お姉ちゃんは、ベッドの下
月雲奏。
17歳。私の双子の弟。
という割には、顔そんな似てないんだけどね…… お姉ちゃんは、悲しいです。なんて。
色素が薄い、栗色の髪。瞳の色も同じで、身長は多分170後半。
いわゆる、"イケメン"でモテる。多分。去年のバレンタインのチョコ数が、学校一だったんだがら、そうに違いない。
ちなみに、チョコは20個残して、全部私が美味しくいただきました。
ホワイトデーのお返しは全部作ってあげんてんだから、それくらいはいいのです。多分!
さて、そんなモテる弟さんは、当然彼女もいるわけで。
家に連れて来たことはないけど、いつも聞くたんびに、いるって言うからいるんだよ。
今日は、お父さんもお母さんもいないから、部屋でいちゃつく良い機会なんだろう。
私も気を利かせて家を出れば良かったよ。
彼女連れて来ることを、事前に言ってほしいですよ。
で。
現在、私は弟の部屋のベッドの下にいるわけで。
「雛村!? 何を……」
「…… 噤って呼んで。あたし、奏君にはそう呼んでもらいたい」
その会話が聞こえた途端、ドスン、という音がする。
こ、これは! 女の子が奏を押し倒したということですな!
おおー、奏の声が裏返ってます。純情だねぇ、うりうり。
そういえば、今の彼女さんの名前は、雛村噤さんと言うらしい。
よし、メモです、メモメモ。
………… あ、そういう場合じゃないのね。
とりあえず、いちゃつく前には脱出しなければ。
そもそもね、私がここにいたのは奏が全巻揃えた漫画を一気読みしてただけだからね!?
それで、部屋の外から奏と女の子の声が聞こえるから、咄嗟にここに逃げただけで……
いやさ、だって、憧れの彼氏の部屋に入ったら姉がいたとか、彼女さん側からしたらドン引きじゃん!?
取り敢えず、手段を考えよう。
幸い、私の最後のフロンティアでもあるスマートフォンというものが手にあります。
この状況を言っても、絶対に引かない人物に手を借りよう!