表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2年秋までベンチ外でした

作者: 木っち

「ゲームセット!試合終了です。ウー…」

試合終了を知らせる球場のサイレンが鳴り響く。夏に続いて秋もあと一歩の所で敗退してしまった。

「今回も、ここで負けるかー。力はあるんだけどね。なんで勝てないのか不思議なくらいだよ。」

同じ学校の生徒の一人が嘆く。この野球部は県内でもそれなりの強さをみせているチーム。最高成績は夏・秋共に県準優勝で優勝経験は無い。

そして僕も野球部の一員でもある。しかし、一度もベンチ入りしたことは無い。紅白戦もほとんど出場機会が無く試合出場経験も浅い。

そんなある日、監督に呼ばれ「篠牧!今度の田里高専との練習試合、この前の秋の大会で怪我した八橋に代わってベンチ入りだ。試合に出れるかは展開次第だから出れない可能性もある。出たら全力でやれ!」

最後のチャンスだと思い、練習試合に向け必死に練習に取り組んだ。どこのポジションでもいいように内外野の守備練習も居残りで練習した。


練習試合


ついに田里高専との練習試合が始まった。監督曰く、「今日の試合はほとんどの選手を出すつもりだ。全力で戦え。必死にやれよ!」

ベンチスタートではあったが8回に投手の代打でチャンスを頂いた。

粘って9球目甘く入った変化球を見逃さずセンターへ打ち返して見せた。ランナーには出たが代走が送られ退く形となった。

試合は9―6と勝利したが試合後、監督から「今日はなんだ?平凡なゴロやフライでの失策が多いし、攻撃でもサインを間違えたりミスが多いぞ。気をつけなさい。」

秋の県大会敗戦後のチーム状態は決して良くなかった。(地方大会に県2位で出場するも初戦で敗退している)だから監督は発破を掛ける意味でもこの厳しい言葉を浴びせたのだろうと思う。僕も甘いコースに来たにも拘らず、単打で終わったことに反省した。


4月に新部員(1年生)が入部してくる。春の大会は監督が「このまま試合に今のお前ら2・3年を出しても勝てるか?やる気を感じられないから、おそらく勝つのは難しいだろう。だから春は辞退する。」

と言い春季大会出場を見送り個々の連携などの練習に費やした。部員の中には監督に対し批判する声もあったがそれも今は無くなっている。


6月初旬、監督が選手全員を集め「来月から夏の県予選が始まる。昨年の夏・秋がなんだ?そこは忘れなさい。関係ない。いま君達が頑張っているのは夏の予選だろ?優勝に向けて必死に頑張りなさい。最後だからね。」

夏の予選に向け監督は無我夢中で取り組めと言った。


7月になり予選が始まった。予選の数日前に監督から「篠巻。お前は練習に真剣に取り組んでいるな。去年のお前とは違う。普通に快音飛ばすし、守備もどこでもいけるからな。はい、背番号。」

僕は、初戦の1回戦に6番右翼で先発出場。そして準決勝では4番投手で初のマウンドに上がった。この起用についてはかなりビックリした。練習でもキャッチボール程度で投手練習は一切していなかった。投手起用について監督は「投手陣温存のための偵察メンバー的なやつだ。ルール上投げてもらわなきゃいけないから許して。」

先頭打者を打ち取った所で右翼で待機していた背番号10の選手と交代した。(4番投手→右翼)

最終回の9回に1点差まで迫られたが何とか勝利し決勝に進んだ。


決勝は3番中堅で出場。高打率をマークしているとのことで3番打者として出場することになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ