異性ほど怖いものはない
でも、まだ私にはスマホ、そして夏目という武器がある!
何か学校でもさりげに雪葉にばれちゃったし雪葉もOKということですよね!
真っ黒いエプロンのポケットから手探りでスマホを探し出す。
いやー、それにしても、つぐみんが来た1回目と違って体制とかが楽になる方法を見つけたから居心地がいいですなぁ。
いやいやいやいや、何を思う私!
弟のベッドの下に潜る楽なコツとか見つけてどうする! でもこれは、ベッド下の冒険とか作れそうだね!
「奏ー、今日は、家に誰もいないんだな?」
「多分な」
奏と一条君以外の1人の声が聞こえる。
おおお、何かその台詞だけ聞くと激しく腐な匂いが……!
それは、恋人がいちゃつく時の常套句だよ! 『今夜は眠らせないぜ、奏……』『や、やめろ、○○……!』みたいな!
あ、○○っていうのは、名前不明の男の子のことね。もういいや、分かるまで○○君と呼ぼう。
というか、私は腐ってはない! 弟でそんなこと考えてどうする、姉!
「じゃあ、男子会しようぜ、男子会! 零もいいよな!?」
「………… 僕は、何も話さないから何でも良い」
「えー? 話そうぜ!」
○○君は、テンションが上がったのか、少し声のトーンを上げて告げる。
それと反対に一条君は、絶対零度と言ってもいいような冷たい声でボソッと言った。
いやいや、楓、考えろ。男子会の内容も気になるけど、まずは脱出することが肝心!
夏目に送るメールの内容を考えていると、○○君が大声で叫んだ。
「第1回男子会、始めー! じゃあ、奏から噤ちゃんとの関係についてどうぞ!」
おおお、○○君良い事言うじゃないか! 思わずメール打つのを止んじゃったよ!
それは、未来の義姉として興味があるね……! 弟夫婦の夫婦仲は姉、議姉としての責任問題!
早く話せ、奏!
「い、いや…… 話すも何も、雛村とは単に同じ文実ってだけだし」
「えー? それは、ないよ、奏クン。噤ちゃん本人は、付き合ってるって言ってるぞ?」
そうだよ、今さら付き合ってないなんてダメだ奏!
あんなにいちゃついてるのをお姉ちゃんに見せてるんだよ! ちゃんと責任とろうよ!
「だから、それは向こうが勝手に」
「………… 言い訳は見苦しい」
「零までかよ!」
パンという本を閉じる音と共に一条君の声が聞こえる。そうだよ、奏、見苦しい!
あああ、話聞くのに夢中でメール送ってなかった! 御願いだ、夏目! 家にいてくれええ!
『いまのいまの、あるところに。2人の双子の姉弟がいました』
とりあえず、これだけメールを送る。長くなるからね!
『つまり、何かトラブルを起こしんだな』
数秒後、ピロリンという音とともにメールの返信が来る。流石夏目、伊達に長く幼馴染やってるじゃないか!
『お姉ちゃんは、ベッドの下。リターンズ!』
『奏のベッドの下に再びいると』
よく分かったね、これだけで!