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お金持ちの必須アイテム


黒光りする車・・・リムジン。

リムジンって・・・初めて乗りました。

訂正。「ヒロイン」の「私」は、何度も乗ってるみたいだけど。

こ、こんな内装しているのだ。へ、へぇ。すごい。身の置き場が無い・・・

あ、ここはタカユキさんがこだわった場所だ・・・ーーーー


初めて乗ったはずなのに、リムジンのことが手に取るようにわかる。

ここは、タカユキさんの定位置だとか、運転手のカイドウさんは、タカユキさんのお家に長年勤めている方だとか、この傷はあの時のものだとか、そういう事が。


不思議な感覚だ。


「サツキ?本当に、大丈夫か?」


リムジンの中を物珍しそうに眺めている私がおかしかったのか。

タカユキさんが、心配そうにこちらを見ていた。

そうだ。

(ヒロイン)」とタカユキさんはここで何度もお話ししていて、ここは第二の家かというほど、くつろげる空間になっているはずなのに、私と来たら。

初・リムジンにテンションが上がってしまった。


「す、すみません」

「謝る事はない」


・・・・静寂。

リムジンは、街の中をスイスイと進んでいた。

見慣れた、見慣れない街が、ここが本当に乙女ゲームの世界だという事を感じさせる。

リムジンの外を見ていた私に。


「サツキ、悪かった・・・具合が悪いのに、無理をさせてしまって・・・・」

今日の、レストランの約束の事だ。


「いえ、そんな、私が悪いんです・・・」

ヒロインの私が勝手に喋ってくれる。

ヒロインだったらこう答えるだろうというセリフがスラスラと出てくる。


「いや、すまなかった。私の責任だ」

「そ、そんなっ」


流石にお姫様抱っこのままリムジンには乗れないので私とタカユキさんの間にはひとひとり分ぐらいの距離が出来ている。

そのせいか、なんとか話す事ができている。

まだまともに顔を見れていないけれど。

顔を見て話すのは、ハードルが高すぎる。


「サツキ?」


イケメンが、私の事を心配している。

この状況、ありえない。

例えるなら、昨日までテレビで見ていた俳優が突然自分の恋人になった様な感じだ。

ありえない。でも自分の中にある記憶がこれが現実なんだと訴えてくる。

どどどどどっどど、どうしよう。

喉がカラカラに渇く。どうしようもない。


お家に帰りたい・・・取りあえず。

今のこの状況がどういう事なのか、きちんと整理したい。


「あ、あのっ、私、何でもないんです」


だから、家に帰して・・・


「何を言っている、顔色が悪い」

だから、許可出来ないと。


そ、そりゃね!

前世を思い出しましたから。

などとは口が裂けても言えるはずなく。


このままだと。

いや、この流れだと絶対に病院送りだ・・・

タカユキさんは、一度こうだと決めたら曲げない人だ。


結局。


私は病院で色々検査を受けた後「異常なし」と診断された。

診断を待っている間は、脳に異常が出ていたら前世とかっていうのは頭がおかしくなったせいだと納得出来る、そう思ったが、そんな事はなかった。

病院でVIP対応なんて初めて受けた・・・・始終、ここは本当に病院なのかという感じ。まるでどこかのホテルに泊まりにきたのかというぐらいだった。

これが、金の力・・・


「ヒロイン」は初めてじゃなかったみたいだけど・・・・・



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