EP3 英雄vsヒーロー 理想と現実 ①
万全の状態で源蔵を助ける為に全員が適度な食事と睡眠をとった次の日
「お前達、遺書は書いたか?」
中央の団地の屋上に集まるルイコ達。アタランテは準備万端か問いかけた。
「武士道とは死ぬことだと見つけたり。」
「アタランテ、お願いだから死亡フラグ建てないで!」
「それ、生存フラグだっつーの。」
十兵衛、ルイコ、北斎。それぞれが準備万端で
「北斎、船は?」
「あ~」
北斎が船などの準備をしてくれているのだが、何処にも見当たらない。
ルイコ達は辺りを見回して何処にあるのか確認するも見当たらない。
「時差関係…あ、来た!」
時差関係の都合で来ないと心配したものの船はやって来た。
十兵衛達が乗っている船と違い先端部分にドリルがついていたり、海賊旗がついていたりする船。
ルイコ以外はあの船を知っているようで、なにかと十兵衛に聞いた。
「あの船は無人島や深海に隠されている財宝を手に入れる為の船で、政府の探検部隊の船。」
「そして、源蔵が設計に関わっている。」
十兵衛とアタランテが説明すると、船の上から二人の女性が飛び降りてくる。
一人はいかにも女海賊だと言う格好をした金髪爆乳のゆるふわカールの2メートルはあるであろう美女。もう一人はつり目の金髪ツーサイドアップの美女。
鎧を着ているのだが、胸が大きすぎてエロゲのくっころ騎士みたいな格好になっていた。
「久しぶりだね、北斎」「お久しぶりです。」
「…ああ。」
ルイコ達の事が眼中に無いのか、北斎にだけ挨拶をする美女。
北斎が返事をすると、何事もなく北斎にキスをした。
「…誰なの?」
「僕はシュバリエ・デオン、北斎の妻さ。」「アン・ボニー、同じく北斎の妻です。」
「この国って、一夫一妻制度じゃなかったっけ?」
「戸籍とかそう言うのはどうでもいいのさ。北斎、後でベッドを買いにいこう。キングサイズで3人で寝れるベッドを」
「3人で寝れるベッド、まさかお前!」
「源蔵を救うためには仕方ないことだ。」
シュバリエの言葉を聞いて、アタランテが疑問を問い掛けると頷く北斎。
政府は現在総動員で爆弾処理に向かっている。そのため、本来アンとシュバリエはいてはならない。
北斎が今回の騒動が終わったのなら何でも言うことを聞くから船を持ってきてくれと頼まれ、始末書や怒られるのを覚悟で来た。
何でも言うことを聞く、アンとシュバリエは北斎を正式に夫にするつもりだ。
「安心しなさい。私やシュバリエは貴方を縛るつもりはありません。ただ学校に編入して、雌を近付けさせないようにするだけです。」
サラッととんでもない事を言ったアン。
ルイコ達はそんな事よりも源蔵が無事かどうか気になっており、何処に居るのかを北斎に聞いた
「英雄運動会で言ってたけども、源蔵は衛星をうち上げてる。その衛星は気象衛星の機能以外にもレーダーになっててな。」
「ジャミング装置の一つや二つ、奴等が準備をしているはず。」
レーダーでは無理だと言うアタランテ。十兵衛もうんうんと頷く。
「普通のならな。船をサーチするんじゃない、源蔵を探すんだ。」
詳しい事は船の中だと言い、シュバリエに抱えて貰い船に乗る北斎。
ルイコ達もその後をおい船に飛び乗った。
「源蔵のDNAをここにいれて、100%同じ存在が何処に居るかを探す。」
源蔵がルイコが何処の人間か調べた際に使った機械に似た機械に源蔵の爪を入れる北斎。
機械は動きだし、源蔵が何処に居るかを特定した。一瞬だけだが。
「あ、くそ!」
源蔵が何処に居るかを一瞬だけだが、船のモニターに映し出された。
モニターに映し出された場所は英雄運動会をする為の無人島に行く前の場所、つまり英雄団地があった土地である。
「タイムマシンに何が必要か分からないから世界有数の霊地の英雄団地を選んだか…」
「冷静に分析してる場合じゃありません!」
十兵衛はアタランテにそう言った。
源蔵達が何処にいるのかが分かれば此方のもの。アンが船を動かし、源蔵を助けに向かった。
「あくまでも僕達は船を貸すだけだ。故に戦うことはしない。北斎、それが僕達と君の契約だ。」
「問題はここからだ。」
英雄団地があった土地の遥か上空に船を止め、アルゴー船は目前と言うか高低差10メートルの飛び降りれる状態にした。
超人的な身体能力を持つアタランテ達にとって遥か上空から飛び降りることなど朝飯前だ。しかしルイコとアタランテがダ・ヴィンチ達を助けジャンヌ達を倒そうと飛び乗った際に電気が身体中を流れ手痛いダメージをくらった為に、なんの準備もせず飛び降りて余計なダメージをくらってしまうのは危険だと動くに動けなかった。
「帯電スーツを使っても、戦闘中に破けてしまえば意味もない。」
「装置本体を壊すしか無いんじゃない?」
対策云々より根本を絶てば良いとルイコは言うが北斎は呆れた声をだす
「あの船はSランクの英雄達が改造ってるんだぞ。衝撃耐性の一つや二つ」
「そうじゃなくて、水とかでさショートさせたり」
「ルイコ殿、あの船は私達が乗ってた船と同じで陸海空全てに対応しており海水だろうが強力な磁場だろうが効きません。」
根本的な所から絶つ方法は無いと十兵衛は言うがルイコはそれ以外に無いと、根本を絶つ方法を考える。
「電気で攻撃は?」
「悪い案ではないが、恐らくアルゴー船自体が雷を耐える程の強靭さを持っていて、炎で焼くのも無理だ。」
雷、炎、水、機械や木の船に効果が無く残りは地と風だが、空中に浮かんでいるアルゴー船を大地をどうのこうのしても無駄で雷と炎が効かなく、反重力装置で浮かんでいるアルゴー船には風を当てても意味がないと諦めかけるルイコ。
「やっぱりダメージ覚悟で突撃するしか無いのかな…」
「…一つだけ方法があった。」
ルイコがどうしようもないと思ったところに、根本を絶つ方法を思い出すアタランテ。
いったいどんな方法かとルイコ達は聞くがここにいる人間じゃ出来ないことだと先に忠告し説明をした。
「エジソン達が拐われてそんなに時間がたってない。あくまでも予想だが、それしかない。」
「確かにそれならば出来ますが、私や北斎殿では不可能なこと」
「私も松明に火を付けて矢にして放つしか…」
アタランテの思い出した船の電気をどうにかする方法は、ルイコが言った根本を絶つ方法だった。
しかし、十兵衛、北斎、アタランテ、3人では根本を絶つ事が出来ず戦う気が最初からないアンとシュバリエですら出来ない。全員が、唯一何が出来て何が出来ないかを知らないルイコに顔を向けた。
「出来るけど…道具が…」
「それならば、俺の出番だな。なにが欲しい?言ってみろ!」
巨大な紙を何処かから取り出して筆を手に取る北斎。
ルイコに必要な物は何時でも紙兵の術で作るつもりのようだ。
「銃だよ。二丁拳銃。」
「二丁拳銃…こんな感じか。」
目にも止まらぬ素早さでルイコが望むオートマチックの二丁拳銃を描いた北斎。
絵を実体化させてルイコに渡すと、船の上へと向かう。
「あくまでも一か八かの賭けだ。失敗したら帯電スーツを着て、特攻だ。」
ルイコが北斎が描いた銃を使う前に全員に全身タイツを渡すアタランテ。
念のためと十兵衛と北斎は着るがルイコは着なかった。
「ルイコ殿」
「少し黙ってて…」
意識を集中させ、二丁拳銃をアルゴー船へと向けるルイコ。
大きく息を吸い込み、引き金を引いた。
「上手く行って…お願い…」
船の上に立った瞬間に味方以外には電撃が身体中に流れる様に改造られており、それをどうにかする方法はただ一つ、根本を絶つ。
アテナの加護を受け頑丈な船でエジソン達に改造られ、色々な機能や機械をつけられており、根本を絶つやり方は一つしかなかった。
「暑い…」
「なんの、この程度は修行時代で耐え抜いたレベル!」
「ルイコ、私達を気にせず撃ち続けろ!」
ルイコ撃っているものが原因で汗を大量にかく北斎達。ルイコが撃っているもの、それは熱風だ。
例えどんなにエジソン達が作った機械が優れていたとしても機械であることには変わりなく、使っている部品は一部を除けば何処にでもある部品だ。故に熱に弱い。
普通に炎で攻撃すればアテナの加護等で火が燃え移る事なく鎮火されて終わるが、熱風を送り続ければ機械のコードがオーバーヒートを起こし焼き切れる。
「アルゴー船にコンセントはない!外から持ってきた物で代用しているはず…」
大量に汗を流しながらもアルゴー船を見つめるアタランテ。
「そろそろ魔力、切れそう…」
「此処までか…」
魔力を熱風に変えて撃っていたが、魔力が切れかけだし徐々に回りの温度が下がっていく。
自分の思い出した方法は無駄だったのかと思い、ルイコに熱風を撃つのを止めさせようとするがアルゴー船が降下していく事に気付いた。
「やった、の?」
「ああ、どうやら成功したみたいだ。」
アタランテはルイコに銃を撃つのを止めさせ、アルゴー船を見る。
アルゴー船は途中までゆっくりと降下していたが、黒い煙をあげた瞬間、一気に落ちていった。
「おい…アレ、誰のせいだ?」
アルゴー船が一気に落ちたせいで地響きが起き、地面にヒビが入る。
北斎は今更ながら後先考えずとんでもない事をやってしまったと顔を青くする。
「……ルイコ殿と言うことで」
「ええ!?」
「ジャンヌダルクとアルセーヌ・ルパンに支払わせればいい。」
馬鹿な事を言ってないでさっさと行くぞとアタランテは船から飛び降りる。ルイコ達も後を追い飛び降りた。




