東山魁夷の絵 白い森(アンリールソー)(2篇)
東山魁夷の絵
みずみずしい緑
透き通る風
詩が絵になる
そんな瞬間がある
山は深く豊かで
目に染入る鮮やかな緑が
魂を清める
そんな瞬間がある
優雅に月は天に登り
銀色の光は
粉雪のようにさらさらと
ふりそそぐ
どの風景も
どの瞬間も
どの季節も
そこには暖かな温もりがある
魂は絵の中に吸い込まれ
思い出になり優しさになり
風になり木霊になり
心の宇宙を見出す
しーんと静まり返った世界
雑音が消え
雑念が消え
人は原点を見る
*** *** ***
白い森 (アンリールソー)
私は今日も白い森へやってきた
私の神聖な場所
私の眠り
私の墓
今日も私は深い森を散策する
白い山羊に姿を変え
白い珊瑚のような森が
私を招く
白い星屑のような花が
唯一つ緑でおおわれた草原に
寂しい心のように
寄り添って咲いている
私はたどり着くことはない
白い森は深く
しんしんと雪が降る夜のように
ガラーンとした静けさが生きている
光る太陽
咲きほこる鮮やかな花ばな
目を光らせながら潜む
森の野獣たち
明るくきらびやかで
夢を飲み込み
影を潜ませる
楽しさと不安
一歩一歩
白い森へ
一歩一歩
わたしの心の奥へ