「いや、そんなことは無い。彼らを成長させるのも導くというものの一つである。別に、ちょっと権力があるから断りきれなかったとかでもないからの。」
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「王様ぁ!あれが勇者ぁ?騎士団長に四人がかりでボロ負けしてるのが勇者ぁ!?」
「王は午後のティータイムである!不敬であるぞ!」
「宰相。よいのだ。彼にはこれから大変な激務が待っておるのだ。この程度は寛大に許してやるべきであろう。」
「ふざけんなぁ!戦術のせの字もわかんねぇ様な奴を俺は率いなければなんねぇとか聞いてねぇ! しかもあいつ、いい勝負が出来たな!っていう顔して仲間を励ましてやがったんだぞ!救いようがねぇよ!」
「なるほど。私の浅慮な愚申でありました。寛大な王の御心に深く感銘すら受けますな。」
「うむ。あ、カルノ。出発は明日からであるから頼むぞ。」
「はぁ?!明日ぁ?!」
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『王様。カルノです。勇者は最前線までたどり着くことが出来ました。』
「おお!カルノよ!よくやった!して、勇者はどんな様子だ?」
『はっ。連日、夜のたびに仲間である女性を自分の部屋へ呼び込んで盛っております。その他に特筆すべきことはございません。』
「…はぁ。カルノよ。勇者は何故うつつを抜かしておるのだ?」
『それはもちろん、戦いのストレスの反動とかではないかと。あと、英雄色を好むとも言いますし。』
「…お主はその状態を良しとしておるのか?」
『まぁ、よろしいのでは?成長具合からも苦戦するような戦いはなかなかないと思いますので、王様は凱旋の時に重婚を認めなくてはならないぐらいではないでしょうか。』
「…カルノが言うのであればまぁ、良いのじゃろう。重婚についても本人らが問題ないのであればこちらがなんとかしよう。」
『ありがとうございます。…あぁ、ついでと言ってはなんですが、もしかしたら、私が暇を出されるかも知れませんので、後任を考えておいていただけると助かります。女性がいいでしょうね。』
「…カルノが暇を出されるのか。うむ。もしそうなればあとのことは任せよ。最後までいなくともお主にはしっかりと褒美をやる。」
『はっ。ありがとうございます。』
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『王様。誠に申し訳ありません。』
「カルノか。どうした。ついに勇者に追い出されたか。」
『…はい。ようやく魔王と対峙出来るレベルには持っていきましたが、まだ、勇者には索敵などの行軍のための素質がありません。今すぐにでも後任を呼び出してください。』
「分かった。宰相!カルノの後任は用意してあるな!今すぐ出立させろ!…カルノ。よくやった。やり残したことがなければすぐにわしの元に戻ってこい。」
『…王様。私は後任の者に引き継ぎをしなければならないのでしばらくは残ります。』
「そうか。その後はすぐ戻ってくるのであろう?」
『…申し訳ございません。戻ることは叶いません。』
「なぜだ。お主には褒美をやらねばならんのだ。戻ってこなければならんのだ!」
『…勇者を庇ったときに腹を抉られまして。正直に申しますと今こうして生きているのが不思議なくらいでございまして。もう一度王様のお目にかかるのは難しいでしょう。』
「……。」
『王様。そんな顔をしないでください。…そんな泣きそうな顔をしないでください。…女性がしていい顔ではありませんよ。』
「うるさい!ワシが!私が!小さい頃にずっと一緒だったお兄ちゃんが!死にかけているのに!平気な顔をしていられるものか!」
『そういえば小さい頃から王様、泣き虫でしたね。』
「うるさい!いま、今すぐ助けの者を派遣するから黙っていて!」
『…王様…いいですか、宰相の話はしっかりと聞くのです。諸侯の貴族には愛想よく振舞って、民を優先させるようにするのです。それから早くいい男性を見つけて跡継ぎを育てるのです。お転婆に育てても構わないですがしっかりと王族として相応しい人間に育てるのです。あなたの背中を見せながら育てるのですよ。』
「黙って!いいから!早く治療を!」
『…王様。…最期に一つだけ。』
「最期などと言うな!カルノお兄ちゃんには城まで戻ってきて私のそばで仕えてもらうんだからまだ!お別れなんて嫌だ!」
『お聞きください。…王様。…私はあなたのことが大好きでした。王様に呼ばれるたびに、謁見するたびに心踊りながら楽しみにしておりました。…このような最期になって申し訳ございません。…最期に…よくやったと。褒めて貰えませんか。王様に。小さな頃にお世話をしていた姫から褒められたならば心置き無く逝けます。』
「…お兄ちゃん。ありがとう。よく頑張ってお世話してくれてほんとにありがとう。お兄ちゃんがいなければ今の私はいないほどだよ。」
『この身にあまる光栄であります。』
「…あと、私もお兄ちゃんのこと超大好きだから。絶対に帰らせて婿にとるから。」
『…は?…え?『こいつか!おい、状態が酷い!応急治療の後教会まで運べ!まだ生きているからな!失敗すれば処刑されるぞ!』…え?王様?…ちょ、ちょっとどういう『喋んじゃねぇ!傷が広がるぞ!』』
「生きて帰ってきてね!」
『…は!?え?』
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「王よ。なかなか良い式でありましたな。勇者の凱旋を式の一部として組み込まれるなどあとの歴史を探してもないでしょう。」
「であろう?宰相もなかなかわかるやつであったの!とくに、カルノのあの『こういう目立つ場所苦手なんだけど…』みたいな姿も最高であったの!」
「全くその通りでありますな。しかし、カルノ殿には本当に困らせられましたね。」
「あー、ほんとであるの。傷が酷すぎてボロボロになって帰ってきた時は泣きそうであったし、ワシの渾身の告白を受けてまで鈍感な振りをしおって。」
「王の気持ちを不意にするなど不敬にも程がありますな。まぁ、王のゴリ押しで結婚にも結びついたのは事実でありますが。」
「良いであろう?カルノも泣くほど喜んでおったし。」
「えぇ。泣きすぎて寝込んだほどでしたからね。…それにしても、王の配偶が決まって本当によかったです。男の影も無いものでもしやこのまま婿を取らないつもりかと。」
「…しかないじゃん!お爺ちゃんのときにリストラされたお兄ちゃんを再び見てこの人と結婚する!と決めたあの時の私に言ってほしい。」
「いやぁ、侍女から相談された時は夢かと思いました。『王様が恋をしている女の顔をしている』なんて聞いて、王に確認をとった時の慌て具合と照れが「わーわーーわー」といったら。」
「良いじゃん別にぃ。」
「別に悪いとは言ってません。あの愛らしいか「あー!そろそろ旦那様にあってこようかなー!宰相ごめんねー!」…」
「まあ、王がより王として元気ならば良しとしますかね。」
『俺は良くねぇ!って待て!まだ骨折あるんだから!飛びつくな!もっと優しく!姫!ギャー!』




