『第八輪世界』歴史、暦、度量衡
『第八輪世界』の世界名は2019/08/13#夏休み子ども冒険者ファンタジー相談 『ドラゴンの生態』初出。デジャ=ビュ世界ともいう複数の世界観の一つ。
【神話時代】
創造神の片割れ『慈愛の女神』が半身である『破壊の女神』の『腐敗の呪い』により肉体を失う。
【古代魔道帝国期】
『世界の終わりに来るもの』、『魔法』の姿をとって『最初の剣士』と『最後の魔導皇帝』と戦う。魔法の時代は終わり『剣の時代』の暦が始まる。
【剣の時代】
0年から200年までの混乱期 理想郷として今なお伝えられる『最初の剣』国は一代で崩壊。いくつもの小国(里)が乱立し、街道や転移装置が崩壊し、統一言語が乱れていった時代。
200年前後 小国乱立期。『最初の剣士』を名乗る野心家たちが次々と王国を打ち立てては滅んでいた。
年数不明 とある現代人が『車輪の王国』前身となる『悠久の風』の都に異世界転移(『ファンタジー世界で貸し自転車屋さんはじめますた』)
その10年後 『破壊の女神』の現身、『魔剣はなみずき』により破壊される。
300年前後 『花咲く都』の『げっかこう』の祈りにこたえる形で縞白飛翔召喚。(※歴史改変により抹消)
502年 ファルコ・ミスリル、ミリオン・ミスリルとアップルの間に誕生。
503年 チーア(ユースティティア)、ガウルと『かんもりのみこ』との間に誕生。
518/3/1 『夢を追う者』結成。(『夢を追う者』)
518/04/14 チーア、性別不詳の人物と穴に落ちる。(「『夢を追う者』の世界にSNSがあったら)
518年某日 とある少女が『芋ケンピ』を持ち込み、異世界からの転生者や転移者の集団『黒髪』もしくは『魔神』との戦いにて活躍する。(※歴史改変により消滅)
519/3月ごろ 『夢を追う者』復活した『破壊の女神』の現身を再度破壊する。
519年某日 三月から四月にかけて 『夢を追う者』を名乗る三人の冒険者、ロン(ローズ)・カーペンター、ミック・ウェル、リンス・リンスィースが既存メンバーであるファルコ・ミスリル、ロー・アース、チーアと張り合う。
519年某日『芋ケンピ』の事件そのものが『なかったこと』になり、『ハードモード』開始。ロー・アース、異世界から来た少年たちと共に魔宮を制覇し『魔剣士』の称号を得る。少年はそのまま異世界に帰還したがその翌日には彼の娘を名乗る少女が『こんぺいとう』を手に来訪。6人になった『夢を追う者』の力をもってしてもギリギリの戦いを強いられる。
519年某日 新たなる『魔神』サワタリが来訪。チーア及びその父ガウルに保護される。(『お父さんは『勇者』さま』)
519/08/20 チーア、礼状を受け取る。(「『夢を追う者』の世界にSNSがあったら)
519年 某日 『星を追う者』結成前夜。シーナ、手習いで通っていた魔導士ギルドにて拉致され恋の呪いを受ける。(『星を追う者』)
520年 妖魔王の役 城塞都市ローラを妖魔王『ロ・ア』が占領。『夢を追う者』たちの尽力で解放される。
521年 『星を追う者』結成。
同年 星を追う者、海賊の奴隷として苦難の状態にあった『夢を追う者』と交戦。
522年 魔導兵戦争 城塞都市ローラを巡る最後の大戦。古代帝国の遺産であるゴーレム軍団相手に車輪の王国を守るべく『夢を追う者』、魔神兵『ライトニング』活躍。
523/4月初め ダッカ―ド、ジークの父親がらみのトラブルに巻き込まれる。
524年某日 『お父さんは勇者さま』、ファルコ・ミスリル、養女フィリアスの授業参観に出席。
某年
『世界の終わりに来るもの』が『剣』の姿をとって襲来。
『謎を解く者』敗北。『夢を追う者』戦闘不能。生きのこった『星を追う者』エルフの乙女ディーヌスレイトと同化する形で『世界の終わりにくるもの』は消滅。世界の在り方が変わり『輪』が出現(『星を追う者』)。
830年ごろ?
『遥大空』『遥夢子』夫婦。異世界より召喚され魔王ディーヌスレイト討伐を命じられる。(『私の夫は鼻先零ミリ』)
同時期『四天王』主人公由紀子の息子、武田敬一異世界召喚。世界の滅亡と再生いう輪を封じられてできた魔力と時代のよどみの象徴『ジェリー族』の女性に救われ、世界の停滞の原因たる魔王ディーヌスレイトを探しに旅に出る(『国王からひのきの棒を貰い、スライムな彼女と旅に出る』)。
とある辺境の村で魔神『サワタリ』が復活を図るも現身である少女の生きる意志に未来を託しもとの世界に戻る(『転生したけど受精卵に負けました』)。
某年 『終末竜』、何者かによって討伐される。この後に竜族は伝説と迷信の存在となり魔物たちも激減。剣の時代の終わり。
某年 異世界から来た魔神を魂に宿す驢馬が村の子供たちを庇って死亡。以後彼は村の守護神として崇められる(『ろばのかみさま』)
某年 ディーヌスレイトの妹エルル、異世界『箱庭』に魔族の少年たちと共に移住。かの世界にてエルフ族及びダークエルフ族共通の祖となる。
【おとぎ話の時代】
勇者召喚という拉致行為に怒れる異世界の機械文明が侵攻。『竹やり』を持つ青年に討伐される。
魔法は伝説と迷信の中に消える。おとぎ話の世界の消滅。
【機械の時代】
時期不明
機械文明が発達(『星を追う者』)
【黄昏の神話】
時期不明
惑星における文明のほとんどが滅び、品種改良の結果人間の意図から離れた形で独自に進化した植物がかつて地上を支配していた人よりも優位な世界となり、植物が環境保全のために人間(?)を生み出し支配する世界になる。技術者の青年とその妻、伝説となった雨を降らせることに成功。滅びた動植物のいくばくかは復活する。(『ロボット好きの高専生徒がロボ(?)のいる異世界にトリップ』)
この時期になると植物各種の種子は太陽光収集植物と水素爆発植物に種を託す形によって宇宙に向けて脱出を始めている。
惑星が消滅してもディーヌスレイトは旅を続ける。
(※ざっとした歴史の流れのみ。追記するかは不明)
【カレンダー】
一日24時間。
6日で一週間(※六曜は日本でも存在します。先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」の順で繰り返すが、旧暦の毎月1日の六曜は以下のように固定され閏月は前の月と同じとして調整します。参考資料Wikipedia日本語版)
現在は地水火風闇光で闇日は学習日、光日は休日。
一ヵ月30日。剣の時代になり、地水火風闇光の六大惑星を基準とした『週』の概念普及前は15日ごとに節、5日ごとに候を設けていた。つまり24節72候。現実世界の日本に近い。異世界なので『餓鬼出』(※餓鬼族活性化時期の到来を示す)『花水木』(※異世界の花とされる空想上の花の開花時期とされ建国の皇女の似姿やかの花の想像図を描いて祀る芸術家たちの週)といった独自の候がある他、細かな候や節の名称は国や地域によって異なる。
12か月で一年。
一年間は360日。閏年や閏日は現在の暦では存在しない。(※魔導帝国時代の暦では二月にあたる月が28日まで削られている)
休日や祝日は国ごとに異なる。
節や候の名称も主要な農産物が異なるため国ごとに異なるが基本同じカレンダーを使用する。『車輪の王都』では夏は七日しか存在しないが、魔導帝国時代の気象遺跡の影響か小都『立夏の嵐』は常夏の砂漠地帯、『艶月の雪』では常に冬のような気候、『悠久の風』は比較的温暖ながら常に強風が吹いている。そのため小三都それぞれでも旧来のカレンダーは王都と異なっている。
度量衡についてはメートルキログラム法がなぜかそのまま適用されている。つまりこの惑星(?)のサイズは地球とほぼ変わらないものと推測できるし、重量加速度や気圧、それに伴う水の沸点もほぼ同じ(※温度の概念があるなら100度で水の沸騰温度)と思われるが抜本的原因は魔導帝国期の魔導皇帝『ゆうたまぐさ』の制定した度量衡法が未だに適用されていることが理由になっている。それ以前は『一日で死ぬほど走る距離』や『子供たち』の身長や手や指の長さや体重、魔導植物シューロ実の重さ、六角蜜蜂箱の容積、『子供たち』の持つ袋いっぱいの量などが用いられている。
【車輪の王都 二十四節気】
【車輪の王都 二十四節気七十二候】
【十二の英雄月】
古代魔道帝国時代は十二名の魔導皇帝を月の守護神としたが、歴代の魔導皇帝の中には自分の月を延長させたものがいたなどの混乱があったため、剣の時代に統一。各月を三十日に統一し、五日ごとに候で分けていたところを六日ごとの『週』の概念を追加した。
これにより安息日が設けられ、労働環境の改善及び自らを磨く日が事実上義務化したことで労働の質が向上した。日本語訳表記は基本漢字三字ひらがな七音。
【一月】
偉大零
大いなる魔導王。不老不死と神の座を得た伝説の魔導士の月。旧魔道帝国暦一〇の帝にあたる。他国では一月に当たるため出身国が多岐にわたる冒険者などは混乱を避けるため『一月』と呼んだうえで『英雄月零の月偉大零』と改めるのが一般的。以下同様。
【二月】
最初剣
英雄にして偉人。戦神や正義神の化身とされる最初の剣士の月。数々の文化的功績も伝えられており、学者たちは複数の『最初の剣士』がいたのではないかと主張している。
【三月】
花水木
建国神話に登場する最後の皇族。魔導の力を持たぬ剣の乙女。『最初の剣士』本人であったという説もある伝説の乙女。『はなみずきの辞書』『謡う石』『図書館及び植物園』『銅板印刷』『数字』『複式簿記』等の文化的な功績もさることながら当時敵対しあっていた三国をまとめて『花咲く都』の『此花の艦隊』を打ち破った指導力などから多くの歌や絵画の題材にもなっている。
英雄月に数えられているにも関わらず候の一つにも『花水木』があるのは彼女の存在が『車輪の王国』や他国において非常に重要だからである。
(※候の読みは日本語訳するとはなみずきのみ。笑むという意味はない)
【四月】
銀弓春
飛竜の鱗でできた矢を放ち、戦艦を沈めたなどと吹聴される信憑性のない娯楽談義にに登場する弓使いの月。彼の素性はよくわかっていないが神族の乙女と常に行動を共にしていたことだけはわかっている。
【五月】
童戯虎
古の魔導王リュウェインの友であった『子供たち』のひとりは魔虎と戯れたとする故事から。
【六月】
神守巫
神秘の織手。幼心が憧れる母性や年上女性への憧れの具現化とされ歌や詩、絵画などの題材となっている英雄だが実在したとする明確な資料は存在しない。
【七月】
夕玉草
度量衡の守護者。正義と公平、弱きものを正当な裁きによって守る者とされる魔導皇帝。旧暦においては二八日しか日を持っていない不遇な魔導皇帝の月は現在でいえば『最初剣』のあたりに該当するが、適切な英雄が存在せず名前だけこちらにうつったという説が現在では最も有力である(日本語訳も六字)。しかしこの英雄の月をあえて車輪の王国の民が待ち望む夏を迎える六番目(※七番目)にしたのは『はなみずきの辞書』である。その真意はもはや知ること叶わない。
【八月】
護美誇
今となってはだれを讃えたかわからず、特定の英雄を指す月ではないという見方が一般的。貴族や人の上に立つ者はたとえ汚物にまみれても美しいもの、弱きものを助けるべきだという誇りこそが最も輝かしい宝石であるとする教えの月。車輪の王国にとってこの月は最も多くの恵みをもたらす『夏』を含む月であるためこのような月ができたのではないかとされる。
【九月】
竜拳墜
竜族の血を引き、竜をも素手でたしなめたという伝説の豪傑を讃える月だが王国的には別の英雄を立てたいらしい。侠客、やくざ、犯罪者、博徒などの守護月。転じて不利な裁判に挑む者に加護を与えるとされる。
【一〇月】
理想郷
古代魔道帝国時代に己の幻影魔法を用いて貧しき民、不平等に苦しむ人々に救いを与えた伝説の幻影術士の月。彼の幻影は実体を持っていたとされる。
【十一月】
道守女
三国時代道路建設に尽力した女傑『女男爵』の月。彼女は様々な戦役でも活躍しているため『はなみずき』と同一視する学者もいる。
【十二月】
車輪絆
厳しい冬だからこそ民も支配者も手を取り合って生き延びよう、苦しくても希望をもって笑っていようとする真の英雄月。
民は日常を維持すること、またそのために貴族は尽力することこそが英雄的行動であるとする車輪の王国独自の思想により設けられた月。以上零月と絆月を含めた一〇か月と二か月をもって一年とする。
【二十四節気】
大陸中央部に位置する『車輪の王国』においては、『四季』と呼ぶほど夏が長いわけではないが農作物の耕作時期や魔物の活性化時期などをおおよそ判断するため細かく節を設け、多くの祭りや因習に対応するためさらにそれを三つに分けることで五日ごとに候を設け、一年の流れをわかりやすくしている。日本語訳は漢字二文字ひらがな五音。現実世界の夏至などとは約五日のずれがある。
余談だが『車輪の王国』における即興歌の定型は『AがBによって動かされた感情を表す部分を英雄月や節季や候などの季語で代用する』ものである。本稿においては理解を助けるため現実世界の節気も併記する。
【土鎧】1/1~1/15小寒
凍結した岩のごとき大地を指す。新年を祝う時期でもあるが、凍死も多い。地方では盛り土に水をかけて風防兼魔物に対する防壁とする。
【山崩】1/16~1/30大寒
新年を迎え寒さが本格化する反面山のほうでは春の兆しが見える。冬季の魔物が活性化するが恵みも多い。
【氷刃】2/1~2/15立春
伝説の暗殺者の名より。多くの人間の認知の上では冬なのだが暦の上では春とする。2/1は地球における立春。この時期の雪は最も美しく最も危険であり雪の降る地方の子供たちは雪だるまを作ったりして遊ぶ。
【夏夢】2/16~2/30雨水
厳しい寒さが続く中、多くの国民は屋内に閉じ込もり夏の歌を歌って春を待つことから。冬季の魔物により最後の攻勢が続く。戦神神殿が説く理想郷の祝祭日を含む。その地は氷に閉ざされながら内部は常春の温かさと豊富な食料と永遠に良き敵良き友と戦える環境があるらしい。
【刻死】3/1~3/15啓蟄
この時期に降る雨水は雪よりも執拗に体温を奪い危険とされる。暦の上では春となり、実際に冬の魔物の動きは鈍化するが寒さは残っている。正義神殿はこの時期に改めて節制を説く祝祭日を設けている。
【咲誇】3/16~3/30春分
寒さは五月まで続くが、冬の花が去り春の花が咲くこの時期に咲く花は最も美しいとされる。民も冬の花を保存し春の花を守り夏の花の準備を始める。保存と魔物に対する輸送の観点から氷室や土室を作るに適しているとされる。物資と人材が動く時期。幸運神殿の祝祭日はちょうど咲誇の一六日。春分に当たる。
【風織】4/1~4/15清明
【嘘眞】とも。人々は春風を織るエルフを讃えながら山野の恵みを摘み、春野菜や勇敢な漁師たちが獲ってきた海の幸が市場をにぎやかなものとする。また、来たる夏を讃える日として四月一日は悪意のない嘘をついていい祝日となっている。
この祝日において人々は官警を含めて浮かれ騒ぎ、ため込んだ酒を呑み保存食を食い散らかし身分を偽り無礼講状態になる。そのため休日という概念が基本存在しない正義神殿が治安を担当する羽目になる。真面目な正義信徒ならば最も嫌がる日。
(※そもそも正義神殿はエルフを神族とする民間信仰そのものを認めていない。その上正義神こそが唯一神であるとする神官も少なからず存在する)
慈愛神殿の祝祭日を含みこの時期に寿引退する下級神官は多い。【嘘眞】として祝う。
【金洗】4/16~4/30穀雨
山師たちが冬の魔物を避け春の魔物に怯えつつ川に入り砂金を洗う時期。邪神にして自由神は人間たちをコマとし運命のサイコロを振って他の神々と戯れるとされ、山師たちもその加護を求めてDICEを持ち歩く。題すことから謎かけ遊びの時期。春の魔物たちは散発的に人間の村を襲うため決して油断してはいけないが、定期的にぶり返す寒ささえ我慢すれば概ね過ごしやすく、この時期に勤労の喜びを歌う吟遊詩人は邪神の使いとされるも逆に各地で歓迎される。
暦の上では春の終わりであり、人々は待ちに待った夏を迎える喜びを勤労後の酒に求める。
以上の理由から酒の値段が高騰する。各村が作った自慢の火酒はドワーフたちに捧げられ品評会が行われる。国境を守る城塞都市ローラでは最大の武踊祭が行われあらゆる芸事や家事の審査会が行われる。
【葉萌】5/1~5/15立夏
暦の上では夏になり花は落ち若葉生い茂り、最も命の輝きを実感できるとされる時期。魔物ならざる野生生物たちにとっては土をわざわざ弛めてくれ種や若芽まで提供してくれる人間たちに喜ぶ時期でもある。生物系の魔物が多く出現し魔物由来の素材や魔法植物が生い茂り好事家に売れる。石化能力を持つ魔鳥コカトリスにとって繁殖期であるこの時期、彼らの食み草を採れば毒性が薄く効果も高いため、人間の冒険者が蛇のしっぽを持つ巨大な鶏たちに追いかけられるという珍奇な光景が辺境各所でみられる。豊富な薬草や素材などの恵みから魔導士たちや賢者の研究が捗ることから知識神殿はこの時期に祝祭日を設けている。
【竜歌】5/16~5/30小満
土竜と書いてモグラと字すことから。竜の眷属活性期。もちろん一般的なモグラやオケラに似た虫も畑で大暴れする(※現実世界の螻蛄は温かい地方に住む。また日本では七月くらいに目にする)。たまに人間より巨大なモグラや螻蛄が現れるのはご愛敬で、『冒険者の店』のミスで土竜とモグラの依頼が入れ替わることすらある。故事には蚯蚓歌いモグラ踊り竜翼を震わせ四季を刻むとあり竜は全ての自然現象を司るとする異端、『竜族信仰』においては祝祭日を含む。
【慈雨】6/1~6/15芒種
全てを癒す恵みの雨が降ると信じられており、この時期の雨を集めて作った薬は高く売れる。
寒さは和らぎ年間で約七日しかない真なる夏に向けて雨を避けながら人々は鍬を振るう。知識神殿においては頻繁に到来するにわか雨を避けて本の虫干しを行う日を占わねばならない重要な時期である。『晴れの日は本を干して畑を耕せ。雨の日は本を民に読み聞かせるべし。これ真の知識に至る道なり』とする教えから、雨の日は虫干しが中断され、畑仕事を中断した民に軒先を与え、屋内での書の閲覧させることが認められている。なお、虫干し中も貴重な書籍が読み放題である。
占星術師や占い師を名指しして正義神殿は『虚言妄言を流布する悪』と断じているがこの時期に彼らがあちこちで歓迎される事実は黙認せざるを得ないことから『鬼笑』と呼ぶ者もいる。戦神神殿は『雨の日に盾(※屋根のしっかりした建物)構え休んでひたすら寝るのもまた戦い』として長期間の休日を設けている。幸運神殿はこの時期の雨で商売が滞る商家に融資を行うとともに信徒たちが作った油を売りつける時期とみなしている節がある。慈愛神殿ではこの時期に『使徒』となる信者が多いため重要視している。以上をもって民が喜ぶ時期であるが季節の変わり目なので実際には体調を壊すものが後を絶たないが統計の概念がないものは気付くことがない。よって数学者はこの時期を『自由神の冗句』と呼ぶ。
【雨晴】6/16~6/30夏至
寒さは去り、過ごしやすい時期。ため込んだ毛を洗い乾かし紡いだ糸が製品として流通する時期でもあり、『車輪の王国』の算出する織物は他国で高く売れる。
【虹橋】7/1~7/15小暑
虹のたもとに妖精の世界が開くとされる時期。転じて異界、死の世界に旅立った者を悼む祭りが催されることが多い。この時期に祭りを開くと森からエルフたちが祭りに参加し死者や未来の英雄、異世界の人々や神々と触れ合えると信じている村々は多く、吟遊詩人や冒険者や語り部、芸人の稼ぎ時となっている。代表的な妖精や妖魔の活性化時期であり、彼らの悪戯には注意が必要。
【天舞】7/16~7/30(大暑)
この時期に橋の上で踊る恋人たちは上位巨人族やトロールの加護を受け、彼らの岩の肌のように固い絆で結ばれ、幸せになるという故事から。神族に近しいとされる半馬人ケンタウルスをはじめとする人に近い幻獣たちもこの時期を祝祭とする。しかし鳥妖ハーピィなどの魔獣たち、鳥系の魔物や野生生物が巣立ちを終え、恐れを知らない若い彼らが人間や家畜を襲うこともある時期でもある。暦の上では夏の終わりだが、幾度も述べたように『車輪の王国』の真なる夏は7月の終わりごろから八月の十日くらいまでの間に発生する。
【夏想】8/1~8/15立秋
国民が待ち望んだ祝祭時期。全身を焼く太陽を盛大に浴びて陽にやけた身体を晒すのが美しいとされ魔導士ギルドの夏日確認と共に国民は七日間の休日を楽しむ。正義神殿は自らの神に対して太陽神としての神格があると主張しており、教義上彼らの休みでもある。
(※もちろん敬虔な正義信徒は『休まない』。神の加護をその身に浴びるのみである。つまり休み。このように正義神殿では『休み』はないが非番や謹慎、祝祭日による自宅での祈りの日などが多数見受けられる)
この七日間は気温や湿度、高度等の変化に敏感な魔物たちには異常気象であり『車輪の王国』内での魔物の被害は大幅に減ることから、各神殿が許可を出した屋台が道を覆い、神殿や貴族や大商人や有志は山車を出し、若者は裸で海に飛び込むなどなどの狂態が行われるが根っからの『車輪の王都』っ子たちはこの時期に喧嘩などして一瞬でも肌を焼かないという選択肢はなく、女を襲うのは双方の日焼けの時間を奪う無粋な行為とみなし、理性的にこの時期を楽しむのが粋と認識しているため、運悪く各神殿で実施されるくじ引きで『あたり』を引いてしまった警備担当の人々の実感に反して統計上の治安はむしろ改善する。
この時期、『車輪の王都』では各神殿が実施する富くじがピークを迎え、うっかり『はずれ』を引こうものなら『主催者である神殿や貴族や大商人が受けた多額の喜捨金の使用法を決める権利と責任を得る羽目になる』為、国民はこぞって幸運神殿の富くじを買いあさることになる。『分け合いなお減らぬは真の富』とも幸運神殿では教える為、社会貢献をせよとされるが実際は誰もそのようにしない。理由は『贅沢を行い、正当な対価を貧者に行うのも幸福への道である』とも教えているためである。この富くじにより公共事業や祭りで無粋なものが破壊した物品や建物の補修が行われるため、祭りに伴う損壊は見逃してもらえることが多い。
むしろ大通りが存在し、放射状の道に主要な建物が配置されている『車輪の王都』では山車が建物を破壊することはあまりなくかえって縁起が良いとされ、人々は家主に施しをしてその破片を持って帰り富くじの願掛けに用いる。
そのためある種の区画整理にもなっている。
なお、公然の秘密だが収入が現物であることが多い慈愛神殿では山車が何台突っ込んでくれるか否かが重要な現金収入、財源となっている。慈愛神殿は駆け込み寺の機能を果たし貴族や有力者の家族、美女や子供が多数在籍しているとされ戦争になると真っ先に狙われることが多いため長年をかけて砦としての機能を拡充しており、見かけに反して山車の一台や二台の突進ごときではそうそう壊れることはない。流石に神殿の破片を持って帰る不届き物はいないため喜捨や無償労働のみが期待できる。
慈愛神殿は富くじを表立ってやっておらず内容は最もしょっぱいが、伝統的に喜捨をするものには宗派問わず『聖印』と祝福を授けること、その売り子(※正しくは宗教行為であり『販売はしていない』)は名高い慈愛神殿の美女たちであるため信徒でなくとも『お守り』を買う男性は多い。富くじを当てた男性のほとんどが『慈愛神殿で聖印と祝福を授けてもらったからだ』と証言するため、本家である幸運神殿の金運のお守りを超えてこの時期に信徒を増やす一因となっている。意外なことにこれで『使徒』になった者もいる。
【夏去】8/16~8/30処暑
冬日が時折苛む中、実りの秋を迎える。辺境からは甘芋が出荷され、無花果に似た果実から取り出される酵素を用いたチーズが作られる。農家にとっては年によって刈り入れを急ぐ必要もあり難しい時期。人手がいくらあっても足りないとされ『餓鬼族の手も借りたい』ということわざになっている。世界中から珍しい果実が集まり、『車輪の王国』では一般的な食材である『酸苺』を素焼きの壺に収める歌を詩人が歌う。酸苺は咥内にただれをもたらす毒苺だが野山に自生し大地の毒を消し害虫を駆除する助けになることから畑の際に植えるには丁度いい植物として認知され、その猛毒も素焼きの壺に入れて発酵させれば数日で無毒化でき、甘みが出たところに娘たちが素足で踏みつければ芳醇なワインの原料になること、この後続く麦の一部をビールにするため麦芽糖を作ることなどから農家の子供たちには楽しい時期である。秋津虫と呼ばれる凶暴な竜種が群れを成して出現するが、そのサイズは総じて小さく、我々にとっては『トンボ』として認識できる。
【肉結】9/1~9/15白露
家畜を潰して冬に備えることから。『車輪の王都』周辺の山々ではゴボウと芋の中間のような植物が実り、猟師や子供たちの遊びとして王都に出荷される。この植物はでんぷんを洗ってシャリシャリとしたジャガイモとゴボウの合いの子のような食感を持っており、冬の寒さに耐えるため、王都でも愛される食材。またこの時期は『慌て者の渡り鳥』がやってくる。
冬を待たずして到来する『慌て者の渡り鳥』は珍味とされ、これを包丁にて調理する音は冬に打ち勝つとして縁起が良いとされている。他にも冬を前に猟師が海や川、湖で忙しく働く時期であり、農家の手伝いの仕事だけではなく討伐依頼もまた多い時期である。
【薪溜】9/16~9/30秋分
薪をためて冬に備える。肌寒い日が続き、夏毛を刈り取られた羊たちが必死で毛を伸ばすという童歌と共に娘たちが夏にためた毛を糸に紡ぐ。
【魚石】10/1~10/15甘露
魚がはるか深海の岩から生まれ、岩に戻る時期とされる。山川海で獲れた魚は寒暖差の激しいこの時期に巌のごとき干魚となって市場をにぎわし、山国に向けて出荷される。いわゆる魚石はスープの素として珍重され、初物の粉末は高値で取引される。同じく干野菜や干果実など干物が積極的に生産されることからまだ発酵しきれていない若い酒を盗んで呑もうとする者が後を絶たない。
【山湯】10/16~10/30霜降
寒さに耐えかねたドワーフたちが山の精霊と交わり子供として温泉を生み出すとする伝説から。なおドワーフたちはこの説を否定しているが温泉が多数発見されること、その発見に彼らが大いに加担していることは事実であるし、寒さに震える人間たちに『嘘のつけない』彼らが温泉の場所を教えないことはまずない。
【炎紡】11/1~11/15立冬
来るべき寒さに備え、人々が冬の間に使う炎を全てドワーフたちがその槌をもって生産する。紡ぐとされる時期。この時期にドワーフたちを怒らせるとうまくかまどの火がつかないとされ、ドワーフたちを讃え祭る日が設けられている。
【熊羆】11/16~11/30
現実世界では小雪。
言うまでもないがこの時期の熊は大変危険で冬を越す個体もいる。また猪も農村で大暴れするため猟師たちの腕が試される時期。転じて遅い口減らしに娘や若者が都市を目指す時期でもある。そのため村を救う勇者という意味のほか、ややネガティブな意味も重なる。厳しい寒さに遭遇したものは都市に行き着くまでに命を落とすものもいるうえ、よしんば街についても仕事がないこともしばしば。多くの出稼ぎ青年は港湾労働者としてあかぎれた掌をこすり合わせ故郷の勇敢な歌を歌って慰めとする。
【黒死】12/1~12/16大雪
この時期は凍死者が多く、死神を祀る忌日がそのまま祭日となっている。また、冬の精霊といわれる乙女がやってきて凍死者を救うともされているが定かではない。冬の精霊を呼ぶものは指先ほどの小さな火を掲げ、特定の祝詞を唱え、来年を占う。転じて恋の占いが人気である。どうせ寒くてほとんどの作業ができないので、人々は恋話に興ずる。
【金脚】12/16~12/30冬至
何かとお金が入り用である時期だが、換金商や金貸したちにとっては厄祭日と言ってよい時期。
12/24くらいから新年初め1/5にかけて聖なる日と称して例によって王都の人々は仕事をしないのでお金の取り立てができない他、そもそも複利を庶民から取り立てても聖なる日まで逃げられれば元本の二倍以上の複利分を請求する権利を来年の金脚まで失うとする王国法があるため商人や酒場の店主たちはツケの支払いを求めて奔走することになる。実際は聖なる日にはお金の請求はできないため(※すべて神々への感謝として渡しあうことになっている)なんとも悩ましい時期である。
【『車輪の王国』の主な農産物】
【鉄麦】
鉄パンの原料。とにかく寒さに強い。北の『鉄と血の帝国』原産だが『車輪の王国』でも生産される。
この麦で作ったパンは武器にできると冒険者が冗句を言い合うほど固く保存性に優れカビに強く、水でふやかして食べたりスープの器として使用する。
【根菜】
現実世界の根菜とちがい、ゴボウのような植物。山野に自生するが休耕地を耕し土地を回復するうえ、越冬するため冬の食料として広く愛されている。食感はシャリシャリしたジャガイモに近い。
【金麦】
麦の一〇倍採れるという伝説の作物。いわゆる米。
伝説とされるが、実際の所はあちこちで細々と生産されている。しかしそもそも『車輪の王国』の気候に合わないため認知されておらず市場でも見かけることはまずない。その実情に反して豊穣を示す季語となっており歌の題材としてはポピュラー。
本編登場のロー・アースの実家ではこれを用いた酒を生産している。その酒は透明度が高く恐ろしく美味。
【尼芋】
甘芋とも。すりおろすと粘りが出る。生でも食することが可能であるがすりおろさない場合あまりおいしくない。現実世界の芋と比較するとジャガイモより甘くサツマイモより小さい。蔓も葉も食べることができ、あるいは籠を編むこともできる。辺境では重要な食材。
【酸苺】
口がただれる毒苺だが、素焼きの壺などに入れて発酵させると甘い汁になり、そのまま娘たちが踏みつければ美味しいワインになる。貴重な甘味料でもある。山野に自生し、厳しい寒さに耐えて越冬し、冬でも実をつけ、土の毒気を祓い、害虫を駆除してくれるので畑の脇によく植えられている。
余談だが逆返しの毛がびっしりと茎や葉に生えているが大地の栄養が不足するとこれが硬化して天敵のナメクジなどを殺し逆に栄養をすすり取る食虫植物に変化する。大型の酸苺は犬程度なら殺すことがある。
【『車輪の王国』で確認される一般的な野生動物】
危険なものは『冒険者の店』でも季節に合わせ駆除依頼などが出ている。季語に登場する生き物は以下。
ねずみ、いたち、うし、くま、うさぎ、あざらし、へび、うま(ろば含む)、ひつじ(やぎ含む)、おおかみ、にわとり、きつね、しか
また、イナゴや蜂も季語に加わっているが、『車輪の王国』にて季語とされる八角蜂(※巣穴が八角形を描く『子供たち』が壺に入れて持ち歩く蜜蜂。彼ら言うところ『車輪の王国』は八角蜂の生存できる最端に位置し、それより北部の『子供たち』は『となかい』という牛とヤギに似た鹿の仲間を育てているとのこと。
【車輪の王国における水産物の扱い】
原則として山地では海藻は食べられないが、出汁として用いるものはそこそこある。モズクのような粘りのある海藻を用いたスープは生姜を交えて冬に珍重される。
くじら、いるかは現実世界と異なり川を遡上し山国である『都市国家ローラ』にまで姿を見せる。また短距離ながら彼らは空を飛ぶことができるため別の生物。
海の恵みとしてはいわし、ししゃも、たら、しゃけのような生き物が確認できる。あざらしの中には竜種に通じ、船より大きくなるモノが存在し、氷上船による狩りが行われる。