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EP4 終わりも悪く、倒されても第2第3が出てくる②

「…」


「来て早々なんじゃが感傷に浸っている場合じゃないぞ。」


「ああ、分かってる。」


元の世界に戻った。久し振りのお祖父ちゃんは前と変わらず半透明。

あの時はヤマトを救わないといけないから、急いでいて気にしてなかったけど


「此処って何処らへんなんだろう?。」


「今さらそれか!いや、確かにオレは教えていなかったな。此処はな、海の中だ。」


「潜水艦?」


「なんで分かった?…オレの手作りで誰も知らんはず。」


「いや、源蔵の世界なら当たり前に有るから」


だけど、私達の世界に潜水艦が存在するだなんて。

ヤマトの一部の人はバイクに近い乗り物を持ってるけど、潜水艦は持っていない。

リュウジさんが凄い人だって知ってたけど、まさか潜水艦を一から作ったなんて。


「え、マジで?此処よりも文化水準が高いのは知ってたけど、マジで?」


「バイク、じゃなくて魔動自転二輪車に近い乗り物も沢山あったし、かなり違う世界だったよ。」


お陰で源蔵の様に別の強さを持つ人に出会えた。コレは大きい成果だよ。

ただ強い人なら過去に何人もこの世界で見てきて、その人達と似た人を仲間にするんじゃお祖父ちゃん達伝説の戦士達と同じだからね。


「首都のミゴヤの防衛戦の準備をしに行くから。寝るなら寝とけよ。」


リュウジさんはそう言うと何処かに行った。

多分だけど、潜水艦を動かす操縦室に向かったんだと思う。


「ルイコよ、お前さんが仲間にした、え~と」


「平賀源蔵だ。先に言っておくが、俺は戦闘系の人間じゃない。出来るのは、魔法と同じ超常現象を神秘を一切使わず科学の力だけで引き起こすこと。」


源蔵を紹介して欲しいと言おうとしたお祖父ちゃん。源蔵はなにを言いたいか理解し自己紹介をしたけれど、自己紹介の仕方が酷い。


「ルイコ、異世界には色々な住人が居るのは理解しているが強い奴を彼奴で大丈夫なのか?」


「大丈夫だよ、お祖父ちゃん。源蔵は口が悪かったり、周りが馬鹿すぎるのを理由に物事を理解しても説明しなかったりするけど、とってもいい人だから。」


異世界から来た私の為に色々としてくれたしね。

お祖父ちゃんに源蔵が安心できる人だと説明したけど、強い人が纏う覇気の様なものを持っていない源蔵を信頼出来ないみたい。


「ルイコ、余りハードルをあげるな。英雄の子孫だから凄いことやってよとか言われるの一番キツい。」


「あ、ごめん。」


「爺さん、俺の凄さは分かる奴には分かる凄さだ。故に見せてやろう、異世界における科学チートを」


なんかライトノベルのタイトルみたいな事を言い、羽織と袴に着替える源蔵。


「ずっと気になってたんだけど、何処から服とか物とか出してるの?」


ギャグ漫画の様に何もないところから道具を取り出している源蔵。

羽織と袴なんて着てなかったのに一瞬にして着替えたりとか、本当にどうなってるの?アタランテとか北斎とかも何もないところから道具を取り出してたし。


「異空間に物を入れたりする魔法でも使っておるのか?」


「爺さん、俺は科学至上主義の人間だぞ。そんな物には頼らん。」


源蔵はベルトに袴の中から小さな箱を取りだし見せてくる。


「物質を粒子に変えて圧縮し保存する粒子圧縮箱、通称、保管箱。この世界で必要だと思った物は出来る限り持ってきた。」


羽織の裏に仕込んである大量の保管箱を見せる源蔵。

お祖父ちゃんはそんな物が存在するのかと驚き大きく口を開けた。


「どう、お祖父ちゃん?」


私が仲間に選んだ人は凄いでしょ?


「…別次元の強さを持つ人間じゃの。ワシが嘗て戦争に勝つためだけに求めた奴等とは違っておる。リュウちゃんに分史世界に飛ばしてもらって正解じゃったの。」


「俺のような英雄の子孫である以外は何も無い男が来て喜んでくれてなによりだ。」


さぁ、行こう!首都のミゴヤへ!







「まんま名古屋城じゃねえか!」


源蔵が首都のミゴヤに来て早々にツッコミを入れた。


「ヤマトとかミゴヤとかなんか名前が似てるなとかルイコの喋り方とかも似てるなとか色々と感じてたけど、まんま名古屋城じゃねえか!」


ビシッとヤマトの王様が住む三五八ミゴヤ城を指差す源蔵。

確かに日本のお城とミゴヤのお城は似てるけど、ツッコミを入れる程かな?


「普通はこう、西洋感溢れる中世の城じゃねえのか?」


「そう言う城は修復工事するのが凄く面倒で予算的にもキツいとかどうとかで、5代前の王様が日本風の城に変えたみたいだよ。」


「城が日本で街が中世風…合わんな…」


「この世界の事を驚いてる暇はないよ。」


王様の元に向かおうと三五八ミゴヤ城へと歩き出す私達。

もうすぐアークの侵攻部隊に攻めに入られるのが分かっているのか、街に活気や賑わいは一切無い。

どうせ死ぬんだからとやけ食いしている人達は見かけるが、それ以外は全然人を見かけない。


「王は何故降伏しないんだ?。降伏すれば王が処刑されるのは目に見えているが、それでも」


「前の王様は糞その物だけど、今の王様は国民の支持率99、8%の人で慕われてて、首都の人全員が死んでほしくないって思ってるの。」


そして私もその一人。


「とにかく守ろう、ミゴヤを。」


「貴女は…」


「ん?」


三五八城の城門の前まで行くと鎧に全身を包んだ人が私に声をかけてきた。

城門の門番の人みたいだけど、何処かで聞いたことのある声…誰だっけ?


「もしや、アンデルセン殿では?」


「そう、だけど?」


わなわなと手を震わせ、良かったと呟くと全員集合!と声を城中に響かせた。


「アンデルセンって、お前の爺さんの名前じゃ」


「アンデルセンは名字って、そうだ!」


ずっと伝えたかった事があったんだ。

源蔵が作ったパスポートを取り出して、名前や写真が貼られているページを開いた。


「ルイコは本名じゃないから!通称ルイコだから!」


源蔵の世界での名前が榊原類個さかきばらるいこになってるけど、ルイコは本名でも何でもない!


「ルーズ・イージコ・アンデルセンが本名。イージコが父型の名字で、アンデルセンが母型の名字!ルーズが私の名前だから!」


「父親の名字と母親の名字、両方とか…駄目だ、ラノベの世界観にはついていけん。」


住んでいた世界との違いに悩まされる源蔵。

色々と頭の中で整理していると、何時の間にか国の騎士団が集まっていた。


「全員集合致しました、アンデルセン殿!。何とぞ、我等に指示を!」


「騎士団よりも王様に会わせてくれませんか?」


騎士団と協力して街を守る方法や作戦を考えるのも良いけど、先ずは王様に挨拶をしたい。

私が生きているだけで、希望がまだ見える。ヤマトが滅びなくて済む。源蔵が居るだけで防衛が出来ると伝えたい。


「…実に残念な事に…王は、自殺しました。」


「え!?」


「最後の希望であるアンデルセン殿が死んでしまった以上、もうヤマトには希望はないと、数日前に自らで首を切り落としました。」


数日前…


「もっと早く源蔵と一緒に来れば…」


「で、降伏するのか?しないのか?、どっちだ?」


遅れてしまったことを悔やんでいる中、源蔵はどうしたいのか聞いた。

この人達がヤマトを捨てるのなら降伏するのなら、私は止めない。けど…


「降伏はしません。もし降伏してしまえば、この世界はおろか、異世界にすら多大なる影響を及ぼしてしまいます。」


「どう言うこと?」


「コレを」


一つの本を渡してきた門番さん。

この本は魔導書だ。源蔵達の世界ではどういう物かは知らないけど、私達の世界では魔法の使い方が書かれている物。


「コレって…」


「イマイチ分からないのですが、ただ全ての世界を崩壊させる事が可能なのは分かります。」


魔導書の内容は時空間に関する魔法などが書かれていた。

時空間を滅茶苦茶にして対象の存在を消したり、平行世界や分史世界の理論、他にも色々。


「…ん?」


魔導書のあるページが破り取られている。なんのページが破り取られたか目次を見て確認すると分史世界に干渉する方法が書かれているページだった。


「この魔導書は王しか入れない倉庫にあった魔導書なんですが、50年程前に泥棒がそのページを盗んだようでして、貴女の祖父が捕まえようとしたが失敗した程の泥棒でして」


「ルイコ」


「うん…黙っとこ。」


多分だけど、リュウジさんが盗んだ。

分史世界とか平行世界とかの干渉が研究所ラボとか無しで出来るのはおかしいと思ってたけど、盗んで出来るようになっていただなんて。


「時空間に関する事は下手に手を出せないからな、この本に書かれている事を適当にやって世界消滅とか有り得るな…」


「あの、先程から気になっていましたが、貴方は?」


「平賀源蔵、ルイコの新しい仲間だな。」


「新しい仲間…そうですか、それは心強い。おっと、自己紹介遅れました!」


門番さんは甲冑ヘルムをとり素顔を見せる。

ああ、何処かで聞いたことのある声だと思ったら


「私はハチベエ、宮廷騎士団長を勤めています」


この人、十兵衛さんにそっくりなんだ。喋り方とかも見た目も同じだし、多分この世界における十兵衛さんなんだ。


「さて、ルイコ、早速だが防衛戦の準備だ。ハチベエ、お前は戦うつもりなんだろ?」


「死んでしまった王には申し訳ないですが、アンデルセン殿が新たな仲間を引き連れ戻った以上、ヤマトには希望がまだある。戦います。」


…王様が死んだり、リュウジさんが泥棒したり、この世界での十兵衛さんが騎士団長だったりと色々と驚く事があったけども私達は首都を守りに来たんだ。


「皆、私達の指示に従ってくれる!」


「はい!なにをすれば宜しいでしょうか?巨大弓バリスタの準備でしょうか?」


「あ…えっと…」


なにを準備すれば良いのか、よくよく考えればなにも考えていない。

敵が来れば倒せばいいと、強い人を仲間にする気満々だったので、戦う事しか考えていなかった。

なにを指示すれば良いのか考えていると、工事現場のおっさんの服を着た源蔵が前に出る。


「じゃ、取りあえず、ドリルか」


「源蔵、ちゃんと説明をして。」


「電磁バリア発生装置を設置する。

凶悪なドラゴンとか核兵器とか使わん限り破壊出来ない強力なドーム状の電磁バリアを発生させる装置を設置する。」


因みにこんな感じなと保管箱からスイッチみたいな形をしている電磁バリア発生装置を出す源蔵。

準備が本当によく、コレならばアークからヤマトを守れると騎士団の人達は大いに喜ぶが源蔵は続けて、黒いパネルや配線を出す。


「喜んでいる暇はないぞ。町中に電磁バリア発生装置を設置するんだ…電気コードを町中に張り巡らせないといけない。」


え、この千本ぐらいあって、10キロを越えるほどの長さのコードとかを設置するの?説明している今でもポンポンと電磁バリア発生装置とか出てるけど、全部設置するの?


「源蔵、電気石って言う電気を生み出す鉱石があるからそれを」


「そう言うのは電圧とか一切調整出来んだろ。」


確かにそうだけど、この量は流石にまずい。設置するのに一週間以上かかる…


「四の五の言ってないでやれ!!コレ以外は勝ち目無いぞ。」


「いや、戦車出しながら言っても説得力が無いんだけど。」


「仕方ないだろ、この世界には俺が行動するのに絶対に必要な電気が一切無い!異世界系ラノベのチート主人公と一緒にするんじゃねえぞ!、さぁ、行った行った。」


源蔵の指示のもと、町にソーラーパネルや電線を設置する工事を始める。

工事中、こんな事をしていて大丈夫だろうか?騎士団の人達は疑ったが、疑いは直ぐに消えた。源蔵の説明を聞き漏らしていた人が電磁バリア発生装置を起動させてしまい、中途半端な感じのバリアが張られた。源蔵はその事についてカンカンに切れたが、バリアが本物だと、言っていることが正しく機械が本物だと分かったので大丈夫だ、安心できるとやる気になり、それを見た街の人達の心に希望が生まれ、自分達にも出来ない事はないかと手伝おうとしてくれた。


「源蔵の発明品一つで此処まで変わるなんて」


「人間、希望ややりたいことがあればある程度は変われる。絶望的状況からの希望は特に人を変える。まぁ、中にも例外はいるがな。」


未だにやけ食いをしている人を見る源蔵。

まだあの人は負けるって思っているんだよね…勝たないと。


「ルイコ、俺は元から戦闘は専門外で、更にはヤマトには変身できない。」


一度使うと充電が必要で一週間以上の充電をしたあと、整備点検をしないと変身できないと言う源蔵。

大丈夫だよ、源蔵。


「貴方が街を守っている間に私は戦う…見ててよ、カガリ…私達の国を守ってみせる。」


「…カガリって、誰だ?」


「一番の親友。人知勇、全てに置いて私より上で…村の人を守るために世界中で公開処刑された。」


「っ…すまん。」


「ううん、気にしないで。」


この戦争を終わらせたら新しい仲間を連れて、もう一度、墓参りに行くよ。



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