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お姉ちゃんは、ベッドの下。  作者: 紗楽
其の壹 お姉ちゃんは、ベッドの下。
4/19

彼女の100年計画

「………… や、やっほー」

とりあえず私、一番邪魔してほしくない時に邪魔したよね!

押し倒されていた奏は、彼女さんを無理矢理どけて、身体の半分はまだベッドの下にある私を引っ張り出す。

「ご、ごめんね~。お姉ちゃん、奏に彼女出来たのすっごく嬉しいけど、とりあえず私を部屋から出させてもらえると嬉しいな~」

プラン②の簡易版みたいなことを言いながら、頭をかく。

彼女さんはそれを見て、私をにらみつけていた。

そりゃそうだよね!

今からいちゃつこうとしてたところに、彼氏の姉がベッドの下から出て来たんだもんね!

「まず、雛村は彼女じゃない。同じ文化祭実行委員で、今日は打ち合わせに来ただけだ」

いやいや、どんだけ純粋やねん、奏。

それは口実で、二人きりになろうとしてたんでしょうが! それに、彼女じゃないのにキスすんなや!

「次に。何故楓がここにいる!?」

「え、ええ……」

「………… え?」

どうしよう、ええとも言えないよお姉ちゃん!

ここは、正直に事実を言うか!? いやいや、でも事実でもドン引きされるよな……!

「え、エロ本を探してたんだよ!」

うおおおお! これ、事実よりもやばいよね、ねぇ!?

奏も彼女さんもドン引きだよ! もう、部屋が"無"に包まれてるよ!

「………… マジ引くわー」

彼女さんが奏に聞こえないように、だけど私に聞こえるように呟く。

奏に見えないことをいいことに、何かスマホ取りだしてT○itterとかやってらっしゃる!

『彼氏の部屋で彼といたら、ベッドの下から姉が出てきた件www しかもエロ本探しとかwww まぢ引くwwww』

やめろおおお、そのツ○ートはやめろおおお! アカウントが実名なんだから!

特定されるに決まってるじゃないか! しかも、草多いよ!

「………… 楓。俺たち、姉弟として何か大切なものを失っている気がするんだ」

「いやいや、普通に健全な姉弟だよ! いやね、この前の冗談で隠した弟姉本は悪いと思うけどさ!」

「まず姉弟の関係におかしいだろ! 後それなんだよ!」

………… あ、お姉ちゃん、墓穴掘っちゃった。

「じゃ、じゃあ! 邪魔して悪かったね! お熱いね、ご両人!」

片手をあげ、そそくさと部屋を出ていこうとする。

奏は後ろでため息をつき、彼女さんはフォロワーさんと何か話してた。ベッド下のお姉ちゃんの話だよね、それ!

「ちょっと待って下さい」

「え?」

スマホを奏に見えないようにしまった彼女さんは、私に向かって歩いてくる。

そして、ん、という風に顎で床をさした。………… 座れってことですよね!

「あたし、お姉さんとやっていく自信ないです。23には、結婚してる予定なんで」

早い! 早いよ! 結婚まで視野に入れてるよ!

彼女さんは、いかにもイケイケな感じの巻き毛の茶髪をくるくると指でいじりながら言う。

「いやー、ごめんね! お姉ちゃんも、これから一切こんなことはしないから!」

「おい、そこの2人。ナチュラルに結婚前提で言うな」

奏が何かツッコんでいた。

とりあえず姉の必須スキル、"おとうとごろし"の鋭い眼力で黙らせる。

「だから、あたしが家にお邪魔してる時は外に出てて下さい。いいですよね?」

「………… ハイ」

6年後の月雲家カースト制度。

母、彼女さん、私、奏、父に決定です。

「じゃー、あたし、帰ります」

えええ!?

私の立場ないじゃん! まるでお姉ちゃんが出てきから、気まずいみたいじゃん!

いいよ、お姉ちゃん出ていくからいちゃついてよ!

「お姉さんいると気まずいし」

彼女さんが高そうなブランド品のバッグを持ち、小さい鏡を取り出して前髪を整える。

またもや、ピンポイントに私に聞こえるように呟き、部屋から出ていこうとする。

「じゃあね、奏君!」

ハリウッド女優も真っ青な笑みを浮かべ、バイバイ、という風に手をふる。

私もそれに習い、部屋から出ていこうとするが。

「ちょっと待て」

奏にTシャツの首あたりを掴まれ、そのまま部屋へと引き戻される。

あああ! 私のお気に入りの『日本人なら米食えよ』Tシャツが!

「何したんだ?」

「………… ハイ」

………… 家内カーストだって、入れ替わる日はあるのだ。



第壱話終了

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