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お姉ちゃんは、ベッドの下。  作者: 紗楽
其の壹 お姉ちゃんは、ベッドの下。
2/19

女の戦い

椿夏目(つばきなつめ)

17歳、久遠寺学院高校2年生で私の幼馴染兼クラスメイト。

家がすぐ隣にあって、家族ぐるみの付き合い。

かつて、私が迷惑を数々かけてきたおかげで、どんな事にも引かないというスキルを持っているんだよ!

スマホをマナーモードにして、メールを打つ。

『今、奏の部屋のベッドの下にいて、彼女さんが来てます。どうすれば、いちゃつく前にばれずに脱出出来る?』

すると、暇だったのかスマホが軽く揺れる。返信か、来なかったらどうしようかと思ったよ……

『どんな状況なんだよ』

いいから、解決案を考えろー!

『説明は後で、お願い』

メールを送って、数十秒後。返信が来た。

『分かった』

ここに、女神が!

いやまあ、いないけど。男だけど。


『ピンポーン』

数分後。

インターホンが鳴る音が聞こえる。

まさか、これは……! 夏目が!

「あ………… 俺、ちょっと行って来る」

「はーい」

彼女さんは、かなりの猫撫で声で言うと、奏を離すためにベッドから降りる。

奏は、はぁとため息をつくと部屋を出て行った。

………… え、彼女さんもはよはよ。

「あーあ。暇。奏君のスマホでも見るか」

えええええええ!

彼女さん、残る系!? てっきり、奏と一緒に下へ行くのかと……!

どすん、とベッドに大きく腰掛ける音がする。

こ、これは……! 彼氏彼女は、絶対通り抜けなければいけないとされる携帯チェック!

仕事関係とかの女でさえ、疑われるらしいのですよ! いやー、私、女の子で良かった。

「ん…… うん、やっぱあたしとのメールが一番多い。同じ文化祭実行委員なってて良かったー」

や、やったね、奏君!

彼女さんの、携帯チェックは無事クリアだよ!

…… って、私こんなことやってていいのか。

「………… 誰これ、あたしよりメール数多いじゃん。後で聞かなきゃ」

と、思ったら奏君駄目だったよ!

後で怖いよ、多分! この彼女さん、独占欲強そうだし!

「名前は…… 月雲楓(つくもかえで)? 名字が同じだから、お 姉さんいるって言ってたし、お姉さんか」

お母さんは!? 月雲姓の女の人、お姉さん以外もいますよ!?

「ま、でも女なのには関係ないし。今度、会ったら聞いてみよー」

ええええ、私も女に入るの!? 身内なのに!?

取り敢えず、彼女さんとは一生出会ない方がいいよね。

そう心に決めた瞬間だった。


「奏君、おっそ…… 誰か来たの? だったら、気ぃ使えっつの」

怖いよ、怖いよ彼女さん!

もう携帯チェックも終わったのか、足をぷらーんとさせるのが分かる。

「漫画たくさんあるわー。何か読んでよ」

ベッドから床へ下りる音がして、彼女さんが本棚へと向かう。

奏、漫画やたら全巻揃えるくせがあるからなー。

まあ、わざと1巻だけ部屋に置くと、数週間後には全巻揃ってるからね!

お姉ちゃん、無駄な出費が抑えられて超嬉しい!

「やっぱ奏君も男の子だなぁ。バトル系ばっか。………… って、何これ。『弟×姉 ~禁断の恋~』?」

そ、それは!

昨日、冗談半分で本棚の奥の方へ隠しておいた漫画! 見つかった時の反応が面白そうだから、試しに置いたやつ!

「リアル姉いながら、こういうのとか…… マジ引くわ」

ごめん、ごめんよ奏君!

お姉ちゃんのせいで、君の株がどんどん下がっていくよ! メールといい、漫画といい!

「シスコンねぇ…… 奏君、お姉さん系タイプなのかなぁ」

あ、あれ、以外といい人だよ!?

歩みよる努力をしてくれてるよ! ごめんね、シスコン疑惑ついてる奏君!

「ま、イケメンじゃなかったら普通に別れるけど」

やっぱいい人じゃないよ、彼女さん!






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