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幻創水族館

ぼっちな熱帯淡水魚

作者: 西脇 徳利

俺はかなり残念な奴だ。人とまともに話せないし、目を合わせることも難しい、仲がある程度いいやつと話す時だけしかまともに話せないような臆病なダメ人間だ。


おまけに身長が高くて顔が怖いだとかでかなり怖がられている。まともに話せないのを無視だ、他のやつを見下しているのだと、まるで不良かのように言われていて怖がられるのが辛い。


もちろん実際は見下しているわけでも無視しているわけでもなかったし、提出物もちゃんと出していたし、遅刻も欠席も嫌いだから皆勤賞だし、成績が悪いのはただ馬鹿でそこそこ勉強はしている、効率は大分悪いらしいがそれでも一応この高校には入れたわけだし、そこまででもないと思う。


この顔と身長で唯一得するのは満員電車が辛く無いことぐらい。基本的には頭が出ることはないが近くにいるのが女性とかだとそっちの方を向けば少なくとも人の頭の匂いを直接嗅がなくて済む、吊革は掴みやすい。怖がられることとか考えずにぼーっとしていて流されていてもいいしとても楽だ。


ただ、いくら満員電車が苦じゃなくてもこういう時には苦痛になる。


電車の中で満員電車であることを利用していちゃいちゃしているカップルがいる。左手の薬指にお互い別々のデザインの指輪、何かしら対になっているのならいいのだけれど、違ったら、それはいわゆるダブル不倫というやつなのかもしれない。二十代か三十代か、まだ高校生の俺でも非常識だとわかる行為、ヒソヒソと耳元で喋りあっているが結構筒抜け。


何が悲しくて俺はこんなのを見ながら満員電車に乗らなければいけないのか。目を閉じても声は聞こえるし、体の方向も満員電車だから変えられない。俺と一緒にこのバカップルを挟んでいる油物が好きそうなおじさんも困り顔で視線を色々なところに行ったり来たりさせている。


満員電車をおりて、ホームの端、甘いものが何も見当たらないところで大きく息を吸い込む。突然口から砂糖でも吐くかと思った。学校に行くまでに気分を変えよう。そう思いながら改札を出ると幼馴染みの前島マエジマ 悠里ユウリが誰かを待っていた。


「おはよー」


「おはよー、誰待ってんだ?」


「強いて言うならあんさんですね、はい」


そんなことを言ってニヤリと笑う、ゆうの前髪はのれんみたいにものすごい長くて目がほとんど見えない、まぁ女子なのだけれど。そんな感じだから口元しか見えなくて表情がよくわからない。そして笑うと例外なく不気味になる。


「急に待ち構えられるとか俺なんか悪いことしたか……」


心当たりはなくはない、幼馴染みという立場に甘えて勉強を教えてもらったり、俺と一緒にいるせいかクラスでもどちらかといえば孤立している気がする。前髪のせいも絶対あるし、本人が俺と同じく基本的に根暗なのもあると思うけど、とりあえず悪いことはしている。


「いやいや、そんなことはないよ、ただ同じ電車に乗ってんのが見えたのに見当たらないから大丈夫かなと思ってね、痴漢してたのがついにばれたかと」


「元からしてないからバレるも何もないって」


えーっ? そんばかなーとか言いながら学校まで一緒に行く。電車が一緒になると大抵こうだ。俺が普通に話せる数少ない相手、昔はここまで前髪長くなかったがそれ以外はあまり変わらない。


「そういや、今日電車の中にわけわかんないカップルがいてさ」


さっきいたカップルの話をしてみる、そういえばこういう話をゆうとしたことはない。そして恋愛系の話をゆうから一つも聞いたことがない、だからなんとなく好きな奴がいるのかとか聞いてみた。


「……いないね、あんさんぐらいしか異性の友達いないんだからしかたない。逆にあんさんはどうなの? 誰か好きな女子とかいるの?」


「いや、いないな、俺だって異性の友達お前ぐらいしかいないし。それにゆうは異性ということをあんま意識しない」


言ってて少し悲しくなってくる、よく考えたら同性の友達もいない、ゆうはそれでも時々他の女子と一緒にいるのを見かけるのに。異性として意識しないと言うよりもゆう以外に友達がいないから意識しているのかもわからないが正しいような気がしてきた。


「うわ、そういうこと言ってると永遠に縁無いぞ不良もどき」


「ゆうこそそんな前髪で恋愛できんのはギャルゲの主人公だけだぞ」


「……私は二次元に生きてるから恋愛なんていらんのよ」


そう言う声はふざけてんのになんか少しだけいつもより悲しいような感じがして、俺は一瞬固まった。その後適当に言葉を繋げたもののなんだかいつもとは少し違ってなんとなく気まずくて何を話したかもわかんない。元から大したこと話していないけどそれを考えても本当に自分がその間自分で何を言ったのかよくわかっていない。


学校に着いてしまえばクラスは別だ、どっちかから会いに行かないと話すことはない。部活もしてない俺と漫研で漫画描いてるゆうとだと帰宅時間もどうしてもズレが出る。待ってるのは気恥ずかしいし、余計に気まずくなりそうだ。今の時期は文化祭の準備期間でだいたいみんな帰りが遅くなっているけど俺はその輪にも入り損ねていて誰かから手が足りないと言われないと入りづらい。


なかなか変わってくれない信号に立ち止まる。また明日、明日になったらきっと会える。メールしたって様子はわかる。何も今焦るような理由は無い、そもそもゆうが悲しそうな感じだったからって何かしなきゃいけない理由もよく考えたら無いんだ。


でも何かモヤモヤする、なんで悲しそうだったのか俺はわかっているような気がしてならない。思い出せる、思い出そうと思う。何がどうなってるのか、なんで悲しそうだったのか、思い出せる筈だ。赤信号が青に変わる、だけどまだ俺には思い出せない。


そういえば、好きなやつとかいないのかと聞いた時もゆうは少し詰まった。そしてそんな前髪じゃ恋愛できないと言うと悲しげになった。もしかしてゆうには好きな奴がいて、俺がそんなこと言ったから無理だろうと自信をなくさせてしまったのかもしれない。だとしたら俺はかなり悪いことをした、でも謝るのも何か違う気がする。


どうしようかとボーっとしながら歩いているとどこかで道を間違えたらしく、気が付いたらどこかよくわからない道に出ていた。スマホを取り出してGPSで現在地を確認、道なりにぐるりと来ているみたいで来た道を戻るよりも進んで曲がる方が駅まで早く行ける。


ふと看板が目に入る。幻創水族館、水族館としてやれるほどの面積はパッと見無さそうだけど魚専門のペットショップか小物店か。どうせ今日はゆうに会えないのだし合っても今はどうしようもないから少し寄ってってもいかもしれない、もしかしたら何か会話のきっかけになるかもしれないし。


正面まで行くと扉が開いていて、覗き込むと中にいた人と目が合った。スーツ、シルクハット、白衣、男だか女だかもわからない。俺にとってはとてもハードルが高そうだったがその視線に何かを射抜かれたように俺はそのまま建物の中に入って行った。


中には水槽が入り口から入ってきた人を囲むように、いっそ威圧するように並んでいる。でも魚が入っている水槽は少ない、というか一つだけ、なんか長いけっこうごつい魚が一匹だけいる。


「これはね、ハイギョだよ。と言ってもこれはあくまでそれっぽい魚に過ぎない、鱗の隙間から花が生えるようなハイギョなんて現実にはいないからね」


確かにそれは不思議な魚で、花が数個鱗の隙間から咲いていて、蕾も何個かあった。あまり魚に詳しくはないけどそんな魚が普通じゃないことぐらいはわかる。


「さて、君の中にはどんな魚が泳いでいるのだろうね?」


頭に手を置かれる、他人に頭の上に手を置かれるなんて何時ぶりだろうか、昔にも同じようなことがあった気がするけど多分親だろう。


「君はとても美しい記憶を持っている……今も続いている美しい約束の記憶、君自身は忘れているようだけど、ね」


じゅると頭の中で音が響く、頭の中がかき混ぜられるような感覚がある、昔のことがふと頭によぎったり最近のことがよぎったり何がなんだかわけがわからない。何をしたと言いたくてもなぜか口も動かず体も固まっている。


「友達、友達、友達だから、これは可哀想だね、気持ちに誤差がある。」


どうしようかな、これは過干渉かな?とか言いながら両手を動かす。ふと気づく、こいつの腕があるはずの位置には俺の頭があるはずだ。斜めにあったさっきのハイギョの水槽を見る。俺が映ってる、頭に腕が飲み込まれているような俺が映ってる。


なおわけがわからない、何がどうなってるのかわからない。そんな中で小さい頃の思い出が浮かび上がって来る。


ゆうは赤面症だった。本当に些細なことで緊張して赤面する、顔を隠すように伸ばした前髪は今ほどは長くなくて、目に掛かる程度だった。そして赤鬼だと言われてみんなから避けられていた。


俺は家が近くて仲が良かったから一緒にいて、捻くれたガキだったから他のやつが赤鬼と一緒にいると食われるぞとか言った時にそいつを突き飛ばして泣かしたりもした。それで、俺も避けられるようになって、ゆうに私のせいでごめんと謝られた時、何を思ったかこんなことを言った。


お前だって前髪長いままじゃ友達もできねぇし、お前が俺のそばにいればいいじゃん。


恥ずかしい、ものすごい恥ずかしい。そしてその時の俺は友達としてそばにいろよと言っていたけど今、何故か鮮明に思い出せたゆうの本当に真っ赤になっていた様子から察すれば意味は違って聞こえただろう。結婚とかに手放しに憧れるような小さい時、恋に恋するような小学校低学年にそんなことを言ったらどう捉えられるか、わからないわけがない。


「見れたようだね、じゃあ、次に行こうか」


ずるっという音がして腕が引き抜かれ、魚が出て来る。それがなんという魚かは魚をあまり知らない俺でも知ってる。


「ピラニア……」


「そう、ピラニア。正確にはピラニアというのは熱帯に生息する淡水肉食魚の総称だけど、これはピラニアという名前でいい。この魚はどのピラニアでもない。君から生まれたものだからね」


それをおもむろに宙に放るとそれは空中を泳ぎ始める、いや、なぜ今まで気づかなかったのかわからないけど俺がいるところが水中に変わっている。部屋自体が水没していて、さっきのハイギョもその中で優雅に泳いでいる。なのに息はできる、不思議だ。


「君はピラニア、その中でも主なカラシン目セルサラムス科の魚達はとても臆病だ。だから傷ついていても大型の恒温動物は襲われないと言われたこともある。でも襲う事がある、どんな時かわかるかい?」


漫画とか映画とかでそういうのを見る時はある。というより臆病だなんて思ってなかったぐらいだ。


「血の匂いがした時」


そこで体が自由になっていることに気づく。口も体も動かせる。真っ先に頭がなんともないか触って見るが大丈夫、なんともない。


「その通り、血の匂いで興奮し、その個体が興奮しているのを見て興奮し、連鎖的に襲いかかる。流されやすく臆病な魚だと思えば愛しく思えて来るだろう?」


確かに、怖がられているのに中身はポンコツな俺と重なるような気はする。だけど、だからと言って、これがさっきの記憶とどう関係があるのかわからない。


「ほら、もう一度見て見るといいより自分のことを知れるから」


ピラニアはどこに行ったのか、周りを見渡してもなかなか見つからなくて、ふと下を向いた時にそれを見つけた。


同じところをぐるぐると周り続けるピラニア、胸鰭の付け根近く、その範囲の鱗があるはずのところの幾つかから蔦が生えていて地面に沈む何かに伸びている。パッと見じゃそれがそれが人型であることぐらいしかわからない。


潜ってすぐ近くまで行ってみる、蔦に巻きつかれていたのは人形、女子の形の人形。その体を縛るように蔦は巻きついている。がんじがらめに、ピラニアが動く度に巻きつく量は増え、その内に人形を完全に覆ってしまいそうだ。


「変わらない、変われないまま廻るからどんどん距離だけは縮まって行く。まるで依存しているかのようにね、でもそれをこの子は嫌がっていない、いつでも噛み千切れるのにそのまま。噛みちぎったって側に居たければいれるのにまるでわからないかのようにね」


あのピラニアが俺だと言うのならきっとあの人形はゆうで、群れでいるピラニアの筈なのに他のピラニアがいないのは、俺に友達がいないからだ。


「でもそれも幸せなのだろうね、誰に流されることもない、その世界の中でただ一緒にいればいい。広い世界よりもここが幸せだと思うならばその方がいい。そう簡単には離されずに済むのだからね」


そう言ってどこからか取り出した二つの指人形の額どうしをコツンと当ててにこりと俺に笑いかける。


「もちろん、自分が言っただけが選択肢でもなければ選択肢の中に正解があるとも限らない。このハイギョの飼い主は勇気を探していたけれど君には勇気はもうあるだろう?」


後は進むだけさ。そう言って水中でうまく動けない俺の額に指人形の額を当てる。


「ピラニアは、興奮すれば止まらない、でも興奮するにはきっかけがいる。君が行動したいのならば、このことをきっかけにするといい」


意識がぐらりと落ちた。


目を開けると俺は幻創水族館に背を向けるように道に立っていた。


何がどうなったのかと体のあちこちを見る。どこも濡れていない、本当に何もない。色々と確認してる中でふと腕時計が目に入った。時刻は五時ぐらい、帰宅部の唯一のメリット、早く帰れるが完全に潰れた形になる。ついていない。


あれはなんだったんだろうか、結局小さい頃のことを思い出しただけだ。体も濡れていないし、まるでなにも無かったかのよう。実際思い出した以外には何もなかったわけだし。


振り返ればそこには幻創水族館の看板がある、俺はどうしたいんだろう。


その時俺のことを子供心に好きなってたとして今も好きであるという証拠は無い、違ってたらとんだナルシストだし、仮にそうだとしても俺はゆうを友達として見てるわけでいきなり変えることはできない。前みたいに見れるのかもわからないけど。


じゃあ、これをきっかけにしよう。あれがゆうなら俺はゆうを縛っているようなものなんだ、蔦を噛み千切っても友達でいられるんだから。


そう考えるとこの時間帯なことも故意的な気がしてきた。でも、それでもありがたいと思う。


朝と逆に今度は俺がゆうを待てばいい、足早に駅へ向かう。まだまだ間に合うはずだ。


「あれ? あんさんどうしたの?いつももっと早く帰ってないから」


駅に着くとちょうどゆうがいた。何か言おう、何かしようとは思ったが結局何をすればいいのかがわからない。美しい約束とか言っていたけれどだから何をすればいいんだと思う。友達作って俺が他の人に避けられないようにすればいいのか?


「あんさん? あれ、聞こえてない?」


ゆうがこっちに向けて手を振る、よく見ると後ろに後輩らしい人が三人見える。友達の後輩、接し方がなおわかり辛い。一体どうすればいいのかさっぱりだ。


「あー、ぼーっとしてた」


「で、どうしたの? あんさん帰宅部でしょ?」


ゆうが近づいてくる、それに従うようにその後輩も付いてくるけど明らかにびくついているようなのもいる、昔のゆうみたいで今の俺みたいだ。


「少し本屋でも探そうと思ったら迷ってやっと駅まで着けたんだよ」


「方向音痴なのに無理するからそうなるのさ、今度一緒に探してあげようか?」


「いや、もうこりごりだ。それより後輩待たせてるぞ」


ゆうに一番近い位置に隠れるようにいた後輩がびくんと体を跳ねあがらせる男なのにはぅわっとか言ってたような気もする。冷や汗もすごいし俺よりも大分重症っぽい。


「ん? あー、紹介するね。うちの後輩の佐藤(サトウ)くん、海潮(ウシオ)ちゃん、醤油。で、このでくのぼうは幼馴染のあんさんね」


一人づつゆうが紹介すると、それぞれぺこりと頭を下げる。正直どう反応すればいいのかわからない、話せるには話せそうだけど足が震えだした。


「醤油は絶対嘘だろ」


「きゃ、柿本です。みゃえじま先輩にはいつもお世話になってます!」


醤油と呼ばれたさっきのは何度か噛みながらもう一度頭を下げる。


「いや、そんな緊張しなくていいから、取って食ったりとかしないから」


「そうそう、あんさんは私を上回るコミュ障だから、ほら、よく見ると足震えてるでしょ?」


「前髪切ってやろうか」


確かに震えてはいるけどわざわざ言って欲しくなかった。後輩達にもバッチリ足を見られたし。


「……あんさん先輩、ぼっちですか?」


砂糖とか言われていた奴の言葉が胸に刺さる。というかあんさん先輩って何なんだ。


「あんさんはぼっちじゃなくて私しか友達いない……あ、それがぼっちか!」


ゆうがそれに乗ってふざける。目が見えなくても口がニヤニヤしてるのはよく見える、悩んでいるこっちの気なんて知らない様子だ。元々気にしてなかったのは俺の方だけど。


「ゆうは俺のなんなんだよ」


「え? ただの幼馴染だけど?」


「その長い前髪掻き上げてアイデンティティを瓦解させてやろうか」


ゆうの頭に手をかけるとやめろーと抵抗する。結局いつもと変わらないと思ってると後輩の中の一人、海潮とか言う女子が小さくガッツポーズ作ってた。


「身長差で幼馴染メカクレ女子×強面男子のボディタッチ美味しいです。ありがとうございますありがとうございます」


「塩ちゃん勝手にカップリングしない! あんさんはただの幼馴染!」


ゆうが顔を真っ赤にして俺を突き飛ばして後輩に向かう。赤面症治ってなかったのかと思う以上にこれは照れ隠しなのか否定なのかどっちかと悩む、あんな記憶思い出してなければ否定なんだろうなと思うけど案外まんざらでもなかったりするのかわからない。もう何もかもわけわからない。


「ツンデレ赤面まで重ねてくるとは……すごく……ヒロインです」


「ブラックコーヒーに溶かしてやろうか佐藤!」


「女子に罵られるのは至高です、我々にはご褒美でしかありません。ありがとうございます、ありがとうございまぁぁっすっ!」


佐藤がゆうを拝み倒しながら叫ぶ、公共の場だとわかっているのかこいつは。


「あれだな、すごい漫研って楽しそうだな」


「あんさん先輩、漫研入りましょう、先輩達のカップリング美味しいです、もっと見たいです! お願いします!」


海潮ちゃんとか言ってた子がすごいキラキラとした目で俺を見てくる、なんだこれ、いったいどうすればいいんだこれ。


「そうですよ、罵ってもらえる機会増えるんでお願いします!」


――ピラニアが興奮するにはきっかけがいる


ふとあの男か女かわからない人の顔が思い浮かぶ。あそこに寄ったのがこの状況を作り出したきっかけ、だったらこれは俺が変わるためのきっかけなのかもしれない。


じゃあ入部してみるかな、そう言うとゆうはかなり驚いた。漫研に入ったら結構変われそうな気がする。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  前作も含め、人の内面を映し出す(?)水族館を上手く使った心理面の描写が非常に良かったです。 [一言]  こういうのは結構個人的に好きなんで、また続きが読めればと思います。
[一言] なるほど、後は酢と味噌をそろえれば調味料コンプリートですね!←違う ピラニア……本気になったらガンガン来そうですね。ガンガン来るのは周りの人間も同じみたいですけど(笑)
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