『子供たち』
この世界では妖精族の一種であるエルフの一形態です。
異国では「座敷童」と呼ばれております。
(その異国では家人の誰かになつき、その子孫繁栄の為勝手にその家に住み着く性質を持ちます)
気がつくと子供の遊び相手に混じっているとか、周囲に幸運が訪れるなど言われますが、子供に混じっても違和感を覚えさせない能力があったり、悪運だか幸運を呼ぶのは事実です。
彼らはエルフ族全員が持っている筈の魔法の力を一切扱いません。
人間で言う二歳から十歳(まれに16歳)くらいの容姿で成長と精神が止まり、対内外の魔力が身体能力と魂の強固さに置き換わった存在です。
(例外としてザシキワラシには魔法の使用報告例があります)
本来、精神的成長が果たせず、純粋さを失わずに世界を見ていればそのうち発狂するのでしょうが、強化された彼らの肉体と精神はそれを許しません(学習しないというわけでは決してありません)。
戦いに巻き込まれた場合、その身体能力から大抵は逃亡を選びますが、いざというときは意外と苛烈な戦いを見せます。
特に大切なものと思ったものの為ならば死ぬまで戦い抜きます。
また、純粋にあるままを受け入れることができるため、高い語学の才能があります。
(全員が読み書き含めて最低でも2-3以上、平均して10以上の言語を操れます)
身体能力、第六感に優れ、全員が優れた冒険者であり盗賊であり狩人でもあります。
(普通の錠前や罠程度なら遊びで開けてしまいます)
そのため、密偵や子供の護衛にきわめて適した存在といえます。
その性質上、寿命はまったく確認されていません。エルフと同じく不老長寿ともされます。
確証の取れる資料では200年生きたのが最大です(死因は好奇心による事故死)。
彼らの話では600年生きたものもいます。
また、簡単なテレパシーのような力を持ち、一般には知られていませんがエルフ同様に額や唇や性器を触れ合わせた者の心を直接見ることが可能です。
触れずとも周囲の植物や昆虫の持つ感覚ならばダイレクトに受け取ること、逆に伝えることも可能です(人間からは意思疎通しているように見える)。
これは言語化された情報ではないため、とてもとても疲れます。
(具体的には周囲の植物や昆虫全てに及び、昆虫が腐肉と化した自分を食べている味と食感と匂いを感じたり、植物が周囲の動植物を皆殺しにせんと酸素や毒をばらまいたり繁殖のため無差別に花粉をばら撒こうとする意思などを全て受け入れてしまう)
基本的におきらくで優しい存在のため、どの宗派や神にも一定の敬意をはらい、特定の神に傾倒してその使途の力を得ることはありませんが彼らの装備や武器などに備わる『お星様の加護による偶然』は偶然と説明できないものが多々あります。
(武具の異常な強度や性能、極端な例では『偶然隕石が振ってきた』『偶然傷が治った』などなど)
エルフにはさまざまな亜種が確認されていますが、人間にもっとも馴染みがある妖精は彼らです。
他にも本来のプーカとはまったく違うのですが、プーカと呼ばれる形態がおり、
容姿は子供そっくりですが、プーカのほうは幼児体型ではありません。
手足が長めでスラリとしており、男女の区別がつかない中性的な容貌になっています。
彼らは通称の根拠となった力として魔力に長けており、狼や『驢馬』、子鹿。個体によっては人間の青年に化けることが可能です。
逆に『子供たち』の持つ冗談のような身体能力や悪運はありません。
プーカを含む一部の妖精族は生涯にわたって特定の人物もしくは一族に仕えることを喜びとする個体があり、その優秀さから『妖精の執事』はある種のステイタスと認知されています。
明るく優しく子供たちの味方となる彼ら。
しかし能力的には盗賊にして暗殺者にして狩人揃い。
定住を好まず彼方此方気楽に旅をするというのが一般認識ですが、その実態は外伝「お父さんは『勇者』さま」にて語られています。
愛する者達、愛した人たちからことごとく忘れ去られる過酷な運命に晒されながらも狂うことすら許されず世界を救うために死ぬまで戦う彼らを支えるために、彼らと関わったり同族に組み込まれた異種族のいくばくかは彼らの支援組織を独自に設けており、『車輪の王国』内部のカント商会(王家)、盗賊ギルドなどがそれにあたります。